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23話

 ミヤの武器ができるまで二週間といったところだがそれまではいつも通り狩りに行く。


「キナ爺おはよ」


 「ああ、おはよう。今日も二人で狩りか」


「うん」


 「そうか、なら最近は少し森の様子がおかしい。森の奥の方にいる魔物が普段より浅いところで見つかったって話も聞く。気をつけろ」


「そうなんだ。私が普段歩いてるところではそんな感じしなかったけど」


 「ははは、そりゃあハナビがまだまだってことよ。もう少し深く気配を探ってみろ。最近は動物の気配が騒がしい」


「全く気付かなかった。もっと気を付けることにする」


 「ああ、そうしな」


 キナ爺から朝食を食べながら注意を受けて森に向かう。


 いざ森に入って気配をいつも以上に注意深く探ってみると確かに動物たちの気配が騒がしい気がする。これは気を付けなくては


「キナ爺の言ったとおりだ。ミヤ気を付けよう」


 「うん」


 普段とは違う森の様子にいつも以上に注意して森を歩く。よくよく考えてみるとゴブリンも最近は今までよりも浅いところで出会っていたように感じる。そのおかげで最近はゴブリンを少し多めに狩れていたのだが___とは言ってもゴブリンをいくら狩っても金にはならない。こんなわかりやすい変化にすら気が付かなかった自分に少し最近は気を緩めすぎていたと渇を入れつつ薬草の群生地を回っていた。


 昨日の深夜少し降ったみたいで地面がいつもよりぬかるんでいる。そのうえ雨で動物や魔物の足跡も消されているのか気配は感じるもののなかなか痕跡は見つからない。


 ただそんななか今まで見たこともない大きな足跡を見つけた。


「ん、なにこれ?」


 「どうしたの?」


「これ、今までこんな足跡見たことない」


 それは大人の男の足跡をより大きくしたようなものだった。森の中を裸足で歩くようなのはここら辺ではゴブリンくらいだがゴブリンの足跡よりもはるかに大きい。この足の大きさならそれ相応に体も大きいだろう。強敵の気配に息をのむ。これを相手にして私は勝つことができるだろうか。


 「ハナビちゃんどうするの?こんな魔物相手じゃあ厳しいんじゃ」


「ん、ここは引こう。今日は足元もぬかるんでるし初見の相手じゃ危険すぎる」


 すぐに足跡を背にして街に帰ることにした。


 ギルドに戻ってカイラスのところへ行く。


「カイラスこれ換金お願い」


 「おう、今日はいつもより帰りが早えな」


「うん、いつもは見ない魔物の足跡を見つけた。今日は足元もぬかるんでるし無理せず帰ってきた」


 「ほう、そうか・・・・・・それはどんな足跡だった?」


「カイラスの足より大きい人間みたいな足跡だった」


 「俺より大きい人型の足か・・・・・・それならオークの足跡かもな。大森林の奥の方に普段いる種族なんだが。体も大きく力も強い。ハナビならともかくミヤの嬢ちゃんの装備じゃあ危険だっただろうから引いて正解だな」


 「大森林のオークにははぐれのオークと部落を形成しているオークがいるんだ。はぐれの方はともかく部落に属している方は装備も上等なものを使ってることが多いし、そっちの方が体も大きくて危険だ。ただ最近森の浅いところで発見報告を受けるのははぐれの方だ。ハナビが見た足跡もはぐれの方だろう」


「そうなんだ。ありがと、気を付ける」


 「ああ、あとは最近はぐれオークが浅いところで出てることもあって、オークを討伐すれば報酬がだせるようにしばらく常設で依頼が出るようになる。二人で話し合って森の変化に対して方針を決めるといい」


「うん」


 カイラスと別れてから、早く帰ってきたのもあっていつもより長めに訓練をした。

 

 寝る前にミヤと話をする。


 「ハナビちゃん私オークを狩るのもありだと思うよ」


「でもそれだとミヤの装備じゃ危険。カイラスも言ってた」


 「私は距離をとって防御に徹すればだいじょぶだから。オークを見つけるたびに引いてたらこれから稼げなくなっちゃうよ。それに私の装備は確かにまだ貧弱だけど、それでもハナビちゃんが一人で狩りに行くより二人の方が安全だと思う」


「ん・・・・・・・・・わかった。でもそれなら、ミヤの防具も早めに注文しよう。お金は私が出すから明日ガルクの店に行く」


 「んん、わかった。ごめんね、借りた分は必ず返すから」


「気にしなくていい」


____________________


 次の日二人でガルクの店に行く。


「ガルクはいる?ミヤの防具を頼みに来た」


 女中に声をかけてガルクを呼んでもらう。


 「お待たせしました。今日はハナビさんのパートナーさんの防具の注文と伺ったのですが」


「うん、そう」


 「ミヤです。金属鎧をお願いしたくて」


 「そうですか。金属鎧とのことですが、全身を覆うものでしょうか。それともハナビさんのもののような関節部の防御が薄い分機動性の高いものでしょうか」


 「ハナビちゃんと同じ感じでお願いします」


 「わかりました。ではサイズを測りますのでこちらへどうぞ」


 防具の注文を終えて昼食を食べに行く。今日はカイラスを呼んでいい店を紹介してもらう。


 紹介してもらった店は街の北にあるエルメス川で取れる魚を使った料理だった。当然高かったが魚のあらから出汁がとられたスープとメインの焼き魚はとても美味しかった。


 安いところはそれはそれはひどい味のところが多いが、いいところはとても美味しくこの世界の料理も捨てたもんじゃない。この店にはまた行きたいところだ。



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