熱い山 冷たい豹
デーナと同じ巨大な体を持ち、鋭い牙が赤く染まっているのは血で滴っているのだ。
「赤い目も火山への擬態だな。あの耳にこの尻尾、まさしく豹じゃないか。大きい!」
「キュミ キュザ キュア キュミ キュイ」
マクロ船で画像を認識でき、赤角人の集団の移動も確認したが、デーナ・クロス・チーシャのバイザーを下ろしたのは、黒い固い岩を踏みしめて、獣が襲いか掛かってきたのだ。爪の大気を切り裂いてくる音が見えたので、デーナの足を伸ばし、ヒレンブーツで叩き返した。黒くて、赤い獣の体は地面に投げられたが、すぐに立ち直った。こちらも着地して、光差剣銃の刃を逆手で持ち、種殻弾ですぐに威嚇した。素早く、山肌を駆け抜け、弾を避けていき、向かってくる。しかし、デーナのバイザーは赤い柄模様ではなく、四つの足が切っていく風とうなり続けている音の形を描いており、噛みついてきたところにヒエンファーの動きで刃をそこに押し込めた。そのままの勢いを利用し振り払って、山肌に強く押し付けた。再び種殻弾を囲まれている山の壁のいたるところに撃ち放った。足音と吠える声がいくつも、バイザーから見えていたからだ。
「キュネ キュワ キュヒ キュミ キュタ」
「ああ。単独ではないな。あちらも数を揃えてきている。赤い牙も目を柄も見えるが、大きい体はこの一匹のみみたいだ。僕が威嚇しつつ、聞き逃さずに、見逃さないように頼む。大きい黒豹はデーナと同じハーレムの主かな? それとも壁のように囲う者か」
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