唐揚げセットとパフェ
そして、軽い運動を反社相手に行った後に時間は戻る。ふたりはそのまま、靖国通りの方に出て、深夜営業のファミリーレストランに入った。
銀はシートにゴルフバッグを下ろし、ひと休みする。
向かいのシート窮屈そうの小次郎は座る
「しかし、長い晩になりそうだな」
知恵あるヒト、
小次郎はパフェセットを注文し、銀は唐揚げセットを大盛りで注文した、続けて、パフェを単品で注文する。
「なあ、疑問があるんだが」
「開かせることなら構わない」
「とりあえず、食ってからにしよう」
ふたりはたんぱく質とカロリーを闘魂に変換する儀式を始めた。
銀は十五分、小次郎はもう少し時間は要したが、闘志は充填された。
「質問いいか」
「オッケーだ」
「なぜ、学ランなんだ? この令和の新宿で」
「便利だからだ。冠婚葬祭どんなにシチュエーション、平時から学習すべてに対応している」
「ウソをつくな、この深夜に補導員が声をかけてこないなんておかしいだろうが、十代の未成年が連れ回されているというのにだ。実はオマエが幽霊で、おれの霊視で見えてるとか言うなよ」
「気配を溶け込ませている、根性って偉大だな」
「ウソならもっとうまくつけ!」
「オレも判らん」
小次郎は銀の言葉は落ち着きはらう。
「じゃあ、質問を変えよう。地球が死ぬ、とはいったい何が起きるんだ」
「知ってるが言わない。言えるが、教える選択肢はとらない。俺がカグヤを殺せばおわる。そう、それだけの事だ」
「最後の質問だ。おまえは人間か❔」
「ベースはホモ・サピエンスだ。ホモ・マジクス」
知恵ある人 、ホモ・サピエンスに対して、対を為す言葉、魔法を使う人、ホモ・マジクス。
小次郎放った言葉に撃ち抜かれたような銀であったが、ゴルフバッグに腕を突っ込み、ひと呼吸でオートライフルを抜き放つ、セレクターをフルオートにして、迫り来る人影に向かって銃口を向ける。
店内の人狼は三体。理性のない目は血走り、全身の筋肉が、冬服の上からでも判るくらい、隆起していた。爪は鉤爪と化し 血に飢えている。
銀の視界の中で。
乾いた音とともにマズルファイアは閃き七発の空薬莢が落ちていった。
22口径弾の大半を占める、簡易空間歪曲装置が起動して人狼の強固な肉体を虚空へと飲みこんでいく。
店内にいた人狼は三体。打ち込んだ弾丸七発のうち、特殊弾頭が三発み未起動であった。
一瞬の静寂の後、ウェイターがさけんだ。
「人殺しだー!」
「ずらかるぞ」
銀は小次郎を伴って、夜の歌舞伎町に踊り出した。




