27話
今日もいつも通り森に向かう。森の手前でキナ爺と別れて森に入る。
道中で今夜ご飯を奢るよと言ったら、にっこりと笑って喜んでくれた。今日の夕食が楽しみだ。
今日もいつ戻りに薬草を採取しながらオーク狩りを頑張るとしよう。
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いつも通りの朝、いつの間にか弟子のようなそして孫のような存在になっていたハナビとその仲間のミヤとギルドの食堂で朝食を食べる。
ちょっと前から二人は肉を自前で持ってきて食堂の料理人に肉を焼いてもらっている。普通だったら仕込みなどで忙しいためそんなこと許さないのだが、二人はよく好かれているものだ。それを俺にも分けてくれるんだから好かれる理由もよくわかるが。
そうしていつも通り一緒に森に向かう。いつもここで雑談をしたり、俺の知識を伝えたりするんだが今日はいつもと違った。
なんとハナビが夕食を奢ってやると言う、ほんの少し前までは森を少し歩いただけでへばっていたのに大きくなったもんだ。それになによりその事実にとても嬉しく思う。
こんなできた娘を俺の弟子だというなんておこがましいと言われるだろうが、とても誇らしい。こんな街に収まっていないで世界を渡り歩き、羽ばたいてくれることを願う。これはかつての俺の夢でもあったがそんなことが可能な器ではなかった。その分弟子にその思いを託してしまうのも何も悪いことではないだろう。
そうして弟子の成長に感慨にふけりながら、二人と別れ森に入る。
そうしてしばらく歩いて気づく。いつもと違う。
なにか様子がおかしい。以前から森のもっと奥にいたオークが浅いところに出てきたりするようになったりしたり、最近は森の様子がおかしいと言えばずっとではあったのだがその比ではない。
森が静かだ。そこらにいる生物全てが必死に息を潜めているようだ。あまりにおかしい森の様子に自然と恐怖心が沸き上がり背中に冷たい汗が流れる。
今までだったらここで引いているところだったが、今は何より今日はハナビが森に入っている。
ハナビはこの異変に気付いているだろうか。ハナビは足跡とか動物が落とした毛とかの目に見えるものには目ざとくよく気が付く。
だがオークが増えだしたときに気づいてなかったように目に見えないものにはなかなか気づかない。だから森が普段よりも静かなことにも気づかず進んでしまうかもしれない。
どうするか。ハナビを追うか。この原因を探るか。
まずはハナビの安全が一番だ。一度ハナビが向かっていた方向へ向かうことにする。
そうしてしばらく、恐ろしいものを見つけてしまった。
「なんだこれ・・・・・・」
見たこともない大きさの足跡、形としては人型だがだからと言ってオークのものではない。オークのものはもっと小さい。
足跡は大きく、主の体の大きさ重さ故か深く地面に沈んでいる。
このサイズで人型そして大森林に生息する魔物_____オーガか___
だとしたらまずい。オーガなどまだハナビが相手するような存在じゃない。もしかしたら狩ることもできるかもしれないがもしそうしたらハナビも致命傷は免れないだろう。
そしてオーガの足跡が進んでいる方向___
___まさしくハナビたちがいる方向だ・・・
まずい・・・・・・どうするか・・・・・・
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慎重に音を消して気配を消して、速足でオーガを追う。全身に嫌な汗をかいている。
ああ、俺はなって馬鹿な事をやっているのか。俺が行ったとして何になる。
だが、ハナビを捨て置くことなんてできない。
_____そうして、見つけた。
赤黒い肌に3mを超える大きな体躯、俺が逆立ちしても勝てない相手だ。俺が簡単に蹂躙される存在。
そんな相手を前に何をしようというのか。
俺はハナビと飯の約束してんだ死ぬわけにはいかねえ。だがこのままほっといていいわけじゃない。
汗に濡れて、緊張で息の荒いからだを動かしてオーガの背後に回る。
やるならこれしかない。
_____俺は馬鹿だ
バッと木陰から飛び出してまだ俺に気づいていないオーガの腱を精一杯鉈で切りつけた。だが俺の力では皮膚を少し断つだけで、肉に軽く傷をつけられたかどうかというほどだった。
そしてオーガは俺に気づいて振り返る。
その振り返るのに合わせてナイフを投げつけてやる。見事にオーガの左目に的中し目を潰すことができた。
が、しかしその痛みでオーガは暴れ、その拍子に思い切り蹴とばされてしまった。
勢いそのままに地面に叩きつけられる。
____オエッ_______
ああ、何とか生きてるか。まだ動けるぞ。俺は運がいい。
オーガは何とか体制を立て直して俺の方へ向かってくる。
___ああ、やっぱり死んだか______
だが、俺の元につく直前にオーガは膝をつく。
「間に合ったか。エズ草の汁を鉈とナイフに塗っておいたからな。劇毒だ。効いたようでよかった」
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ボロボロの傭兵の爺さんが門にいるという話を聞いて、南門に走っていく。
「おいおい、まじか」
「おう・・・・・・カイラス、の・・・坊ちゃんか・・・・・・」
「何があったんだ。お前がヘマするなんてありえねえ」
「オーガだ・・・・・・だがよう、おれぁあいつのぉ・・・・・・
___ゲホッゲホッ
「おいおい、無理すんな」
「・・・・・・あいつのよぉ、左目潰してやったぜぇ」
「そうか、なんだよ爺さん戦闘もできんじゃねえか」
「ああ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・ハナビを、頼む」
それを最後にキナ爺は動かなくなった。
「あ、あ゛あ゛・・・・・・」
そう返答するカイラスは俯き、その声は揺れていた。




