33話
夜寝る前に魔力操作の訓練をしているのだがそこでミヤに今日知ったことを話す。
「ミヤ、今日の二人は魔法と神官の神の奇跡、法力ってやつを使えるみたいで見せてもらったの。あと使い方もちょっとおだてたら教えてくれたの」
「え?ほんと?すごいよハナビちゃん!ようやく私たちも魔法を使えるんだ」
「うん、なんか魔法は起こしたい事象を強くイメージして魔力を引き起こすものらしいよ。だから魔力を集めてそれを何かに変換したり動いたりするようにイメージすればいいだけみたい。よくよく考えれば魔力操作も動くようにイメージしてやってるから、たったそれだけみたいだね」
「へえ、じゃあもう実際はある意味魔法を使ってたってこと?でもそのおかげで魔力操作の訓練みたいに他のこともイメージをして魔力に込めるだけで簡単にできそうだね」
「明日からは訓練場での訓練で魔法の実験もいろいろしてみよ。身体強化とかできちゃうかも」
「うん、楽しみ」
「じゃあ、とりあえずおやすみ」
「うん、おやすみ」
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朝起きて二人でギルドに向かう。二人で朝食を食べて私は待ち合わせがあるのでアイリーンとマリベルを待つ。ミヤは一人で森へ狩りと採取に向かう。
いつも通りギルドに来たのは4時過ぎだ。朝早いのであの時の男同様しばらく待つことになりそうだ。キナ爺は森について何も知らない私の先を歩いていろんな知識を教えてくれたが、とうとう私もキナ爺の立場に立つ時が来たのか。
まあ、ミヤにも森の知識を教えたりしたが、ミヤはそれ以前に一人でなんどか森に入ったことがあったのでずぶの素人ではなかった。
そんなことをぼうっと考えながら食堂の席について待つがちょっと考え事をしたところで大した時間は潰せない。なかなか一人で時間を潰せるような娯楽がないのでこういったときは困るな。
本でもあればいいのだがそんな貴重なものはなかなか得られない。領主の娘の伝手を使えば何か本の一冊くらいは手に入れられるんじゃないだろうか。まあ後で手に入れたところで今の暇つぶしはできないのだが。
魔法の訓練も危険を鑑みて、二人の時以外は今のところはしないと決めているからできない。
たぶんあと3時間ほどは待つことになるのではないだろうか。わがまま言ってミヤに残ってもらえばよかった。ミヤならお願いすればきっと待っていてくれた。
よく考えてみるとミヤと離れて過ごすのなんて同棲し始めてからは初めてではないだろうか。オーガを殺しに行った日は例外だ。
「ひま・・・・・・」
あまりに暇すぎて声に漏れる。
「なんだなんだそんな暇そうにして」
声がして振り返るとカイラスがいた。全ての元凶だ。なんだかんだカイラスも朝早くギルドにやってくる。少しずつギルドに来る傭兵も増えてくる時間なのでその前にはやってくるのだ。意外にもこの男は真面目なのである。
「ん、カイラスのせいで暇」
「俺は別に悪くねえだろ」
「あの二人を待ってるせいで暇なんだから。二人を押し付けたカイラスも悪いでしょ」
「まあまあ、悪かったって。普段通り動かせてはいるみたいだが左腕は一回ぐちゃぐちゃになってるんだ。少しはリハビリみたいな感じでペースを落として休憩するのもありだろ。また無理なんかしたらミヤが泣くぞ」
「ん、しょうがない。でも暇なのには変わらないから暇つぶし付き合ってよ」
「んなこと言われてもなあ。俺の仕事手伝うか?」
「ない」
「冗談だよ。そうだなあ・・・・・・ハナビ、お前弓撃ったことはないだろ?弓貸してやるから弓で遊んどけ」
「ん、わかった」
ギルドの倉庫に向かってカイラスから弓を借りる。こうやって度々ギルドの倉庫に置いてあるカイラス所有の武器を借りて、メイン武器以外の武器の訓練をすることもある。カイラスからのどんな武器でも扱えるようになっておけという助言受けていろんな武器の扱いを覚えるためである。まあ、カイラスの武器がギルドに置いてあるのは謎だが。
まあ、そのおかげで暇つぶしができるのだから感謝しよう。弓をちょっと射るくらいだったらそこまで体力も使わないだろう。
ただカイラスから預かった弓はとても大きい、構造は合成弓なのだが長さが2m近くある。一緒に借りた矢に関しては鏃と胴体が金属でできているみたいで固く、それなのにそこそこ軽い一体どんな素材で作られているのか。相当貴重なものなのは確かだろう。
まあ、カイラスの武器はどれも素材も作りも上等の域を超えたような代物がおおいのでいつものことである。ほかのものはともかく弓矢はこんな特殊なもので訓練しては変な癖がつきそうだが、あまり気にしないことにしよう。
とりあえず弓矢の形をしたものになれるのが一番だと思おう。
訓練場に行って的に向かって射ってみることにする。カイラスに二人が来たら訓練場に来るように言うように伝えたから、来るまで射っていよう。
まあまず弓の構えはどうすればいいのだろうか。縦に構えるのかそれとも斜めか横か。
魔物との戦いで綺麗に構える余裕はそこまでないだろうから適当に斜めでいいか。いやまずそんな余裕がないほどの距離間で弓をもって魔物と相対することなんてまずないか。それなら剣を抜いて戦うだろうし。
素人が無駄に考えるのはやめてとりあえず斜めでやってみる。最初は的から近くで矢を番えて弦を引く。
弦を引いてみるとこれが思ったよりもかたく強く反発してくる。こんな弦では一射一射一苦労だが、放った矢は相当な速度で飛ぶに違いない。
思った通り放った矢は木の的を貫通して破壊した。弓がこれで矢の性能もあれなんだからこの結果も当然なのか。カイラスはなんてものを隠し持っているんだ。
少しずつ距離を離しながら弓矢を射る。そうしてしばらくようやく二人がやってきた。
「お待たせしました」
「うん、待った。行くよ」
「いつ頃いらっしゃったんですか?」
「ん、詳しい時間はわからないけど日が出てきたころには来てた」
「え、そんなにも早く?大変お待たせしてしまったようでもうしわけありません」
「暇つぶしするのにちょうどいいのがあったから別に気にしてない」
「明日は私たちもその時間にこちらに向かうようにしますね」
「いやいいよ。弓矢射るの楽しかったし。今日と同じくらいでいい」
「そうですか」
「じゃあ、出発する」
「「はい」」
そうして森に向かっていく。街から森まで私の歩く速さで1時間半ほどだが今日は後ろに素人がいるのでかなりゆっくり目に歩く。なかなか気が利いていると言っていいだろう。きっとキナ爺もこんな弟子をもって誇らしく思っているに違いない。
そうして1時間歩いただろうかというところでアイリーンの足が止まる。
「あ、あの。すみません」
「どうしたの」
「あ、足が痛くて」
そう言われてアイリーンの足元に目をやる。すると森どころかこんな整備も大してされていない道すらも舐めているのかと言いたくなるようなヒールが目に入った。こんなヒールで森に入ろうなんて言っていたなんて大したものだ。世間知らずともいうが。
ヒールを脱がせて足を見る。足は赤くはれていてこれ以上の歩行は難しそうだ。この世間知らずも悪いがこれは私の監督不行き届きである。情けない。これではキナ爺も泣いている。
仕方なく今日はアイリーンをおぶって街に引き返すことにした。
「まあ、この程度ならポーションを飲めばすぐに治るだろうけど、明日は休みで明後日また森に行く。明日のうちに森に行くのに十分な靴を用意しておいて。マリベルが履いているようなもので十分だから。あとは森に行く目的としては薬草の採取なのだからそれを入れるものと水と携帯食も準備して。水と食料はマリベルに今日は持たせていたみたいだから問題ないだろうけど」
「はい、わかりました。申し訳ありませんでした」
「今日は私が始めに気が付かなかったのも悪かったから。あとは解散」
そうして二人と別れたがまだ昼にもなっていない。また暇になってしまったな。




