1ー7 関係
アルは、いつもようにトンファを呼びに行く。
あいつ、いつまでたっても朝が弱いからなぁ。13歳ともなれば、だいぶ異性も意識するお年頃だが。山を駆け回ることが多かったこの二人に関していえばほとんどそれがない。
だが、今回はちょっと事情が違ったようだった。
アルは、トンファが寝ているであろう部屋の窓に小石をぶつける。カチと音をならして「トンファー、朝ですよぉーーーーー。」と一体何回同じことをしたであろうこの目覚ましコールをしてあげる。
いつもなら、少したつと「お、おは、ねる」などと言って、起きるだかか寝るだかわかんない返事のあとに玄関のドアがあく。だが
その日は、一向に返事もなければ出てくる気配がない。
しょうがないので玄関をノックする。
少しすると、トンファの母親が困った顔をしながら出迎えてくれた。
なんでも、昨日の晩に父親と大喧嘩したらしい。
内容までは、教えてもらえなかったし。そこまで聞くこと出もないと思い。
今日は部屋に閉じ籠ってるとの事だったので母親に挨拶だけして帰ることにした。
次の日、トンファは昨日の事は無かったかのように僕と仮に出掛けた。
だが、今日のトンファはいつもと様子が違った。
たまに僕を見つめてはため息を吐く。
「あんたが、アルがいけないんだから、、、、。」
「え、何か言った?」
急に獲物を追い込んでいる最中に後ろを走るトンファが言った。
聞こえにくかったが、何か僕が悪いことをしたらしい。
昼食の時間。
僕らは、山の見晴らしのいい丘の上で簡単な食事をした。
ここから見える景色は。それなりによく視界には村の様子もみてとれる。
遥か遠くには、険しい山脈がみえその谷間に大きな川が流れる。あの川の先には大きな水溜まりで塩味のする「「海」」があるとお爺ちゃんが言っていた。
「ねぇ、アルはずっと村にいるの?」
突然、黙りこくっていたトンファが尋ねてきた。
口のなかにご飯は詰め込んだばかりで、すぐに返事ができなかったが
「いるけど、どうかしたの?」
「死ぬまでいるの? 大きくなったらどっかいくんでしょ?」
「誰が、そんな事を。僕は産まれはここじゃないかもしれないけど、一生ここにいるつもりだよ。お爺ちゃんが仮に死んだって僕は皆のことが大切だから。それに他は知らないし」
ずいぶんと長い沈黙が続く。
トンファは、アルのそばまでくると激しく、アルを押し倒した。
お互いの体が触れあうのを感じる。
耳元でトンファの息づかいが聴こえる。
「ねぇ、アル、、、あたしをアルのお嫁さんにして」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「やっぱり、あたしなんか嫌だよね、、。エマさんみたいに綺麗じゃないし」
トンファは、緊張していたせいか、すすり泣き。
僕の体に重ねたまま心臓の音が激しく伝わってきた。
急な申し出にアルは、最初は戸惑った。だがトンファという存在が永遠に自分のそばに存在するものだと勝手に考えていた。それが、だれかのもので失うかもと思った瞬間に涙が溢れてきた。
「トンファとずっと一緒にいたい」
答えになったか分からないが、彼女の鼓動はすこしおさまった。
そして、僕らは唇を重ねあわせた。
この後、僕らはトンファの両親の元へ行った。本来は、大人として認められる14歳以上の申し出で初めて婚約が認められるようだが。遅かれ早かれそうなると踏んでいたらしくあっさりと認めてもらった。ただし、夜のあれこれは正式に大人になってからといことであった。
むしろ、さいごのその釘でガッカリしていたのはトンファの方だったが。
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あれから2ヶ月ぐらいが経過した。
相変わらず、トンファといることが多かったが変に女性として意識することが増えてきた。
意識してかトンファも以前までは、飾りもしなかった髪に飾りをつけたり。森にはいると急に体を近付けたりするもんだから。アルも意識せずにはいられない状況が続いた。
結局のところ若い二人は、親の言い付けなど捨てたらしく。
秋の風が吹き始めたころには、結ばれてた。
そうして、この幸せが一生続くと二人は信じていた。
秋がやってきた。今年も豊作で例年以上に盛り上がりそうな収穫祭の気運だった。
それにアルが大人として認められる成人の儀もある。
幸せすぎて、、。
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