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1ー38 冬の暖かい日

△▽□▽


「この部屋は、年中暖かいのかしら」

トンファは、エマに質問した。


「そうですね。いつもこんな感じです。でもたまに壊れます。」


なんともほのぼのとした会話が繰り広げられていた。


そして、ニアが最近忘れていたかのようにまた眠気がひどい。もう2ヶ月ぐらいだろうか。心配になったのでエマが医者に診てもらったほうがいいと言う話になった。


その日の晩、ニアが神妙な面持ちで帰ってきた。

「どうだった?」


「・・・・・・・・。赤ちゃんが出来たみたい」


‼️‼️


なんですと! うん、当然といえば当然だ。


「おめでとーーーーーー!」

エマとトンファがニアに優しく抱きつく。


「とても嬉しいけど、、、不安。私、お母さんが何すればいいのか知らない」


「大丈夫よ。ここには、お母さんが3人もいるもの」


「そうよ。何も心配いらないわ。ニアはニアのままでいいのよ」


ニアは、トンファとエマの言葉に感極まったのか号泣していた。


うん、心強い。妻の様子を見てアルも泣いていた。

それと同時に自分がこの先どうすべきなのか、マジで考えないといけない気がした。今をいきるのかそれとも、、、。


身籠っているニアに余計な心配をかけてはいけない。初夏には、子供が産まれる予定だった。


早速、このサリード家の当主であるバイヤさんが動いた。

まぁそうだよね。実質、このタイミングで子供が出来た事がわかればそうなる。制限のことは、話してないけどアレを間近で見てるし、とんでもない力をもってる者同士の子供を黙って産ませるはずはない。



早速、ニアを娘として養子にしたいと申し出があった。

どうもアルにも入って貰いたいようだがそこは、今回の一件で譲歩を選択したようだ。バイヤさん曰く、サリード家は別に血の繋がりなどあまり気にしないそうだった。たしかに名家ではあるがその歴史を紐解くと血の繋がりは、何度となく途絶えていた。


そりゃ、血筋だけで永遠に続く家は無いだろう。だが完全に途絶えると言う訳でもなく。養子に迎えた者の子供がいずれサリード家の血筋を次ぐものと結婚する事が多く。結果的には繋がっているとの事だった。


まぁ、アルとしては願ったり叶ったりなのでどうでもよく。

ニアもエマもトンファも別にどうでもいいといった感じで未来に産まれる子供は、サリード家の子供になる事になった。


おい、この嫁達。結構、適当だな。

うん、子供が産まれたらローレンお爺ちゃんに真っ先に見せにいこう。お爺ちゃんは、どんな顔をするだろう。


あ、これだけはアイツに確認しておかなければ!


アルは、一人でトイレに向かう。


これ答えないと、仮に破壊出来なくてもトイレの肥溜めに絶対流す。

そう、念じながら


「システムコール」


・・・・・・・・・・・・・・・。


「それは、いくらなんでも酷くありません?」


お、答えた!


「あまり、このような使い方は不本意ですがなんでしょうか?」


「観測をどうせしているから。判っているのだろう!」


「・・・・・・・それは、あまり合理的な質問ではありませんが十分予想可能です」



うん、聞き分けがよくて、いい。

さっそく質問。


「特異点は、遺伝しますか?」


「0では、ありませんが確率でいえばほぼゼロです。受胎の際に『覚醒』状態で交わるような事をしない限り可能性を否定できます。」



アルは、安堵した。

あとは、こっちで何とかできそうだ。


「ありがとう。じゃあ、さよなら」

「っち、便利グッツじゃねえよ」


「おい、そんなこと言ってると手が滑る」


「・・・・・・・ひどい」


「本体がエルフの少女の見た目の歳ごまかした婆さんでしょ。今じゃただの棒だから同情しにくい。」


‼️‼️


「・・・・・・・ひどすぎます。私の体はまだ20代で永久凍結したから永遠に美少女のままです。」


「知ってます?。それって、生きてるって言わない気がします。つまり精神活動1500歳以上の歳とった婆さんが、器だけキレイな乗り物持ってます。ってことでしょ。普通の感覚だとキモい」


‼️


「また、冬眠しようかしら。久しぶりに傷ついたわ」


「よく考えたら、地中1万m下に埋めたらべつに消滅させなくても同じことかも」


‼️


「観測モードに入ります♪」



うん、賢いなこいつ。


アルは、トイレから出て妻達の元へかけていった。


△△▽▽△



うん、子育て環境には尊敬に値する父の姿が必要だ。


働かないとな。


今さらながら働くとは!何なのか考える。


1、やりたい事を仕事にする。

2、出来る事を仕事にする。

3、誰かの助けになる仕事をする。

4、生活の為に仕事をする。


うーーん。改めて考えると思いつかない。

あまり、遺物の解明ばかりすると世界が終焉を迎えるし。

自分の影響がでかすぎてもあまり良いことはない。


ましてや、父になるのだ程よい未来の為に考えないといけない。

一人で考えても煮詰まらないのでここは、例の手段でいこう。



「これより、緊急家族会議を始めます。」


「議題は、これからの家族プランと父親にやってほしい仕事です」


トンファが手を上げる。

「はい、私も赤ちゃんが欲しいです。」


エマも手を上げる。

「私も」


おい、真面目に、、、真面目そうな目付きをしている。


「それは、夜にしっかり頑張ります。そうではなくて父親らしくなりたいのであります」


トンファが笑いながら答える。

「畑でも始めたら?。だってここのお庭凄い広いよ」


ニアも賛同している。


エマは、一人違っていた。

「うろこ」で夢を叶えたいから手伝えと。


うん、それは貴方の父親に相応しい行いなのか?

まぁいいか。取り敢えずやってから先のことは考えることにしよう。


まずは、一人立ちを!

って結構、早いうちから意外と一人立ちしていた気がする。


でも肝心なところでお金は、すでに有ったし。

結構イージーモードで生きてきた事を知る。


じゃあ、いっそうの事ゼロから初めてみよう。

金を稼ぎ、生活を営む難しさを!



△▽△▽


豪邸の屋敷の近くに庭の木を勝手に切り倒し建てたボロい小屋があった。

玄関の入口には、表札が書いてある。


「アルの家」


「お父さんは、仕事に行ってくるけど。トンファ、ニアの事は頼んだ!」


「いってらしゃい。お出かけのキスをお願い。」


「ニアにもお願いします。」


二人にキスをするとボロ屋を後にする。


今日は、魚釣りだ。

なぜか庭の池には、とんでもない種類の魚が小物から大物までいっぱい泳いでいた。まるで手入れの行き届いた生け簀のようだ。


竿をたらすと直ぐにつれる。

アルは故郷の川を思い出す。

あそこは、1時間でようやく小さな川魚が2匹つれれば御の字だった。


だが、この池は手でも掴めるぐらい。魚影が濃い。

ものの10分で3匹も釣れた。


そして、小屋の脇に薪釜を作ったので昼食の準備をする。

今日は、魚の出汁を効かせたスープだ。隠し味に庭で採れたハーブをつかう。


そうそう、裏庭にはなぜか手入れの行き届いたハーブが等間隔に植えられており、取り放題なのである。抜いても翌日には新しいハーブがまた植えてあるのだ。



あ、もう一人の妻を呼びにいかないと!


アルは、森?庭のなかを、進む。そこには「うろこ」と一生懸命に対話を試みる妻の姿がある。アルは気付かれないように背後にまわると。


ぎゅーと抱き締める。

「もうすぐ、ご飯だよ」



「ありがとう。もうすぐしたら行くわね」

そう言ってキスを迫る妻にこたえる。



4人で食事が終ると。午後からは畑仕事だ!


畑に向かうと根菜類が植わっている。

葉物野菜もある。


いま冬ですが畑は室内にあり、前まで住んでいた部屋が年中快適な温度のため畑にした。

ここの生育は本当に速い。それに害虫一つ付かない。



アル達は、自給自足生活を満喫していた。



△▽△▽


サリード家の当主であるバイヤは、誰にも相談できない悩みがあった。

頭脳明晰で容姿端麗な自慢の可愛い娘がいた。

すこし変わった趣味があることを除けば完璧な娘だ。


娘は今年、結婚したばかりだ。

連れてきた旦那もとても強くて賢い青年だった。あの皇帝までもが認める青年だ。

娘ですら勿体ないぐらいの人間だった。



ん、だった。だった? (過去形)


ある日。

彼は、庭の樹齢200年にもなる立派なニダの大木を切り倒した。


それから庭にボロい小屋が建つ。


そして毎日、池から観賞用の高級魚を釣り上げては青年の妻達(そこには愛娘も)と楽しそうに談笑をしながら食べている。


そして、客室の中でも最もこだわり抜いた部屋が、ある時から畑に変わっていた。

部屋付きの係のもの曰く、2日もかからず畑になったそうだ。



、、、、うん。自由って、いいなぁ。



バイヤは、最近また胃薬の量が増えたと言う。













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