三本の角 一つの石
「えっ? 同じ? 三つ子か。なるほど。同じ年月で、同じ最初の求愛のタイミングにおいて同じくちょうど一番目というのも運命という納得だし、デーナの交叉にも歩み寄ってくれるわけだ。モデル物質の引きの強さというのはあるかもな。誕生においては、最初が最後だからな。それならば、この僕が皆と目を合わせよう。デーナの交叉は目ではっきりわかってもらわないといけないし、赤角人の求愛にも合う。なにより、彼らの視覚情報に嘘はつけないだろう」
タンポポ・タネは三姉妹が開いた赤い瞳から逸らさずに、まっすぐに向き合った。彼女達の、赤角人達の瞳孔が非常に複雑な模様で作られていることがわかった。恒星の光も届きにくい、黒い火山だらけの惑星で目は輝きを保っているし、長く見詰め合っていると頭が熱を帯びてくる。これらは赤い瞳孔の力で、映像を見せたり、暗闇で敵の多い環境でも確実に視野に入れられたり、さらには脳にある記憶情報をそのまま見て取れるのだ。バイオミーの様々な言語を取り入れた分析も必要ない交叉対象もいることはタンポポ・タネには驚きであった。このおかげでデーナへの複座搭乗まで三姉妹は来てくれたし、名前も知れたのだ。
「三つ編みがルクミル、ふんわりのシーミル、揃っているのがオチミルか。発音がないのだけれども見詰め合ったときにわかるよ。赤角人の目の光って音に変換できるのだもの。瞳の奥を見せてもらった証拠だ。じゃあ、三人いっしょにデーナに乗れたことだし、交叉のために山に挑ませて頂く」
狭くなった複座の席でまずは人間のモデル物質のまま、山に下りた。
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