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熱い温泉 怖れる視線
耳は角と髪の後ろに折り畳まれていたようだ。長く高い耳が出て、タンポポ・タネに向けられた。だが、目は固く閉じられたままだ。正面からの認識は高く長い鼻に、細く鋭い顎に、両目の上には紅い紋様がある。ダミーの目の役割だろうか。顔に左右等しく配置で並べられている。それと、三人の脚が目の前に並べられていた。目をどうやって、開かせようかとじっと考えた。驚かすわけにも、いかない。ひとまず、いっしょに足湯に浸っていようと、両手を後ろにおいて、自分も目を瞑り、味わった。こうしておけば、警戒されることはないし、バイオミーの子機で開いた目を画像で撮れると思ったのだ。チーシャとは違い、音も言語も発せられていないが、目で語り合うのだろうかと開いて、もう一度、前の三人の脚を見た。リラックスしているのか、眠っているのか、わからないが、うとうとと体が前に、後ろに、横にと揺らいでいた。温泉から、タンポポ・タネは両足をゆっくりと持ち上げた。
「角の重さは知らないけれど、僕の肩を貸すよ」
ノベルアップと小説家になろうに同時投稿