アマリリス強襲
アマリリスは王宮にて公務に励んでいた。今日は、国民からの陳情を直接聞く日だ。
この王宮の入り口近くの建物は国民の陳情を受け付ける場所でもある。朝から長蛇の列である。アマリリスと直接話せるのを知って民衆が集まってきたのだ。
アマリリスは近衛兵を1人しか連れていない。あとは侍女のジェニーだけだ。元来、優しさの塊であるアマリリスは武力による制圧を極端に嫌っていた。そのため近衛兵も信頼できるボルト1人であった。
ボルトは騎士団の中でもナンバーワンの実力があり、勤勉実直であった。しかし騎士団の中では1人浮いていた。なぜなら、騎士団はジェロニモ王子の管轄だからだ。
1人だけ真面目な奴は目障りだと「100人組手」などの無茶な「しごき」を受けていた。勝つには勝ったが訓練場の外の水飲み場で倒れたボルトをジェニーが介抱してアマリリスに紹介した経緯がある。ジェニーはアモス王がアマリリス王女のために用意した“特殊工作員”だ。アマリリスはその事実を知らない。ジェニーはアモス王からジェロニモ王子の行動に気を付けるよう言明されていた。いつ何時、ジェロニモがアマリリスに牙をむくかもしれない、決して起こってほしくない未来を危惧しての処置だった。
ボルトはアマリリスと民衆の対話を近くで警備していた。
老婆の直訴が終わり次の男の順番になった瞬間、煙幕弾が爆発するとともにギラリと一閃が走る。が、ガチリとボルトの剣に遮られた。ボルトはそのまま返しにて男を切り裂いた。とっさの判断で動いたため切り殺してしまい、だれが何の目的で王女を狙ったのかわからなかった。ただ、ジェニーはその男が以前NO3ジョンと話していたことに気が付いた。「ジェロニモの差し金か、いよいよ動き出したか。」




