表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/45

26話

 森の浅いところにまで出没し始めたはぐれオーク狩りがルーティーンとかしてからしばらく、いつしかオークを1日に二体三体と狩ることも増えてきた。それはそれだけオークの数が増えてきたことの裏付けでもあるのだがそれ以外の魔物はまだこちらまではやってきていない。


 そうして日々を過ごしようやくミヤの武器を受け取りに行く日になった。


 「新しい武器楽しみだね」


「ん、これでミヤがもっと火力を出せるようになるから戦略の幅が広がる」


 ガンズの店でミヤの武器を受け取る。


 注文していたのは今持っているスピアーの柄をより長くした形のハルバードとファルシオン、そしてダガーだ。ハルバードは長い柄の先にある斧のような形状の刃で切りつけることもその反対側にある爪のような形の部位で攻撃することも、長槍の鋭い切っ先で突きを放つこともできる。そして石突はメイスのようになっていてこちらでは遠心力を利用した強力な打撃を繰り出すことが可能だろう。


 これの扱いを極めれば相当な汎用性、そして火力を得られることだろう。なにより柄にある斧頭は無骨で大きく体の大きな魔物に対しても脅威となることだろう。


 人間が扱いやすいようなサイズにするとどうしても体の大きな魔物に対しては、大きな傷を与えられず有効打にはなりにくいこともあって大きな魔物を相手をする傭兵はそれだけ大きな獲物を扱うことが多い。


 そのためミヤのハルバードの斧頭も相応に大きくしているのだ。ミヤも今では相当な力がついているのでこの大きさで十分扱えることだろう。ただこれだけの成長値を考えるとミヤもハナビ同様、なにか特殊な種族に違いない。


 そしてファルシオンは幅広で重量があり耐久性、火力ともに期待のできる代物だろう。ハルバードの扱いにくい狭い空間などでは活躍すること間違いなしである。


 ダガーもガンズが作ったこともあり、鋭く重宝することだろう。このダガーに関してはハナビも同様に注文しており、一緒に受け取った。


 これだけの武器を得られればミヤも満足であろう。


 「すごい・・・これなら今まで以上に戦えます!ありがとうございます、ガンズさん!」


 「おお、そんなに喜んでもらえるなら作った甲斐があったってもんだ。ハナビはいまいち反応が薄かったからなぁ。まあ満足はしてくれてたみたいだがな」


「ん」


 「あとはガルクの奴から伝言なんだが。どうやらもうミヤの防具もできているみたいだ。行ってやれ。どれだけいい武器を持っても防具が粗末じゃあ頼りないからな」


 そして言われた通りにガルクの店にも行く。予定よりも早いが早くできるに越したことはない。これでミヤもより安心して戦闘に行けるのだからなおさらだ。


「ガルク、来たよ」


 「お待ちしておりました。師匠に武器を注文していたことを知って、同じ日に受け取りができるように急いだんです。間に合ってよかった」


「ありがと」 「ありがとうございます!」


 ガルクから受け取った防具はハナビとある程度は似通った構造だったが、下半身だけ関節部も守られておりより防御性能が高くなっている。その分機動性は落ちてしまうが、ミヤのハルバードの柄の長さでは下半身の防御はしづらいだろうと合わせて作ってくれたみたいだ。


 右のガントレットにはハナビのものよりも大きな盾もつけられておりより固くなっている。


 「すごくいい!ありがとうございます!」


 「満足していただけたようなら何よりです。ただ武器と防具を新調したばかりですのでよく慣らしてから森に入るようになさってください。わかっているとは思いますが慣れない装備で戦えるほど魔物も甘くはないでしょうから」


 「はい、気を付けます。ありがとうございました」


「よかったね、ミヤ。これで安心」


 「うん、これでもっと積極的に戦闘に参加できるしハナビちゃんの負担も減らせると思う」


「別に負担なんて思ってないけど・・・」


 「ハナビちゃんが気にしなくても私が気にするんだから、二人のパーティーなんだから二人で持ちつ持たれつだよ?」


「うん」


 そうして武器と防具を受け取って、昼食にしたのち訓練場に向かう。新しい装備にしっかりなれなくてはいけない。


 鎧はもちろんハルバードも以前のスピアーよりもはるかに重量があるのでミヤはかなり動きにくそうだ。以前のスピアーは柄が木製だったがハルバードは柄も金属なので重量がかなり増している。そのため武器を振るのにもかなりの抵抗を感じている。


「筋力は足りてるんだから、あとは慣れるだけ」


 「そうだけど・・・・・・動くの結構大変だぁ。動くときの違和感がすごいよ」


「慣れないと森に行けない。がんばる」


 そうしてもう夕食の時間になるころまで訓練を続け、ようやく新しい装備での戦闘などに慣れてきて森に行くのに安心できるほどにはなった。


 「___ふうっ、疲れたぁ。鎧ってなんだかんだ着脱も結構大変なんだね。ハナビちゃん、いつも器用に一人でパパッとこなしてたから、全身鎧と違ってこっちは簡単なのかと思ってた」


「これも慣れ。ミヤも慣れればできるようになる」


 「早くお風呂行こ?鎧着てたせいで汗で蒸れ蒸れだよ」


「ん」


 そうして一日を終えてまた次の日狩りに出た。ミヤは新しい装備で普段以上の活躍をしてみせた。これなら異変が起きている森での活動もある程度安心して行えるだろう。

 

 狩りから帰ってきて夜、ベッドに横になってふと考える。

 

 ここまで来るまでにいろいろと苦労があったがよくここまで生きてこれたな。


 始めはキナ爺におんぶにだっこだった。なんとかキナ爺から知識を吸収して独り立ちをして、もちろんカイラスにも助けてもらった。それによく考えてみればキナ爺を紹介してくれたのはカイラスなのだ。


 お世話になった分カイラスにはたびたびご飯を奢ったりして礼は尽くしていたが、キナ爺にはあれだけお世話になってるのにいまだに何も返せてないな。


 キナ爺は優しいからつい甘えてしまう。このままではだめだ。だから明日狩りから帰って来たらキナ爺を夕食に誘うのはどうだろうか。キナ爺は賭博で金を溶かしてばっかでそんなにいいご飯は食べてないみたいだから美味しいご飯をご馳走するのがいいだろう。


 美味しいご飯の良さを知れば、賭博で金を溶かすのなんかやめてご飯にお金をかけたりしてくれるようになるんじゃないかな。


 ___フフッ


 キナ爺のことだからそれはないか。


 「ハナビちゃんどうしたの?突然」


「んん、何も。ただの思い出し笑い」

 

 「そか、ハナビちゃんがつい声を出しちゃうほどのことなんてどんな話?」


「ヒミツ」


 ついつい声が出てしまった。


 まあ、もう遅いので寝よう_____


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ