表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/66

1ー43 花

△▽△▽


帝国は、祝賀ムードで賑わった。帝国国民にとって帝国騎士隊長とはこうも特別なのかそれとも歴代の中でも最も華やかな強い女性としての圧倒的な民意を得たのだろう。なにせよ、もともと尊敬される立場にある人の結婚披露パーティーだ。すでに皇帝も公認済みのそれは大々的なものになる。


レジュダの故郷は、3年間の無税が言い渡された。とんでもない贈り物である。貧しさを感じるは変わらないが自分が頑張っただけ報われるわけだ。若者達は、レジュダを尊敬の眼差しで迎えていた。


里帰りが許され、レオと一緒に故郷の村に挨拶にいくことになった。

レオは、王国でそれなりの家庭環境で育ったようだった。礼儀作法もトロアに教えてもらい見間違えるほど気品に溢れた男性になっていた。


馬車の中でだけ、レジュダは夫に甘えるのであるがひと度、馬車から降りるとそこには、帝国騎士隊長としての威厳があった。


領主の元で挨拶を終えると、二人はレジュダの実家に向かう。

山の斜面には、村の名物であるチアの木が並びこの時期は、実をつける為に赤い小さな花が咲き誇っていた。

木造りの粗末な家であるが両親は、肩を寄せあい娘の凱旋を玄関口で今かと待ちかまえていた。


レジュダの両親はまだ若い方だろう50歳過ぎと言ったところだ。

彼女は、母親似のようだ。

来て早々にこんな話をするのもどうかと思ったが。

帝都へ移り住んで一緒に暮らすことも提案したが、両親はこの土地で生きることが十分幸せだという。体が元気なうちは、まだ世話にならんとも大丈夫という事だった。


むしろ、忙しい者同士の気持ちのすれ違いがあった時は、まずはこちらにいらして娘への愚痴でも聞かせてくれとお母さんが言ったので、レジュダは赤面していた。


「今のところは、大丈夫そうですよ。」

レオは、微笑みながら義理の母親に返して、お父さんの方は爆笑していた。

とても温かい家族だ。


レジュダがお気に入りの場所があるというのでレオと二人で昼食を済ませたあとに散歩をする。家の裏道を通って斜面を登る。村を見下ろす形で視界が開ける。


そこから見る風景は、とても美しかった。

眼下の斜面一面に赤い花が咲き乱れ、青い空との境界がとても幻想的だった。


二人は、肩を寄せあい同じ時を共にする。この風景を目に焼き付ける。

自然と唇を重ね。幸せを感じながら、この先の自分達の未来に思いをはせるのであった。




△▽△▽


「そろそろ、頃合いかの」

白い部屋。


全てが白い。

椅子も机もコップも、


部屋にあるものが全て白い。

違和感しかないが、老人は黒い服に身を包んでいた。

まるで死神のようである。


老人は、無表情で部屋から見える風景を見ていた。

窓などない。

扉すらないその部屋で、老人は見つめる。


何を見ているのかは。人ではわからないかもしれない。

彼は、無限に広がる未来の可能性を見ていた。


そして、ある1点の存在が流れを根本から乱していた。

流れる本流を逆流し、その先で濁流と化している。


以前、老人はそれを観測しながらも無視した。

それも一つの結果であるからだ。


老人は、迷っていた。

また見過ごすか。

それとも修正するかを。


濁流の先には、今と異なる新しい本流も見える。


今放置すれば今の本流に戻ることは永遠にない。

今の本流は老人でも先がどこまで続くか見えない。


だが濁流の先にある本流はいくつもの可能性を秘めているがどれも先が短いものが多い。

とても厳しい選択の先にとてもとても長い新しい本流がある。


果たして、濁流後に彼らが最善を選ぶことが出来るのであろうか。

楽にしてやるのも勤めの一つだが老人は、この新しい可能性の先が見てみたい気持ちを押さえることも出来なかった。


老人は、目を細める。

「そうか、、、。」



△▽△▽









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ