救出
王宮の西棟の最上階にアマリリス王女は幽閉されていた。今のジェロニモは狂っている。しかも誰も止めることが出来ない。ボルトは査問会により犯罪者として処罰されるだろう。最悪、死の森へ追放するつもりか。ならば・・・。
ギネスがアマリリス王女に面会を依頼してきた。入り口にいる“見張り”はジェロニモの息がかかった者たちであるが、アマリリス王女が嫌いなわけではない。むしろ本当はアマリリス王女の配下として行動したいのが本音だった。ジェロニモの権力、暴力、勢力に捕りこまれているだけだ。ギネスの王女面会は叶った。
アマリリス王女はギネスからの報告を受けていた。ひどく憔悴したその表情からは深い後悔と言い尽くせぬ憤怒が見て取れた。ナンバーズのジョンに娘を人質に獲られ、心にもない判決を下してしまったこと。今頃ボルトは利き腕を切断され、[死の森]に運ばれている途中だろうということを。
アマリリス王女はジェニーに命令した。
「ボルトを探せ。何としても助けろ。ゼファーに連絡を取れ。緊急時には自らの判断で対処するように伝えろ。」
ジェニーの正体については、アモス王と最後に会食した際に知らされていたのだ。
ゼファーは馬車の車輪の後を辿り[死の森]へ入っていった。
日没が近い。怪我をした状態の人間がこの森で一晩過ごすことは絶対に不可能だ。
朝には裂けた衣服ぐらいしか残らないだろう。怪我しているボルトをどのように救えるのか悩みながら捜索していた。
ゼファーは発見した。呻いているボルトを。意識はあるのだが、麻薬による効果か自力で歩くことすら難しいらしい。
「俺はゼファーだ。アマリリス王女の命にてお前を助けに来た。今は黙って俺の背中に乗れ。」
ゼファーはこの場所から比較的近くに動植物が一切いないエリアがあることを知っていた。硫黄を含む天然の間欠泉があることを。
間欠泉の近くで火をおこし岩陰に潜む。ボルトの右腕からの血が止まっていない。
ゼファーは火に突っ込んでいた剣の腹で焼いて止血した。ボルトの叫び声が闇に響き渡った。




