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願わくば、同じ君へ  作者: 凛々花
第一章
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高橋徹 部活初日

「お前、高橋か? なぜ遅れた?」

 一回目の体育の授業ですでに目をつけられてしまった。で、最悪なのは、この小野寺が体育教師だけじゃなく、バスケ部顧問だということだ。この顧問はマジで気にいらない。だけど、バスケ部は可愛い子多いよと先輩が言うもんだから、すんなり入ることにした。今日は初日で、実際、先輩マネは綺麗な人でテンションあがった。俺らの学年の男子も爽やか君とハーフっぽいイケメンがいて、俺らの地区ではうまくて有名だったな。先輩は地味めな感じだけど、俺より断然上手くて、頭良さそうで、良さげな先輩ばかりだ。久しぶりのキュッキュッて感じ、俺やっぱバスケ好きなんだわ。

 にしても、あの人きれーだな。

 全然バテてねぇ。流してないけど軽くやってるように見えるんだが、俺なんかよりうまいのが余裕でわかるわ。てか、「ナイスです」とか、体操着の感じとか順番的に一年じゃねーか? あの人、どっかで見たことある。

 列に並んでいる時、その人が瀬山遥だとまだ名前も知らない先輩が小声で教えてくれた。多分みんな同じことを思ってんだな。明らかにうまい。ボールなしのアップですでになんか上手いってどゆことってことだし、動きがバスケ上手い人のささーってやつ。オーラってやつな。

 アップが終わって、ボール使うところからコート分かれてんのに、男子先輩は明らかに合間に一年の女子を見てる。特に瀬山遥を。瀬山遥のレイアップは強豪校のあれだ。ドリブルのつき始め一気に腰が低く前かがみになって、一瞬のトップスピードが短い中にちゃんとあってボールが手に吸い付いてって、最後ぶわって高く飛んでゴールに置いてくる、あの実力者独特のやつ。

 並んでいる先輩にボールをパスする時だって、妙にこなれてる、バウンドが絶妙で手元にすっと収まってんのな。意識してないんだろうけど、そういう一つ一つ、何やってもすすーって感じ。

 春休みから練習に参加していたらしい。神奈川無敗の城西、副キャプ、ガード。プレーはあんま目立ってなかったけど、落ち着いていて、ディフェンスとかすごかったよな。よく表彰式で見た人だ。てか、これはまじでテンションが上がるやつだわ。とにかく、バスケ好きとしては仲良くなりたい。二組か、遊びいくしかねぇな。確か、あの既に可愛いって有名な梅崎里奈も二組だったよな。

 練習が終わった後、一年は部室の脇で着替える。

「富川中の高橋だよな? 俺、竹中の安道。よろしくなー」

 長身でハーフ顔のイケメン、安道巧が初々しい間を埋めてくれた。

「ほかの連中とは練習前に軽く自己紹介とかとかしたんだわ。やっぱ疲れたー。でも今日絶対ゆるめだったよな、今後がこえー。がしかし、久しぶりのバスケ楽しー」

 全体的に語尾が長い、のにだらしなく聞こえないのは、多分声の低さなんだろうか。場の空気が和やかになった。ありがてー存在だ。運動の後の春風は、まだ少し冷たい。パッパッと着替えを済ませる。一年男子は流れでファミレスへ行くことになった。

 一通り注文が終わったところで、「とりまLINE交換しますか?」と安道がケータイを取り出す。そして、会話は淡々と進み『バスケ部一年男子』となんのひねりもないグループに六人が追加された。

 しばらく予定調和でだべって、食うもん食った後、「てか女子のレベル高くね」と杉山賢人が虚を突き、「それな」と全員うなづいた。

「瀬山さんはスマートだったな。あと、オーラな」と安道がメロンソーダを飲みながら言った。

「あと、他に背が高い子いた。この二人は春休みから練習してたらしい」

 杉山は熱そうに紅茶を啜りながら言う。

「ちっちゃい子、四方田っていうんだけど、俺同じ中学だけど、ガードうまいよ」

 鳥越が最後に残ったポテトをつまんで言った。

「瀬山さんもガードだったよな? 佐藤さんもガードだし、ガード三枚いるのはどうなんだ?」

 俺は安道の方をみて聞いた。

「最近の女バスは、ポジション拘んない展開早いのが主流だったりするじゃん? うちの女バスも結構そんな感じだったと思う。まぁ、女子に負けないよう俺らも頑張ろうな」

 安道はバスケに詳しかった。多分こいつがキャプテンになるのかもなーとか、結構いいチームになるかもとか思った。これからの楽しみな感じとか、女バスがキラキラしてる感じとか、俺らはテンション上がってた。いつのまにか、無数のコップがテーブルを占領していた。

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