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隣の問題児  作者: 雨野雫
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一話

 桜ヶ丘高等学校。それが、僕の通う高校の名前だ。生徒は約三百人。一学年に百人の割合だ。その中でも人数が少ないのが僕を含めた二年生、九十二人。


 僕は二年二組の生徒。内気で存在感のない、いわゆる陰キャで、いつも騒いでるパーリーピーポーなリア充もとい陽キャたちとは関わらないようにしている。というか、問題児が多すぎて、ほんとにここ高校か?と疑いたくなる。明るい元気なやつ、と言えば聞こえはいいが、その大半のヤツは問題を起こすトラブルメーカーだと思って生きている。

 こんな性格だから、友達はロクにいない。というか、全然いない。できる限り厄介ごとには巻き込まれたくないタチなので、その点では最高に良い立ち回りをしてると思う。


と、悪口ばかりが止まらなくなってしまった。


 ここで自己紹介をしておこう。

僕の名前は倉田 晴(くらたはる)。暗さと明るさが混在したような名前だが、先述した通り、僕は暗い。さらに目が悪いため黒縁メガネをかけているのだが、これがまたいい感じにガリ勉感を醸し出している。勉強は嫌いじゃないが、そんなに出来るわけじゃない。そうじゃなきゃ、こんな自称進学校、誰が来るもんか。

 また話が脱線してしまったが、つまりまぁ、そんなに頭が良いわけではない。

髪は染めていない。まっくろくろすけもびっくりの真っ黒髪である。周りの人は茶髪だったり、インナーカラーだったり?よく分からないが染めているが、まったく何がいいのか分からない。そもそも校則が機能していないにも程があるのだ、この学校は。

 と言っても、そんなことを大きな声で言えるような人間ではないことは、もう分かってくれていると思う。そう、僕は陰キャだ。心の中で愚痴ることしかできない。


 どのくらい問題児が多いのか、教室を見れば明らかである。今も授業中なのに、二、三席は空いている。もちろん、体調不良とかの休みじゃない。いつも同じ席が空いている。無断欠席、遅刻なんてのはここでは日常茶飯事だ。

 僕の席は窓際から二列目の一番後ろ。存在を消すにはちょうどいい席だ。ガヤガヤとした男子グループからも離れ、先生の目からも遠い。だが、ここにも問題児はいるのだ。


 隣の席でぐっすりと熟睡した女子。北部 詩(きたべうた)。こいつもまた、見ての通りの問題児である。窓際の席は暖かく、数学の授業もあいまって、眠くなるのは分からんでもない。だがしかし、居眠りは許されない行為である。

 先が少しカールした色素の薄いロングヘアーが高い鼻と長い睫毛を隠すようにかかっている。こんなに長い髪、邪魔にならないのだろうか。

 

 机に突っ伏して、その前に教科書を開いて立てている。なんとも古典的なやり方で居眠りを隠しているつもりらしいが、見つからないわけがない。現に今も、教卓の方から時折鋭い視線が飛んできている。怒られないのは諦められているからなのか。

あ、僕の方まで見ないでくれ。こんなので当てられたりなんかしたら、ほんとに許さない。



 え?僕?え…

 わ、わかりません……

 

 


 これだから陽キャは嫌いなんだ…

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