視点は頂点で
デーナの腕が伸び、黒い岩盤を手で掴んでいく。空が曇っているのは、たくさんの火山の影響であっても、隙間から恒星の光がわずかに漏れ出ている。それをタンポポ・タネはこの惑星からも熱い視線と受け取り、空と頂上を目指し、ひたすら登っていく。マクロ船の命綱があるにしても、デーナの巨人体にびくともしない山に、ひたすら挑んでいく。
「お父さん。私の触爪を使いましょう。温泉も大気の成分も、マザーの分析でわかっています。任せてくださいよ」
「まだだ。これは光叉転写体デーナと僕の中の人間のゲノムの限界を教え、教えてもらう、惑星環境とのぶつかり合いなんだ。僕のゲノムがここで、火山の中で生きられるか、野垂れ死ぬかの二つに一つだ。だから、登るんだ。このデーナとともにね」
トリガーを握る手に力を入れ、堅い岩肌を確認しつつ、交叉対象のあの赤い目も探していく。小さい穴は上に行くほど、徐々に増えていく。それらから、お湯や煙が時折沸き出てはいるが、マクロ船からのバイオミーの指示と黒い火山と同化する生物へのタンポポ・タネの期待を込めた目が、ゆっくりとデーナの巨体を頂上へと運んでいく。
ノベルアップと小説家になろうに同時投稿