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危険な地帯 安全な頂上

「お父さん。私も、行きましょう。チーシャは水が無いじゃないですか」

「キュネ キュタ キュミ キュオ キュイ」

「水が無くとも、二人なら大丈夫? 頼もしいな。でも、二人にとっては、それは無くてはならないものだからな。どこかにあるか、発生するはずだ。確認できるまでは、まあ、僕一人はどちらにせよ、行かなければならないから、まずはデーナのみだ。待ってて」

タンポポ・タネは水の探索をお願いし、デーナの保存ブロックへ向かった。バイオミーの操作でスーツと噴射器、光差剣銃を携え、マクロ船の腹から黒く、高い山を眺めた。

「交叉の御相手がいるのであれば、いくぞ。デーナ」

マクロ船の腹から、アームで下ろされ、まずは麓もなく、すぐに山が連なっていく岩盤に降り立った。巨人体のデーナはタンポポ・タネとともに大きく伸びをしてから、堅い斜面に足を掛けた。操作部から山の肌をよく観察しながら、慎重に二十メートルのモデル物質は頂上まで辿っていく。噴射機を使わないのは、デーナとともにこの環境への耐性を確かめたかったのだ。グローブで斜面を掴みつつ、あちこちと首を動かし、視覚から映っていく画面で水や交叉対象の跡を探してみる。 

「本当に溶岩が固まった岩盤だな。歪な黒い山肌だが、おかげで登れるぞ」

「お父さん。熱くないのですか」

マクロ船ではともに対象の捜索と火山の観察を行っているカシアやチーシャからの声が、届いてきた。チーシャは初めて見る風景にバイザーをつけたり、大きな黒目を出したりして、カシアの触爪を掴んでいた。これでも難しいでしょと、デーナの操作部まで音波が伝わってきている。

「やってみないと、わからないでしょう。そんなことは」

「聞こえている。冷えて固まっているから、大丈夫だよ。おっ! 見えるか! 上だ」

「こちらでも確認しました。リーダー」

白い蒸気が吹き出ている箇所をデーナで指差した。タンポポ・タネはそこまでトリガーとゲル状へと伝わったゲノム信号で登っていく。割れ目から確かに熱い湯気が出ており、水が流れ出ていた。

「湧いてきてるぜ! 温泉だ。面白いな。水が山に溜め込まれているんだ。火の力もあるな。ならば、皆で入れるかもな。地獄みたいな熱さでなければね。交叉対象も見えてくるぞ。悪魔でなければね」

噴射機で安定させつつ、タンポポ・タネは防護宇宙スーツを着込んだデーナを操作し、温泉が湧き出した山肌近くでしっかりとグローブの手とブーツの足を引っ掛けさせた。


ノベルアップと小説家になろうに同時投稿

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