少女と季節
あれから、暦は二度目の季節を巡っただろうか。
日が落ちるたびに、胸の奥で燻る喪失感は変わらない。あの日、銀が命を落とし、世界の理不尽さが私たちを襲った出来事は、私たちの日常を跡形もなく変えてしまった。私は一人、彼らが残した静寂の中で、かつての喧騒を思い出す。
そして、銀の死後、私の心の支えであった小次郎さんは、文字通り私の視界から姿を消した。彼の背中はいつも頼もしく大きかったけれど、その去り際はあまりにも静かで、まるで最初からそこにいなかったかのように感じられる。彼が去ることを止める力も、理由も、当時の私にはなかった。私はただ、彼の背中に見送られる側だった。
最後に届いたのは、ツバサが遠い町の福祉施設に引き取られたという、たった一行のメールだけ。まるで彼の短い夏は終わり、次の季節へ進んでしまったかのように、あっさりとした連絡だった。そのメールの簡潔さが、かえって全てを物語っているようで、私は何度も読み返しながら、返信の言葉を見つけることができなかった。彼らが去ったことで生じた空虚な空間に、私は取り残されてしまった。
しかし、私はもう立ち止まってはいけない。私は今、「地球の守護者」と呼ばれる人々の痕跡を追い、彼らが守ろうとしたものの本質を学ぶべく、勉学に励んでいる。図書館に籠り、古文書を読み解き、歴史を遡る。それは、守護者の持つ力の秘密を探るためであり、そして何よりも、自分自身の限界と向き合うためだ。
知っている。今の私はあまりにも弱い。大切な人を守るどころか、自分の無力さにもがき苦しむことしかできないコドモだ。だが、その弱さにいつまでも甘んじ、言い訳をしているほど、私はもう幼い少女であってはならないのだ。
私の無力さが、銀の悲劇を繰り返すことになってはならない。二度と、あの小次郎さんの目に悲しみの涙を浮かべさせたくはない。あの時、世界を守るために全てを犠牲にした彼を見て、私は強く誓いを立てた。それが、今の私の行動の全てを突き動かす、魂に刻み込まれた誓いだ。
だからこそ、今は感情に蓋をし、ひたすらに自分を磨き続ける。恋慕の念はいつだって、いつでも胸に抱くことができる。初恋が成就するという、そんな奇跡のような未来を夢見ても、きっと罰は当たらないだろう。
小次郎さんと再会し、今度こそ彼の隣に並び立てることを信じて。
初穂のえる
中途半端な話数ですがここでお終いです。短い間ですが、お読みいただきありがとうございました。




