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1ー39 冬の寒い日

△▽△▽

今日は、とても寒い日だった。

ボロい小屋には、大きな氷柱が出来ている。


アルは、ニアが心配になり彼女に寒くないか聞く。

彼女は、尻尾をお腹に巻きつけているから寒くないそうだ。


そうか、そんな使い方があったとは。


トンファは朝からもう一戦すると昨日の晩、意気込んでいたがあまりの寒さに布団の毛布から出てこない。


エマは、朝からこの寒さでも研究熱心なのか、寒さ故に貴重な実験データが取れるとかで防寒着というより布団を体に巻き付け出掛けていた。


こんな時は、一家の大黒柱が動かねば。

アルは、部屋の薪ストーブが下火になってきたので新しい薪を追加する。今日はお多めにしておこう。


続いて朝ごはんをつくる。

前の日に余ったスープを温め、粉の団子を投入し簡単な雑炊をつくる。ニアとトンファは美味しそうにそれをたいらげる。


木を彫り抜いて作った蓋付きのお弁当箱に先ほどの雑炊を入れてボロ屋をでる。


一面が銀世界である。

寒いなんてもんじゃない。

さすがにエマは大丈夫だろうか、いつもの場所に足早に向かう。

なんか、遠目からでもわかる変な物体が動いている。


一言でいえば円柱形に丸めた布団が立った状態で動きまわっているのだ。アルは、心配したがエマは無事生きてるようだ。


エマは、今日ついに貴重なサンプルが取れたと大喜びしていた。

なにかと言うと、「うろこ」がこの寒さで凍る瞬間に量子レベルの一定周波数で振動したという。またその周波数を解析するとある特定の言語に近い構文が読み取れたそうだ。

彼女曰く、マナによる冷却ではそのような現象は起きないようで新たな仮説への糸口を掴んだそうだ。

アルもそれに対して技術的なアドバイスをする。


ここには、研究用の資材や資料を保管する小さな小屋を一つ作ってあった。エマは、急にアルの袖を引いて小屋に引き込んだ。


え、ここで?

「お願い。今のタイミングが一番いいとこなの」

彼女の布団は、実に便利らしい。





うん、なんとも幸せそうだ。


一時が過ぎると、

アルの作った雑炊をマナで温め直したものを食べながらエマは、別の意味で感動していた。



エマに別れを告げると、アルは畑に向かった。

そう言えば、何だか外と対して気温が変わらない気がする。


本来、温室で年中温かいはずの畑が寒い。

元々。冬には、育たないものばかり。


この寒気によりアルが丁寧に育てていた作物が全滅する。


神よ! なんたる仕打ち!


このトビニ人参なんてあと少しで収穫だったのに

葉っぱが凍りつき地面から少し顔を出した人参はフリーズドライのようになっている。


ん!


これならまだ食べられるのでは?


アルは、倉庫の町での事を思い出す。

ある日、ニアが受付を間違えて冷蔵の品物を冷凍で入庫処理をしてしまった事があった。

その時に野菜の類いが冷凍されたのだが保証でアルが全て買取りをした一部は、冷凍したままでも刻んで油と一緒に炒めて味付けのベースとして万能調味料になったのを思い出す。


この畑にある糖度が高そうな野菜を凍り付けの状態から収穫を一気に始める。

さすがに育っていないものは、手を合わせて土へ還す。



あーニアが好きなペムトマトが!

これも取り敢えず収穫。カチコチのトマトをゲットだぜ。


アルは、冷凍したものが自然解凍するタイミングで急速に痛みが始まりみんなあっという間に腐ってしまうことを学んでいた。


急いでボロ屋の前で準備を開始する。

幸い、今日は寒すぎて溶けそうにもない。


薪釜に油を注ぐ。揚げれるものはスライスして片っ端から揚げる。


葉物野菜は、一気に茹でて、また凍り付けにしたのちに冷たい風で天日干しにする。


相当量の保存食が完成する。


△▽△▽



「あー寒い!」

バイヤは、ベッドから起き上がる。

この屋敷は、暖房と冷房完備のはずで年中快適なはずなのにどうなっている。


ベルを鳴らす。

「御主人様。現在確認中ですがボイラー設備に不具合が生じたようです」


執事が部屋にくるなり、疑問を解決してくれた。

それにしてもこんなに、寒い日に壊れなくてもいいではないか。


バイアは、使用人を引き連れ屋敷の裏にある空調設備の管理人の元へ向かった。


そこでは、大柄な男が設備の一部をガチャガチャと操作していた。

「どうだ、直りそうか?」


「これは、旦那様。すみませんが私の知識では復旧の目処がたちません。問題はコレのようです」


‼️


バイアが目にしたものは、この設備の動力源となる空調用のメインコアだった。

これは、サリード家の前の当主が使えなくなった2基の空中要塞バハムのうち1基で使用されていた空調用のメインコアを適当な理由で貰いうけたものだった。



うん、これは無理。

今となっては、新しく手にいれる手段もない。

アームズがあった時ならまだしも、いまは貴重なスペアパーツを独断で持ってくることなどさすがに難しかった。


また、薪で暖をとる時代に逆戻りではないか!



うぅ、、、。何かいい手はないだろうか。



(あ!、うちには世界最高峰の技術者が2人もいたではないか!)



△▽□



バイヤは、娘ムコの家に向かう。

わざとボロ屋風にしたのだろうか。何度、見てもボロい。

部屋をノックすると中から、トンファ嬢とニアさんが布団にくるまりながら顔を覗かせせた。

「アル殿は、どちらへ?」


「エマの所へご飯を届けにいきましたよ」


「そうか、有り難う。また出直すことにするよ」


バイヤは、娘の所に行くのはやめておいた。経験上、新婚夫婦の生活は二人になればする事など想像つくので邪魔しないのが良い。


うむ、午後あたりにでもまた来よう。

そう言えば、皇帝から預かっていたものがあったのを思い出す。

土竜の脱け殻からとれた「うろこ」だった。


話を聞くに、空中要塞バハムの性能を著しく向上させた功績のご褒美として用意したのだが渡す前にアル殿がとんでもない「うろこ」を娘にプレゼントしたため渡す事が出来なかったらしい。


たしかに帰宅したときに娘がアル殿からプロポーズの品物を受け取ったと二人の婚姻を認めた後に娘が部屋を訪ねてきたのを思い出す。


何だろうと娘に聞いたところ、とんでもない代物を貰ったことが発覚した。

サリード家は、世界中の逸品を保有しているがさすがにアレはない。皇帝も面子があるので渡すタイミングが無くなったそうだ。しかし、あれほどの力があるのならば頷ける。


まさか、髭を抜いたお礼にもらったとは知るよしもないが。


バイヤは、午後にまたアル殿を訪ねにいくと、夫婦水入らずで何かを庭で作っていた。

揚げたり、干したりしている。


アル殿曰く、フリーズドライの保存食だそうだ。

それにしても量が凄い。


そんな様子のアル殿に空調設備の故障が直せないか聞いてみる。

「悪いがお願いできないだろうか?」


「これが終わったら見に行きますね」


なんとも頼もしい。

これで直ったら、池の魚など安いものだ。


バイヤは、屋敷で待つことにした。



次の日、朝起きると部屋は、暖かかった。

空調設備の管理人の話だと、深夜に来ると少し見てすぐに直ったと言う。

原因は大気温度とのレンジ設定を超えた事で値が反転してオーバーロードした為で、パラメータの再設定で復旧したとのことだ。


「この手の遺物は、壊れることはほとんどない代物でユーザーの初期設定ミスや使用方法の問題によるリミットエラーのセーフティ停止を勝手に故障と言う、判りやすい言葉でくくっているだけです。大抵は故障ではないので直ぐなおりますよ」と、言っていたそうです。


おい、言ってる意味の半分もわからんがつまり用法要領を正しく守りお使い下さいと言うことか!わかれば遺物っていわねぇよ!


うむ。いずれにせよ直って良かった。

あれ?気のせいか前より快適な気がする。


「他に何か言って無かったか?」

「はい、たしか『最適化したので前より、畑に適した温度設定環境になっています』と言ってました。」


・・・・・・ここは家ですよ。畑じゃねえ!


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