10話
4月になってしばらくしてまた高校生活が始まる。といっても部活もないので授業を受けてすぐ帰るだけなのだが・・・・・・しかしそれでも登校日はキナ爺との薬草採取もできずに訓練をするくらいしかできなくなってしまう。
朝支度をして学校へ向かう。学校についたら自分の席について読書をする。今までは小説などを読んでいたが、今は武術の本などあちらで使えそうな知識を得られる本を読む。
授業を受けて業間に本を読む、授業を受けて本を読むというのを淡々と繰り返していく。別に友達もいなければ少しでも話す相手もいないので本当にそれだけで時間が過ぎていく。
昼食も一人で食べ、午後も同様に過ごす。そうして学校での1日が終わり家に帰る。
「はあ、退屈だった・・・・・・」
オズワルドで生きていくための知識を得るために読書をする時間は満足だったけど、授業は今まで通りただ詰まんなかったな。
もともとどうしてもやりたいことがあるときなんかはよくサボったりしてたし、サボっても両親は何か言ってくることもない。私がいないことを気にする人もいないだろうし、学校も毎日行く必要はないかな。学校に行ってる時間がもったいないし、キナ爺と一緒に森に行きたいな。
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そうしてほぼ毎日オズワルドで過ごしてたまに学校へ行く生活をして2週間がたった。
今日は待ちに待った新しい武器を受け取りに行く日だ。この剣で魔物を狩ることはなかったが、雑貨屋で買った中古の剣とはおさらばだ。
鍛冶屋の中に入って女中に声をかける。そうして女中にガンズを呼んでもらう。
「おう、一昨日には一応できていたんだがようやくきたか。じゃあ、これが注文の品だぜ。まずはこれだな。お前がもともと持っていた剣と同じ大きさで切りつけることも可能な設計にした。素材はウィッチスチールっつう、魔鉄を使った合金だ。この合金は固くかけにくい上に折れにくい。これならある程度固い相手も切りつけるようにして使えるはずだ。」
剣を見ると剣身は鉄よりも少し黒味を帯びた金属でできており、剣身の中心に凹みがありこれで少し重量を抑えている。鉄などの金属では耐久に少し不安が出るだろうがウィッチスティールという合金は非常に丈夫らしく耐久の面も心配にならない。柄は片手だけでなく両手でも扱えるバスタードソードらしく両手でも扱えるよう長めになっている。全てにおいて上出来で自分の命を預けるのに十分な品だろう。
「あとはこっちだな。注文は手斧かメイスのどちらかってことだったが、どっちも用意してやったよ。これはどっちも素材は鉄だからな。あと武器を携帯するためにこのベルトを持っていけ。武器に合わせて調整しておいたからちゃんと使えるはずだ」
手斧もメイスも60㎝ほどの大きさで取り回しの良いサイズだ。そして手斧は刃の逆側がピック状になっていてかなり汎用性の高いものになっている。
「ん、ありがとう。こんなにサービスしてもらって助かるよ。うれしい」
「まあ、カイラスからの紹介だからな。ある程度信頼してだよ。何か必要な時はまた言えよ」
「うん。じゃあ、ほんとうにありがとう。またね」
ガンズに挨拶をして店を出て、ギルドの訓練場へ向かう。早速使用感を確認してみたいのだ。
訓練場について改めて自分の武器たちを見る。
「ふふっ」
新しい武器を前にしてテンションもいつもより高く上機嫌だ。これをもって冒険に出ることを想像するとワクワクが抑えられなくなってしまう。
「カイラスにはちゃんとお礼をしないとな。あとはこの武器を自慢してあげなくちゃ」
でもそろそろ武器を振り回して、使用感をを確認してみなくては。バスタードソードの方は素材の差で以前のものよりも少し重量が増しているし、メイスや手斧に関しては初めて使うことになる。
しっかりと武器に慣れてちゃんと扱えるようにしなければいけない。
そうやって訓練をしてしばらくして訓練場にカイラスがやって来た。
「ん、カイラス。武器できたよ。本当にありがとう」
「おう、満足したなら紹介した甲斐もあったぜ。あいつは俺の旧友なんだが腕はいいからな。これからも贔屓にしてやってくれ」
「うん、じゃあカイラスちょっと付き合ってよ」
「まあ、お前も新しい武器に慣れなきゃだからな。今日も満足するまで付き合ってやるよ」
そうして私が満足するまで付き合ってもらった。
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朝起きていつも通りギルドに行ってキナ爺と合流する。
「おう、武器を新調したか。今まで持ってたのはボロだったみたいだからな。いいことだ」
「うん。でも、まだ一緒に薬草採取に行くよ。いいでしょ?」
「ああ、まあ構わねえよ。ハナビはもう俺の弟子みたいなもんだからなぁ」
「うん」
キナ爺から直接弟子なんて言ってもらえてすごく嬉しいな。
ハナビは潜在能力値の高さからもうすでにかなりの体力、筋力がついています。バスタードソードも軽々と振り回すことができますし、森の中での移動で息切れすることもありません。
 




