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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
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第21話 真実は見える……のか?


「オードリー、何者ですか、あの人物は? 彼にはまともな弁護人など付けない前提だったはずですよね?」


「私もそのつもりで手を回していたのですが……。裁判の直前で急遽割り込んできたのです。」



 裁判の初日が終わり、その結果にシャルル様とおば様は苛立ちを隠せないでいた。何故そうなったのかは私も傍聴席で見ていたから知っている。本来の予定ではほぼ一方的に勇者の有罪が確定し、勇者の地位剥奪への一歩になるはずが……予測し得なかった人物の登場によって崩される事になった。勇者の弁護人は本来、異端審問会の息がかかった人物が務める予定だったのに、体調を崩したとかの理由で代理人が立てられる事になったらしい。



「本来、セルジオ・ボロウ司祭が務める予定だったのですが体調不良を訴え、急遽代理人を立てられたということなのです。」


「体調不良? そんな偶然がありますか? 何かしらの工作があったのではないですか?」


「いえ、そんなはずはありませんわ。確かに司祭は前日までは体に何の異常もなく執務を熟していたという話なのです。今朝から体調不良を訴え、床に伏しているのだそうです。」



 確かに聖職者にとって多少の病気や体調不良などはあり得ない話である。軍事だけでなく、医療関係も世界の最先端の知識と技術を持っているので、その恩恵にあやかることが出来るからだ。とはいえ、新種の流行病や、難病の類いまで対処しきれる訳ではないので、そういった物は流石に罹患からは逃れられない。とはいっても、現在聖都では流行病の感染が広がっているという話もないのでおかしな話に感じるのも事実だった。



「それで、あの弁護人、レオポルドと言いましたか? あの人物の素性はわかっているのですか?」


「レオポルド・ダ・ヴィッチ司教、近頃台頭してきた人物だという話なのですわ。元は辺境の教会で司祭をしていたそうなのですが……。」


「名も知らない、何の後ろ盾のない人物が何故? 何らかの未知の勢力が背後に存在しているのでは……?」



 私は教団に入ってから一年にも満たないけれど、何も実績がない人が要職に就くのはあり得ない事なのはわかる。要職に就くのならそれなりの名声は聞こえてくるはず。それすらないのなら、財力に物を言わせて権力者にすり寄ったのではないかと疑ってしまう。教団の中にはその様なやましい行いをして成り上がった人物など歴史上に何人もいたことは私ですら知っている。



「出所の怪しい人物なのですから叩けば埃くらいいくらでも出てはくるでしょう。ですが、今回の裁判が終わるまでに全てを洗い出せるとは言い難いですわね。既に密偵を放ってレオポルド司教の近辺を探らせてはいますが……。」


「厄介なのは彼の情報網ですよ。フェルディナンドの事件に関して我々に匹敵する程の情報を有していました。何らかの魔術師勢力とも協定関係にあるのでしょうね。」


「ワタクシ達も直接は学院には関与せず、”工房”を通じて情報を得ていたというのに、その密偵に感付かれずに活動を行っていた様なのです。ゴーレムに関してはほぼ”工房”が掌握していたのにも関わらずですよ?」


「やはり余程の勢力が力を貸しているに違いありません。未知の勢力として警戒をしておいた方が良いでしょうね。」



 学院に関してはタルカスおじ様や掃除屋が間者としての役割を担っていたとおじ様自身から聞いた。掃除屋は”工房”独自にフェルディナンドとおじ様の監視役として送り込んでいた工作員だったらしい。


 おじ様の手によって学院の警備・監視システムは完全に掌握していたけれど、時折掃除屋以外の目線を感じることもあったそうだ。一部の監視網がおじ様の管制を逃れていたのはその人の仕業だったのではと感じていたそうだ。


 その正体は……学長の秘書官、サム・ジェイルマンだったのはないかとおじ様は推理していた。もしかしたら件の司教とも関わり合いがあるのかもしれない。もちろんこれは私とおじ様の推測に過ぎないから、おば様には言わないままでいる。



「勇者簒奪の疑いは実証できませんでしたが、次の罪状から逃れることは出来ないでしょう。今後はそれに賭けるしかありません。」


「ええ。あの憎き忌み子を討ち滅ぼす足掛かりだけは確実に付けないといけませんわ。ヘイゼルを次代の勇者として立たせるためにも。」


「今度はあちら側に大した情報はないはずです。主に騎士団(クルセイダーズ)側が持っているというのもあり、彼らの参加さえ抑えられれば、どうとでもなりましょう。他にドラゴンズ・ヘヴンの構成員が関わっていたようですが、彼らが法廷に出席するなどもっての外ですからね。」



 次の裁判では勇者があの女、エレオノーラを保護し続けた事について問われることになる。ヴァル・ムングを退けて以降、勇者があの女を助けたことによって、世界に大きな影響を及ぼす切っ掛けになったとも言われている。あのニセ勇者の最も許しがたい罪状で、私の人生までを揺るがす結果にもなった。この裁判の結果次第で私の今後の運命が変わる……。

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