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生存と精神
両手で温めるように、触れ合うように、片膝をついて、冷たい氷と海しかない惑星をルーナの操作室から眺めた。分厚い雲から吹雪が襲い掛かってくる。ケンペキ・ショウは宇宙船には戻らずに、このまま感覚拡張機能の装備をメッカーに伝えた。過酷な環境でも人類ゲノムモデルを壊さないためのスーツを身に纏ってはいるが、吹雪で視界が遮られそうなので、その感覚拡張機械を選択した。サメ船の腹から巨大な新緑に染まったクモが降り立った。ケンペキ・ショウは驚いたが、どうやら自律型の機械であり、そして感覚拡張機械であるとメッカーからデータが送られていた。
「メッカーと同じ、人間の認知心理学研究でつくられたプログラムを搭載した自律型のロボットか。八つの足に、八つの目玉、は? これをルーナの顔に、いや、バイザー越しではあるが、顔に貼り付けるのか? それで視覚が広がると言うのか。虫はあまり好きではないが、その力は人間にはないものだ。よろしく、頼むぞ」
八つの足がルーナの体を這って、バイザーを覆うと、八つの虹色の瞳が輝いた。
小説家になろうとノベルアップに同時投稿




