第15話 逆境裁判……!?
「これより異端審問を開始します。」
「ちょ、まっ、なんでいきなり!!??」
「被告人、静粛にお願いします。」
牢屋にぶちこまれてから数日後、俺はいきなり呼び出された。何のためなのか聞かされず、目隠し、耳栓をした上である場所につれてこられた。それが今ここ、裁判を行うための法廷に立たされる羽目になったのである! 目隠し取った瞬間からこんなだったら誰でもビビるわ!
「あの~、何かの罰ゲームみたいな感じで困るんですけど……?」
「罰? ゲーム? 何を冗談めいた事を……? 悪ふざけはご遠慮願います。」
「はい、スンマセン! ごめんなさい!」
もはや夢とかドッキリとかの騒ぎではないらしい。ホントのガチの裁判のようだ。周りには教団のお偉いさん方が大勢参列しており、冗談で誤魔化せるような雰囲気ではない。でも以外と異端審問会の黒服の人ばかりではなく、白い普通の神官服を着ている人の方が多い様な気がする。裁判官も白服の人である。
中にはクルセイダーズの制服を着た人もいるな? 眼鏡が特徴的な人物だが知らない人だな。でも、相変わらずの八方塞がりで味方など一人もいないのには変わりないのであった。その状況に絶望していたら、黒服の人が俺に対して尋問を始めた。
「まずは第一の罪状ですが、あなたは先代のカレルより引き継いだ後、より的確な継承者にあったにも関わらず、未だに勇者を続けていますね?」
「はあ、まあ、そうなんですけど、特に引き継がせようと思ったりとかはしましたが、なにせそういうときに限って額冠が外せなくなってしまうもので……。」
「それで、どうしたのでしょうか? そういった機会は何度かあったのではないでしょうか?」
「いや、まあ、ありましたけど、特にその場で引き継がせようとは思わなかったりした事もあったんですよ。」
正直言うと最初の頃は逃げ出したいと何度も思った。ファルやエドに会ったときなんて特に! それ以外にもロッヒェンやエルに対してもそう思ったことはある。才能ある人が継いだ方がいいんやろな、的な事考えてました! ファルやエドはともかくロッヒェンは自ら辞退しそうな感じではあるし、エルは闇の力の影響で額冠を受け付けないという都合がある。
他は……プリメーラとか? でも、アイツは今はまだ早い。今継がせたら調子に乗るだろうし、世界が色んな意味でハチャメチャな事になりそうなので無理。あくまで将来的な候補の一人である。ロッヒェンとどっちかって事になるだろうな。
「ですが実際にそうなさっていないのは何故でしょうか? あなたは自発的に勇者の額冠を外した事もあったと多くの人が証言していますよ?」
「いや、あれはノリっていうか……大武会という場所で個人的な戦いをするのに勇者の力を借りるのは何か違うなと思ったところ、何故かはずせてしまったんですよ、ハイ。」
「その場のノリ……。そんな軽い気持ちで外そうと思ったのですか? それが通じるのなら、継承目的で外す事が出来ないと説明が付きませんよ?」
「そんなことを言われてもねぇ……。」
(カンカン!!)
「被告人、もう少し真面目に証言してください。」
裁判官が突如、手元にあった小さな槌で音を鳴らし、俺に注意を促す。別にふざけていた訳ではないが、見ている側からしたら真剣にやっているように見えなかったようだ。俺もこういう場には慣れていないので、どうしても素の自分が出てしまうからこういう受け答えになってしまったのだ。
「はい、ごめんなさい……。」
確かに自発的に外す事も出来たタイミングもあったんだよなぁ。実際あの時は無意識的にそういう行動を取ってしまった上での出来事だから、いつでもという訳にもいかない。後は聖歌隊の時もそうか? あれは下手に正体がバレたらマズイと思って咄嗟に外したもんだから、これも意識的にという訳じゃない。他人から見たらどっちかわからんのだから、証明のしようがない。困った。
「これまでのあなたの証言はあなたの行為の潔白を証明するには不十分に思われます。これに対して弁明の余地はありますか?」
「え? えーと……、」
「裁判官、彼にはこれまでの行為に対しての理由、勇者に至るまでの経緯において、疑惑があるのです。発言してもよろしいでしょうか?」
「では、参考人、シャルル・アバンテ殿、お願いします。」
「しゃ、シャルル・アバンテ!?」
(カンカン!!)
「被告人、静粛にしてください。」
「は、はい、すんまそん!」
ビックリして思わず噛んでしまったぜよ! だっていきなりシャルル・アバンテだぞ! 初めて見た! なんか眼鏡が特徴的な人がいると思ったら、先々代の勇者じゃねーか! カレルの師匠! しかもエルのお父さん! 眼鏡が特徴とは聞いていたけど、こんなところにしれっと出席してるなんて誰も思わないよ!
「あ、え? シャルルさん? 初めまして、ですよね? こんなところで会えるとは思ってなかったもので……動揺してしまいました。」
「はじめまして。勇者ロア。私の弟子が勇者の座を託したというあなたに会いたいと日々思っていましたよ。ですが……このような場での対面になろうとは思いませんでしたよ。」
マジで本物であるらしい! こんなところに何故いるの? 俺の裁判に立ち会うどころか、なんか今から証言しようとしているがどういう事? 俺に有利な証言でもしてくれるんだろうか? だって、先々代だよ? 同じ勇者を経験した事のある人なら、俺の気持ちもわかってくれるはず! というか……お義父さん! お願いします!




