コント「鳩カフェ」
客:男性客。ツッコミ
店員:女性店員。ボケ
客「お、こんな所にカフェなんかあったのか。鳩カフェ? なんだこれ。入ってみるか」
チリンチリン
店員「いらっしゃいませ! お飲み物はビールでよろしいでしょうか!?」
客「うおびっくりした! いきなり酒を出すな! 出すにしてもまず注文を聞け!」
店員「かしこまりました! ご注文はお決まりでしょうか!? おすすめはビールです!」
客「飲まねえよ! というか最初は席に座らせろ!」
店員「失礼しました! こちらのお席にどうぞ!」
客「まったく。ホットコーヒー」
店員「かしこまりました! ご一緒にビールは」
客「いらねえ! 妙に勧めてくるな! それより気になったから入ったんだけど、鳩カフェってなんなんだよ」
店員「はい! 店内に放し飼いにされている鳩を眺めたり、触れ合いを楽しめるカフェです!」
客「ほんとだ鳩わんさかいる。猫カフェみたいなもんか。あんたが店長?」
店員「いえ! 店長は鳩を捕まえに近所の公園に」
客「公園で捕まえてるの!?」
店員「はい! 素手で鳩を捕まえるのが唯一の特技だとか!」
客「すげえなおい! 簡単に捕まえられる物じゃないぞあれ。鳩と触れ合えるとか言いながら、大抵の人は無理だよ普通は」
店員「存在感ないので、鳩に近づいても気づかれないそうです!」
客「ないにもほどがある」
店員「ちなみに私はただのバイトです! あ、申し遅れました鷲宮といいます!」
客「鳩じゃなくて鷲なんだな」
店員「別に望んでこの名字になったわけじゃないですし、この仕事するために産まれたわけでもないので」
客「急にドライだな! でもごめんな名前を弄るべきじゃなかった」
店員「店長から、名字気に入ったから採用って言われた時は、よっしゃラッキー! ってなりました!」
客「喜んでる!? そこは鳩じゃなくていいのか店長!?」
店員「あ、お待たせしましたホットコーヒーです」
客「お、いい香り」
店員「危なーい!」
客「うおっ!? なんだ急に突き飛ばすなよ!」
店員「鳩がカップの上にフンを落とそうとしてたので!」
客「汚え!」
店員「危ないところでした。私がいなければどうなっていたか」
客「本当だよ! てかそこら中フンだらけじゃないだろうな、ここ!? 椅子の上とかに落としてないだろうな!?」
店員「大丈夫ですよ安心してください! ……ちゃんと拭きましたので」
客「うわ汚え! 座っちゃったぞおい!」
店員「お客様。コーヒーは立つのではなく、座って落ち着いて飲むものですよ?」
客「座ってられるか! 鳩のフン落ちてた椅子によ!」
店員「仕方ないですねー。あ、お食事とか注文されますか?」
客「食えるかこの状態で! よく訊けるなそんなこと! いや、叫びすぎて腹減ってきたわ。なにがある?」
店員「私ナポリタンしか作れません! えっへん!」
客「なんで自慢げに言うんだよ!? もういいよそれで」
店員「かしこまりました! せめてトッピングはメガ盛りにしますね!」
客「勝手にトッピングとか決めるなよ。嬉しいけど」
店員「でもパスタって種類多くて難しくないですか? 私いまだに、ナポリタンとカルボナーラとアルデンテとマカロニの区別がよくわかりません」
客「いや、俺も詳しくないけどな。それは全く別物だと思うぞ」
店員「ナポリタンって白いやつでしたっけ」
客「赤いやつな! それしか作れないんだろ! わかれよ!」
店員「了解です! 少々お待ち下さい!」
客「大丈夫かよ本当に。なあ、まさかとは思うけど、キッチンも鳩のフンだらけじゃないよな」
店員「大丈夫ですよ! 妨害電波で入らないようにしてますから!」
客「妨害電波!?」
店員「それでも入ってきた鳩は、このショットガンで撃ち殺します!」
客「うおっ!? なんだそれ! 物騒なもの出すな! こっち向けるな! しまえ!」
店員「ナポリタンとご一緒に鳩のチキンステーキはいかがですか?」
客「いらねえよ! 絶対撃ち殺した鳩使ってるだろ! というかお前ナポリタンしか作れねえだろ!」
店員「ビールに良く合うんですよ。さあ、私とご一緒にビールを」
客「自分が飲みたいから勧めたのかよ!」
店員「あ、お待たせしました! ナポリタンのヒエ、アワ、パンくずトッピングメガ盛りです!」
客「やめろやめろ! それを厨房から出すな! なんでそんなトッピングなんだよ! 出した途端鳩が群がってくる!」
店員「その時はこれの出番です!」
客「ショットガンをしまえ! おいなんだよこの店! まともにやる気あるのか!?」
店員「さあ。それは店長に聞いていただければ。お客様の真後ろにいますので」
客「うわびっくりした! いたのかよ!」
店員「いましたよー。五分ぐらい前からずっと」
客「マジで存在感ないのな!」