2ー58 蒸発
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ジルとルビィは、体を寄せ合って操作する。
まだインタフェイスに慣れていないルビィは、ジルに聞きながら操作を覚えている状態だ。
そして。フラッグ機器は、通信機にもなっているようで試験開始のアナウンスが流れる。
ジル達は、1順目は守りからだった。
守るといっても浮かんでいて誰も気付いていない。
眼下では、面白いほど動きまわっている姿が見える。
「ねぇ、ジル。思った以上に卑怯な代物ね。私の美学に背く行為だわ。正々堂々とかないのかしら」
「それは、まともにマナ操作ができる身分が言うことで僕らみたいな人は、技術でカバーした結果を享受するしかないかと」
「それもそうね。守りはいいとして。攻めはどうするつもり?これ攻撃手段とかあるのかしら?」
「その為に午前中、仕込んだじゃないですか」
「まさか、あれを使う気?下の人達、可愛そう。もしアスカ様がいたら私はジルと一緒になることもなく悲惨な目にあっていたのですね」
「アスカだったら、マナ操作が出来るから違う結果だったと思うよ」
「それ、私のせいでえげつない攻撃方法になった言いたいわけ?」
「いえ、僕らの最善の結果です。いくよ!」
「納得してないけど、じょうがないわね。この1順目で終わりそうで怖い」
「確率的にはあり得る」
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「あーーどなってるの。もう終わり?」
ジル達の広範囲攻撃は、常軌を逸していた。
範囲エリア内の全てのフラッグが消滅。再出現できるはずのフラッグ機器であったがその前提条件が覆る。ピンポイントで機器を、全て破壊したのである。フラッグ機器は、いうなれば小型のトランスゲートを応用したものだった。
ジルは、フラッグを奪うと同時にその機器に対して過剰なエネルギーをぶち当て破壊するものだった。その為、開始5分で試合終了となる。
さすがの担任もこの事態は、想定外だったようだ。
その後、校長に呼ばれた担任のポットは肩を叩かれながら高価な機材を壊した責任で減給になったという事はジル達は知らない。
ジルは、学校内での行事で一定規模以上の技術を使うことを禁止する誓約書にサインをするはめになる。まぁしょうがない。何を使ってもいいと最初に言ったのは先生だがまさか帝国の最重要軍事兵器を投入するなど誰も思わない。
そして、2日後。ジルとルビィを抜く形で再試験が行われた。実に実戦形式の見事な攻防戦だったが、ジルとルビィは教室の窓から自習を言い渡されていた。
「ジル~。暇」
「しょうがないじゃん、ルビィが全部壊しちゃうんだもん」
「えー私のせいなの?。
酷い、痛い目な女の子罪を擦り付けるなんて男のすることじゃないわ」
「だって、出力5%って言ったのに50%でぶっぱなしたのはルビィでしょ。そりゃ、壊れるよ」
「だって、だって。大は小をかねるっていうじゃない。5%じゃ心配だったもの」
「罪を認めたな。被告ルビィに言い渡す。有罪です。」
「えーーー。罪人になちゃった。私の手は汚れちゃったのね。責任とって」
「責任って言われてもね。とくに担保もないし。うち貧乏だから無理かも」
「これで、お嫁に行けなかったら責任とって」
「それって、プロポーズ?」
ルビィは、赤面する。
「違うわよ。ただ言葉のあやよ。本気になんてしないで。それに貴方には、アスカ様がいるでしょ」
それを聞いて、急にジルは真面目な顔をする。
「それは、絶対にないかな。理由はまだいえないけど」
あまりに真剣な顔つきだったのでルビィもそれ以上追及することはやめにした。
ルビィは、話題をかえる。
「そう言えば、別に夕方までここで自習してなくてもいいんじゃない?。どこかお出かけしませんか?」
「いいのかな。」
「だって、教室で自習してろとは言われていないわ」
その展開が今回の自習の発端になった事を完全に忘れている二人は、教室をあとにする。
「この時間から授業もうけないで、遊んでる上級生もいるのね」
ルビィが指差す方向に確かに上級生数人が一人の生徒を囲んでいた。
「なんだか遊んでいるというよりは、一人に多勢で暴力を振るっているみたいね。騎士道精神反するわ。許せない。」
頭より体が先に動くタイプなのだろう。ジルが静止する前に上級生のいる場所へ走り去っていた。
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