視点は頂点で
ついにデーナは登り詰め、マクロ船でも確認してもらっていた火口を覗き込んだ。ガスは出ておらず、火山やマグマの活動は停止されているようだ。
「リーダー。岩肌の穴から、赤い光が! いや、これは瞳です」
「瞳? 本当だ! ばっちり、見られている」
黒い山の頂上付近に集まっている小さい穴から、たくさんの赤い光がデーナに向けられていた。最初はレーザーの光か、なにかと警戒したが、拡大画像がバイオミーから送られ、確認すると生物の瞳であった。実際に光線が当てられているわけでも、見えるわけではないが、それらの赤い瞳での視線がデーナに注がれれば、巨人体の繊維スーツに熱を感じる反応があった。宇宙環境に耐えられるものであり、問題はなく、ただ大切DNAを保護するために繊維部分が敏感に厚く収縮していくのを観察できた。敵として見られているのかと想像したが、視線自体に狙いは定まっておらず、腕や足やとそれらは移っていき、動いていき、最後はその数が減っていき、四つの光だけが、二人のここの交叉対象の仲間の目と思われるものが向けられている、一つの小さい穴をタンポポ・タネは見つけた。
「何か、炎とか燃えている松明とかと思いましたら、たくさんの瞳だったんですね。お父さんの交叉対象の集団でしょうか?」
「キュビ キュヒ キュア キュサ キュゴ」
「ああ。まっすぐ、こちらを、デーナを見つめている光、瞳がある。ちょうど、デーナの光もあちらを指し示しているし、間違いないな。目は口ほどにものを言う。チーシャも、あの赤い色は海で見せてくる警戒の光とは違うと感じているか。まずは、やっぱり、僕とデーナで行く」
四つの瞳と光は、消えたり、大きく燃えたりしている。そのおかげで、黒い岩肌の中でも、見失わなかった。赤い視線を辿って、デーナをマクロ船と高い山の頂にも命綱を固定した。タンポポ・タネはデーナの操作室から降りて、光差剣銃を携え、まだ見つめてくる瞳にバイザー越しで、見つめ返した。中は鉱物が光っているのか、踏みしめられ、削られ、磨かれた道が出来ているのが確認でき、お互いに視線を逸らさずに、見つめあったまま、そのまま吸い込まれ、進んでいく。
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