病鳥の止まり木33
ホールの扉を開けて、男女が入って来る。
会場を見回して、人の少なさに優越感のある呆れた表情を浮かべて、メアリのところへゆっくりと歩いて来る。
男女の特徴を上げるとすれば、男はダドリーに似ていて、女はメアリに似ていた。
自分に似ている女性を見て、メアリは淑女らしくスカートを摘まんで礼を取る。
あのメアリ・ウェールズが上位者に対する礼儀を取ったことで、会場に残った招待客達は注目した。
「お久しぶりです」
ただし、上位者から声をかけるという礼儀に基づき、丁重ながらも先に声をかけたのはメアリからだ。
両者の間に横たわる、礼儀作法では簡単に見分けられない関係について、メアリは簡潔に口にした
「お父様の葬儀以来ですね、お母様」
生みの親に向けて完璧な作り笑顔を披露して見せるメアリに、セスはちょっと感動した。
うわちゃんと表情作ると可愛い顔になるんだ怪談話に出て来る油断させて憑り殺す美少女モンスターみたいだけどそれ言ったら流石に怒るだろうから知らないフリしとこ。
セスは鍛えられた社交スキルによって、一瞬で感動を抑制した。
セスと似たような思考を経たのか、メアリの母、キャサリンも気味悪そうに眉を顰めた。
「お前に母と呼ばれる筋合いなどありません。わたくしはウェールズの悪名には耐えられません。一時とはいえ、おぞましいウェールズの名を名乗ったのは、誇り高きリッチモンドの娘として一生の汚点、今のわたくしはキャサリン・リッチモンドです」
母親から絶縁の言葉を投げつけられ、まあ、とメアリは可愛らしい声――いつもより二つくらい高い声で驚いた。
「あなたを母親と呼ばなくても良いだなんてそれは素敵ですね! 人生の汚点になる予定だったお母様の口から聞いた言葉で、人生最良の一言と記憶しておきましょう。では、遠慮なく」
そして、メアリの声は一気に低く、表情も少女らしい無邪気なものから、世の中を嘲笑うような笑みに変わる。
「それで、キャサリン殿、何かわたしに用事でもある?」
母親だから、建前上の礼儀を示してやっていただけなのだ。母親でなくなったお前など、格下に過ぎない。
そう宣言するような冷笑に打たれ、キャサリンは目を剥く。
「お前は本当に人の心がないわね! 親に向かってそんな口を利くなんて……血も涙もないあの男にそっくりだわ!」
「リッチモンド伯爵家の出戻り娘が、前ウェールズ辺境伯と、ウェールズ家の現当主にそんな口の利き方をして良いと思って?」
「淑女としての親切心からの忠告よ。年上への敬意くらい払えないなんて無礼な振る舞い、恥をかくのはお前よ!」
「今は遠い伯爵家出身のお母様から教わったことはないけれど、公爵家にお世話を頂いて、問題ないとのことよ? 伯爵家のご令嬢から見て、どこに問題が……あ、出戻り娘にご令嬢は、他の婚前の令嬢方に悪いかしら。ええと、伯爵家のご婦人?」
勝負にならないな、とセスは給仕を手招きしてグラスを二人分受け取った。
メアリに面と向かって親権を放棄したから、キャサリンはリッチモンド家の長女、それも離婚歴のついた三十代の婦人だ。
しかも、リッチモンド家は当主ダドリーが亡くなってから、領地を追い出されたため、伯爵位の継承が未定どころか、剥奪も当然と言われている。
対して、メアリも辺境伯を継承していないものの、ウェールズ家の当主であり、悪名高き西部の覇者だ。まともに口喧嘩をするには、身分も格も違う。
トカゲがドラゴンに吠えかかっているようなものだ。
どれほど弁舌が巧みで、人倫を武器にしたところで、そもそも勝負にならないので滑稽にしか見えない。
しかし、出戻り娘は中々きつい。セスは、同性としてちょっとばかり気の毒に思う。
メアリの生みの親だけあって、キャサリンは中々の美貌だ。それでも、年齢と離婚歴、何よりリッチモンド家の落ち目を加味すれば、再婚はまず無理だ。
今後、キャサリンは一生、実の娘から「出戻り娘」と揶揄されるに違いない。貴族の女として、どれほどの屈辱か。
まあ、からかうメアリの方も、いても不思議ではない婚約者の名前さえ上がらないので、二人とも結婚運については親子らしい共通点があるかもしれない。
「人に対する礼儀も、敬意もない! 民を虐殺し、父親の葬儀を放り出し、母親からも見捨てられる、お前のような無情の者を、鬼子と呼ぶのよ!」
「領政をしくじって不忠な家臣に領地を叩き出される無能者より、よほど上等な呼び名ね」
キャサリンにしてみれば、母親の手にも負えない極悪非道な血染めのメアリという悪印象を煽っているつもりなのだろう。
メアリの最大の欠点といえばそこなのだから、攻撃するのは当然だ。
ただ、どうもメアリはそれを欠点とは思っていない。
セスも、自分が小さいながら悪名を被って気づいたが、それは隠そうとしなければ大して問題にならない。
自分で選んで浴びた返り血は、ある種の強さの証明になる。
血塗れで笑うメアリを見れば、それは明白だった。
キャサリンの言い分に、メアリがきちんと言い返して、第一幕は完了した。
セスが取っておいたグラスを差し出すと、メアリは優雅に受け取って喉を潤す。
それから、メアリの目は母親だった女の脇、腕を組んで見下ろしてくる男に向く。
「メアリ・ウェールズ殿は、自分の非を一切認めないのだな」
「不忠者に家を乗っ取られた貴族崩れに、ウェールズ家当主たるわたしが、何か一歩でも退いてあげる価値があって? ついでに言うと、名乗りもしない非礼はそちらよ。どういう身分でわたしに話しかけているのかしら」
「姉上の言う通りの鬼子よ。よもや叔父の顔がわからんとはな」
メアリは肩をすくめて、セスに呆れて見せた。
「流石は、武名だけを自慢するリッチモンドのご令息だと思わない? どういう身分で、という言い回しを理解してくれないわ。マナーのわからない田舎者の相手は大変ね?」
「先程お会いした、リッチモンド伯爵夫人はお話の弾む方でしたね」
セスの方も同意する。
田舎者と言うと辛辣だが、中央の社交界よりも気軽な、悪く言うと未熟な西部社交界は、洗練具合が違う。
食いついてはいけないところに食いついて、失言をしてしまう。セスの言葉通り、前伯爵夫人のヨハンナなら軽くかわしたところだ。
「それで? ちょっと前まで叔父君であったギルフォード・リッチモンド殿。あなたは一体なんなのかしら。前当主の弟として、ここにいるの? それとも、リッチモンド家の当主になったのかしら?」
悪いけど、とメアリは罠にかかった獲物を見る、悪魔じみた笑みで短剣を刺す。
「落ち目のリッチモンドのお家事情なんて全然聞こえて来ないのよ」
メアリに血染めの悪名あれば、リッチモンドに没落の悪評あり。
どちらがより貴族としてまずいかと言えば、そこは政治力や社交力も加味されるが、まあ、リッチモンドの悪評が圧倒的にまずいだろう。
政敵フィッツロイに泣きつくくらいやばい。
ギルフォードは、兄ダドリーに似た顔を引きつらせながら、低い声を出す。
「ああ、それは名乗り遅れた。ウェールズ家の当主ともあろう者が、まさか我が家の情報を知らないとは思わなかった。改めて、名乗ろう。今の私は、リッチモンド家の代理当主だ」
「ふうん、代理? では、その代理殿が何か?」
戦で当主が急死したのなら、別に珍しいことではない。
戦前に済ませておけと言う話ではあるが、次期当主が若い場合は、後見人が代理当主として置かれることもある。
メアリに対して、ダドリーやフィッツロイが狙っていたのはこれだ。
ただ、ダドリーの正妻の娘は、さっきアマーリエを名乗っていた。一体誰の代理やら。
「知れたこと。次期当主のために、貴様が不当に占拠しているリッチモンド伯爵領を返還してもらおう」
それ以外の要求は……あったとしても、まず領地の奪還が第一に来るのは誰もが理解できる。
領地持ち貴族から領地を取り上げたら、何の意味もない。
「先程、我が姉キャサリンは貴様との絶縁を申し立てた。故に、メアリ・ウェールズがリッチモンド伯爵領に手を出していることは血縁上の正当性もない強奪、王国法に基づく不法行為である!」
「失礼ね。どこぞの貴族が領地をまともに治められずに逃げ出したと、家臣団から助けを求められたから、高貴なる者の義務としてかの地を統べているのよ。実力もなしに領地を持とうとする無能者の方が不当でしょ。領民と家臣を飢え死にさせたいの?」
「そもそも、それが貴様の謀略だろう。我々が何も知らずに騙されると思うなよ。西部の飢饉も、家臣団の反乱も、全て貴様が糸を引いていたのだ、この卑怯者め!」
「もし本当にそうだとしたら、別に卑怯者と呼ばれても構わないし、むしろそこまでやったことを自慢させてもらうけど……それ、ますますあなた達が可哀そうな無能ということになるわよ?」
騒動の最中、メアリが何もしなかったわけではないが、リッチモンドの家臣団に手を出したことはない。
西部全体の飢饉へ対処にしていたウェールズ家は、そこまで暇ではなかった。
なんなら、西部の雄とか威張っている伯爵家なら派閥一同の面倒を見て状況を改善しろと、不本意ながら応援したいくらいだった。
メアリからしてみれば、ゲルト達の旧リッチモンド家臣団が反旗を翻したのは、徹頭徹尾リッチモンド家の不手際である。
それを言っても、ギルフォードもキャサリンも信じない。
本当にそう思っているのか、自分達の失態を隠すために認められないのかは、本人達の胸の内だ。
こうした時、貴族同士の話は平行線だ。
証拠を出しても、偽造だ捏造だと言い合って収集がつかない。結局のところ、この時代の貴族とは戦う者達のことであり、そこでは真偽善悪よりも、暴力の大小こそが決定権を握る。
「あくまでも己の非道を認めないと言うのならば、神に代わってこのギルフォードが正義の鉄槌を下そう! リッチモンド家の代理当主、ギルフォード・リッチモンドの名において、メアリ・ウェールズに決闘を申し込む!」
張りの良い声で堂々と宣言する姿は、リッチモンド伯爵家が背負って来た武名を感じさせるものがある。
もっとも、個人で悪名を背負うメアリには、チンピラの脅し文句と変わらない。
「嫌よ、面倒臭い。わたしになんの得があるのよ」
「リッチモンドは武名で知られる一門だ。貴様も貴族ならば、その栄誉がどれほどのものかわかるだろう」
「その一門の現役当主を、ついこの間、戦場で倒した気がするわ。自慢話にするのも恥ずかしいくらい弱かったわね」
二番手の弟が出て来たところで、とメアリは嘲笑う。
「大体、誰に向かって決闘を申し込んでいるの? あなたの目の前にいるのはメアリ・ウェールズ、ウェールズ家の当主にして、王国西部の大部分をこの名前一つで牛耳る、西部随一の妖花よ」
決闘は、対等な間柄でしか発生しない。
生前のダドリーは、メアリを貶めて、自分とは対等ではないと決闘を投げ捨てた。西部が飢饉で喘いでいる最中、諸侯を巻きこんで戦乱を起こしたのだ。
それを今度は、メアリの方からリッチモンド家とは対等ではないとして決闘を拒む。
すでに、リッチモンド家に多数を動員できないほど落ちぶれたと貶めて。
「わたしと同格のつもりならば、恥くらいは知ることね」
リッチモンド家の二人から、歯の軋む音がした。
凄まじい形相から、よほど屈辱なのだろう。この気位の高さは、確かに貴族のものだ。
しかし、計画通りでもある。元より、リッチモンド家がまともに決闘を申し込んで、メアリが受ける道理はない。
それは、言った側も、渋々ながら承知せざるを得ない。
だから、フィッツロイから受けた助言も、納得している。
「ならば、リッチモンド家が所有する財産を賭けよう。貴様が勝てば、リッチモンド家の王都屋敷を譲渡する」
「ふうん? 王都屋敷一つと、領地一つを天秤にかけろと?」
しかも伯爵領だ。領地の一部ならばともかく、高位貴族家一つを丸ごと養える土地を賭けろとは不公平に過ぎる。
だが、メアリはこれを受けると決めていた。事前に聞かされていたフィッツロイの計画だからだ。
リッチモンド家には、乾坤一擲の決闘を成立させるための助言。
メアリには、そうそう手に入らない王都屋敷を手に入れるための助言。
どちらにも嘘は言っていないし、どちらの希望にも沿っている。
そして、フィッツロイは、自分の手元から何も出さないまま、勝った方から十分な感謝を受け、負けた方の恨み言も無視できる。
メアリには負ける気などさらさらないし、ギルフォードも勝てるつもりだった。
だから、メアリがどうしようかしら、ともったいぶっているのは、ただの趣味だ。
いらつくギルフォードとキャサリンの表情を見るのが、お嬢様的にはとても楽しい。憎悪のこもった目で睨まれるとぞくぞくする。
セスは後日そう聞いた。睨むだけでまるで相手にならない弱さが滑稽なのだとか。
良い根性をしている、とセスは眉を顰めたが、「絶対に逆らえない下位貴族を茶会や夜会でこき下ろして遊んでいる貴族はいるでしょ」と自分の貴族らしさをメアリはアピールした。
似たようなものだと言いたいらしいが、そうだろうか。
セスの首は傾げられるばかりだ。
「そうねえ。領地一つとは言うけれど、その時の人員なんかはどうするの? まさかうちの家臣を置いていけと言うつもり? 旧主を裏切った不忠者とはいえ、今はもうウェールズ家の人間だから、タダでは渡せないわ」
猫が獲物をいたぶるごとく、条件を釣り上げてやろうと、メアリは楽しそうだ。
その笑顔が消えたのは、ギルフォードの何気ない――少なくとも、本人には当然の台詞だった。
「王都屋敷にもいくつか家宝がある。それも屋敷につけよう」
「あら、意外だわ。今さら素直に仕えるような大人しい連中ではないと思うけれど?」
何せ、追い詰められたとはいえ、主家を裏切った者達である。お互いに信用しきることはできまい。
それを家宝と引き換えに求めるとは、メアリには理解できないと探りを入れる。
「我が家を裏切った不忠者どもを処罰せねば、家名の泥が拭えぬ。我が家は戦場で名を馳せた一族、戦場で主命に背くは死罪と決まっている」
なるほど。それならば理解できる。
頷いたメアリの顔から、猫にも似た笑みが消えていた。
「貴様、わたしのモノを侮辱したばかりか、傷つけると言ったな」
許さない。
メアリの声は、今にも激情で割れてしまいそうにひび割れていた。
「無礼者め。飼い犬を飢えさせて噛まれた分際で、わたしにすり寄って来た犬を殺す権利があると思っているのか。あれらはもうわたしのモノ。わたしのモノを壊して良いのは、わたしだけだと言うのに……っ」
黒髪が、激情を示すように波打つ。
王冠のように飾られた薔薇の花飾りも蠢いた。その美しさの下に隠れた、不吉な化け物が目を覚ましたかのような脈動。
だが、それを解き放つ前に、メアリの理性が戻った。
「良いでしょう。決闘を受けて立つ。ただし、わたしが勝った時の条件を変えるわ。王都屋敷はいらない」
メアリの隣で、セスが肩を落とした。
リッチモンドの残党を、今日この場に誘い入れた苦労が、たった今、全て無に帰した。
その代わり、メアリが出した条件は、何ら実利のないものだった。
「代わりに、人の飼い犬に手を出したことを詫びて貰うわ。そうね、王城の門前でやって貰おうかしら。旧リッチモンド家の家臣に向けて、己の無能さと不甲斐なさを土下座なさい」
「奴等に頭を下げろだと! 我等を、主家を裏切った狼藉者どもに謝れと!?」
「あれらを不忠者と馬鹿にして良いのは、主人たるわたしだけよ。貴様等にはもうその資格がないこと、満天下に知らしめてくれるわ」
「貴様、図に乗るのもいい加減にしろよ!」
「あら、領地一つと土下座なら、破格の条件よ。それでも逃げる? それならそれで良いわ。わたしは、それ以外の条件では決闘を受けない」
メアリの手にあったワイングラスが翻る。
自分のモノを傷つけようとした男女二人に、真っ赤な液体をぶちまける。
「決闘を受けないのなら、その汚れを持ったまま引き下がりなさい。本物の血で染め上げてやりたいけれど、それで我慢してあげるわ」
よかったわね。メアリの顔に笑みが戻る。
害虫に向ける方がまだ温かみのある、冷笑だ。
「その安い誇りだけは助かったわよ。貴様等にとっては貴族としての唯一の価値だものね。他の誰にも得はないけど」
メアリの冷笑が、セスに向く。
「流石は武名高きリッチモンド、自分から挑んだ決闘に背を向けるなんて。なるほど、今まで戦場で生き延びて来られたわけね。とても真似が出来ないわ。ねえ?」
取り巻きとして上位者におもねる役回りを、自分が引き受けるのは珍しいなと思いながら、セスはメアリの希望通りに冷笑を浮かべる。
「仕方ありませんよ。メアリ様に戦を仕掛けておいて、六十倍の戦力差で当主ごと蹴散らされるような家ですよ。西部どころか王国中で知られるその武名、一体誰が真似の出来ることか」
決闘を受けないならそれでいい、と口にしながら、メアリに逃がす気はなかった。
受けないなら、社交界を使って潰す気だ。今のように、事ある毎にリッチモンドの武名を声高に噂すれば良い。
どちらにせよ、落ち目のリッチモンド家には、この決闘を受ける以外の手はないのだ。
それに、決闘に負けても王都屋敷を失わないのであれば、万が一の時に捲土重来の機会も残るかもしれない。条件は、むしろ良くなったのだ。
思わぬ条件に混乱したギルフォードだが、冷静さを取り戻し、決意した。
「良いだろう。その条件を飲もう。いずれにせよ、勝つのはこのギルフォード・リッチモンドだ。決闘において、卑怯な振る舞いが出来ると思うなよ、メアリ・ウェールズ」
「そちらは好きに振る舞って構わないわよ。どうせまた数をたくさん揃えるのでしょう? 六十倍ぐらい」
メアリにとって、大した利益のない決闘が決まった。
セスは、計画と違う、面倒しかない、どうするんだこれ、などなどの気持ちを込めてメアリの手を取ってエスコートする。
「悪いけど、これがわたしの好みよ」
「そういうのは、せめて悪いと思ってから言って下さい。いや、思わなくても良いですけど、せめて申し訳なさそうな顔するとか。笑顔、すっごい笑顔……」
「あら、口先だけでも、わたしが謝るなんて特別なことよ? 光栄に思って欲しいわね」
それはそうかもしれない。
セスはちょっとだけ納得してしまったことが悔しかった。




