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ゼファーの思い出

ゼファーは10年前に1度アマリリスに会っている。アモス王からアマリリスに[死の森]と国境警備について学ばせたいので案内を頼めないか、との依頼であった。

この日、運の悪いことに5頭のワイルドウルフと遭遇し、アマリリスを護衛していた30人の騎士が亡くなりゼファーは左腕を失った。アマリリスは馬車の中に避難していて無事であったのが唯一の救いだ。ゼファーはワイルドウルフを追い払うのが精一杯だったのだ。

ものすごく苦い思い出だ。その後、ゼファーは1人[死の森]近くに住み続け、野獣との戦い方を研究するようになった。


アマリリスを乗せた馬車1台と前後に15名ずつ騎乗した騎士が同行していた。この集団をゼファーが先頭で引率していた。その場は、[死の森]でも珍しく見晴らしが良い地点であり、休憩を取ろうとしていた。そこへワイルドウルフが5頭も襲ってきたのだ。総勢30人の集団は餌にしか見えなかったのだろう。最初に馬車を引く馬が食い殺された。それからは馬を狙い全て噛み殺していく。普段目にしない人間はおまけの生き物と思っているのだろうか。馬から落ちた騎士達は剣を構え対峙した。が、技を振るう間もなく次々と血の花を咲かせた。

馬車からはアマリリスの悲鳴が聞こえる。「王女はそのまま中にいてください。」

ゼファーは、馬車の前で袋から取り出した布に火を付ける。そして爆弾を5本取り出した。この爆弾は真管から伸びる紐に火をつけるか、引き抜くかで爆発させる仕組みだ。

1本目、2本目と投げつける。が、爆発の威力は申し分ないが火をつけて投げつけてもワイルドウルフは易々と躱してしまう。すぐに爆発しないからだ。

もう、騎士で立っているものは1人もいない。地べたで息絶えているかうめき声を上げているかだ。腕や足や頭が血だまりの中に散らばっている。3本目の爆弾を持ち、ゼファーは覚悟を決めた。俺が死ねば王女も死ぬ。ワイルドウルフは非常に頭が良い。リーダーが司令塔であり弱点でもある。

ゼファーはワイルドウルフのリーダーと睨み合う。リーダーは余裕で真正面から噛みついてきた。ゼファーは左手に爆弾を掴んだまま強引に口に突っ込む。右手で爆弾の紐を引き抜いた。


あの時、他のワイルドウルフが攻撃を止めなかったら俺も王女も死んでいた。単に運が良かったとしか思えない。


あの時、リーダーのワイルドウルフが死んだ際、他のワイルドウルフはこう思っていた。「この人間だけは違う。自分の命と引き換えにこちらの命を奪いに来る。今も闘志を失っていない。これ以上闘うのは得策ではない。」と。




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