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三本の角 一つの石

火山の環境ならば、このままの状態でも問題はなかったので、熱を帯びている箇所にデーナ・クロス・ルクミルは向かっていく。角兜と瞳だけではなく、黒い山肌と同じ色の足は逞しい筋肉となっており、スーツのブーツは固い岩も険しい壁も踏み付けられる蹄の形で現われていた。山の麓から頂上まで一気に駆け上がることができ、閉じられている瞳の中で赤く色づいている所に辿り着いた。

「すごい! 見えるし、駆け上がれる! これならば、温泉も掘れるぜ」

「モク メー メー モク メー」

「えっ? 開眼するの?」

頭を覆う兜の角が突然伸びて、デーナの視野はサーモグラフィーの画面から鮮明な映像に切り替わり、遠くで転がっていく岩石から360度も後ろで微かに揺らいでいる火山の煙もすべて捉えていたのだ。タンポポ・タネの視野では遠くの落石ぐらいしか処理できないが、デーナ・クロス・ルクミルの画面上には豹の群れを目視しできていた。

「ここまで、広く遠い視野で、目視までできるのか。なるほど、頂上だとなおさら確認しておかないといけないな。全部は処理できないけど、豹の群れは確かに獲物を探している姿だ」


小説家になろうとノベルアップに同時投稿

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