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1ー35 転換

△▽△▽


「エマお嬢様。そろそろお時間です」

空中要塞バハムの研究室ことサブ制御室の扉を

トロアがノックをして声をかける。


「・・・・・エマお嬢様。時間です!」


「ぁ、あ、イイ、、はい」


声でわかります。

最近、別の研究に目覚めたのかアル様と入ったきり出てきません。どうも「うろこ部屋」に行かなくても英気を養えるそうでございます。


それは、ともかく空き時間にお二人の作業は順調に進み「転移」も大詰めを迎えて来ております。


調印式が終わった日から数えてもう2週間ほど経過し、順調に帰路を進んでいるようでした。


本来であれば帝国領土まで山越もありまだ1ヶ月以上は、かかるところですが「転移」の起動実験も込みで帰国する事になりました。失敗すると大変なことになるので皇帝陛下には降りて頂きたい旨を上級士官達がずいぶんとお願いしたようですが皇帝は、歴史的瞬間で死ねるなら本望と事の重大さを理解いたしません。


これだから男は、、。

でもそんな、わたくしにも春が来てしまいました。いま季節は、冬になりそうですが。清掃員から帝国騎手のエリート職に着任された虎族のボムと言うお方です。


財は何もない男ですが、こころ根が優しく。私を優しく癒して下さいます。あの首筋のモフモフがたまらないのでございます。


ゴホン。


それは、ともかくとしてお嬢様には、そろそろサリード家としての気品を思い出して頂かないことには、ご実家の旦那様にどう釈明をしたら良いものか。

研究室の扉が開く。


「トロア、ごめんなさい。つい夢中になっちゃって。で、もういいのかしら」


「はい、さようでございます。会場の準備が整いました。

あと、少し着衣の乱れを手直しさせて頂いても宜しいでしょうか?」


「・・・・・・・・・。恥ずかしい。トロアお願い」


「それでは、お部屋に失礼いたします」

「アル様も不本意ながら手直しさせて、いただきます。」



これから上の展望ラウンジの一室を借りて、アルの17歳のお誕生日会をすることになっていた。




△▽△▽


「もー。食べられません。」

エマがアルアルスペシャルメニューに限界に挑戦し、敗北宣言を出していた。

これは、トロアさんの彼氏で騎士になったボムさんとアルの誕生日会のメインイベントととして用意さえれた「大食いバトル」だったのである。


「トロアさんの未来の旦那さん、凄い!」


寡黙なボムは、必死に照れを隠して要るようだが誰の目から見ても隠しこれてはいない。うむここは、勝利者へご褒美をやらないと。

「では、ギル皇帝。勝者へ褒賞をお願いします」


「うむ、ではエマ嬢とも相談した結果。

 トロア嬢と巡る7拍8日の超豪華温泉宿の旅。両方に特別有給休暇を贈呈する」



おい!


うらやましい。じゃないか。なんだ超豪華って。

散々たのしんで、その上、お給金まで出るだと!

世の中、働かざるもの喰うべからずが基本。

仕事中にイチャイチャするとは、断固として許せん!



ん、おかしいな。

あれ、もっとひどい奴がいたような。


うむ、それに関しては自分も後ろめたいことが無いわけではない。

ここは、素直に喜んであげよう。


「アルぅーー。今、良くないこと想像してたでしょ」

トンファが横目でアルを注意する。


「はい、決してその様なことは。はい、少しだけ!。いえもうそんな気持ちは改心しまっとうな人間になりました」


「では、よろしい」


虎族のボムさんが壇上が降りてくる。

トロアさんがいつも冷静なあのトロアさんが、めっちゃ赤面してお出迎えしている。


うん、ボムも男で産まれてよかったな。

女のあの笑顔の為に生きてる様なもんだよ。

うむ、ここは人生の先輩としてアドバイスせねば。

ここは、エマにも協力いただき、最高のデートにするための作戦をねらないと。



アルは、ボムに近寄り耳に小声で後で話があると伝えた。





△▽△▽△



このボム・ダンブルは、ついこの前までしがない清掃員でした。

ある時、お仕事が丁寧と評判になり、空中要塞バハムの清掃員として派遣されたのであります。彼は若くして武の才がありました。

今は無き犬族にかわり、お家復興に、沸き立つ虎族の実家で長男として生まれたボムは10歳にして虎族奥義『猛虎』を習得。これはまた後日説明するとして、ボム自身はとても優しい男だったのです。人を殴るより、花をめでるほうが幸せでした。


そしてどんなに力があろうと、お家復興に沸き立つ両親としては、こんな性根が優しすぎるボムを見て。武人としての気迫にたりない者を家元には出来ず、気付くと好きにしろ、但し永遠に実家へは帰ってくるなと絶縁を突き付けられ家を追い出される事になります。



そして、流れる者として帝国の帝都で働き口を見つけました。

毎日がとても楽しいのです。周りからは、親切なボムさんと呼ばれ、夕食に呼ばれてはご馳走になっちゃうことも。本日にお掃除の仕事は楽しいです。


そんなある日のこと上司の肩が、お前は帝国に忠誠を誓えるかと、おっしゃいました。

ボムは、迷うことなくお掃除を続けられるなら忠誠でも信仰でもいたしますと即答。


気付けば、空中要塞バハムにお勤めがきまりました。何て素敵な職場なんでしょうか。窓拭きが一番、好きです。外の展望は勿論ですが飛行中の清掃員以外立ち入り禁止の屋外で窓の外拭きをしている時は、空を自分で飛んでいるような解放感であります。


そして、運命的な出会いを果たすのです。

サリード家のエマ様、、、、、の後ろにいつも従い付いている「トロア様」。

その美しい身のこなしがすばらしいのです。


お世話の様子をみてもお掃除の仕方も感服いたします。

お近づきになれないだろうか。


そうだ、花瓶のお花でアピールしよう。トロア様は、たぶん目が行き届く方だから気付くはずだ。そうして、毎日清掃の後にトロア様の部屋の近くの廊下の縁窓にお花を飾った。


ある時に後ろから声を掛けられる。

「今日は、何かしらセリーヌの花ね。夏らしいわ」

もう、初めてあったときから1年ほど経過していた。もうすぐこの要塞バハムは、王国にむけ航行を開始するようだ。


「はい、その通りです。時期も今だけですが、とても美しい花です。」


その次の瞬間。

ボムは、最高の気分から悲しい気分に転落する。


「貴方、私に好意があるようだけどお辞めなさい。私もけして、貴方のような人。嫌いではないわ。むしろ好感で好きなタイプだわ。

でも私は、代々サリード家に支えてきた家なの。当然、身分相応の方と婚約しなければならない。その点、貴方はしがない清掃員。申し訳ないけど立派な帝国騎手ぐらいになられませんとお付き合いもできません。

それでは、お嬢様がお待ちなので失礼します。」



判っていた。あんな素敵な方が僕に振り向いてくれることは、無いと。

でも彼女は、言った。身分の問題だけだと。そして帝国騎手になれば良いと。


彼は、仕事がおわると今までは、他の人の部屋を無償で掃除してあげたり。イベントがあると飾り付けや準備など手伝っててあげていた。


だからその親切から彼が、悲しそうに帰ってきた日に彼を励ます多くの者達がいた。

そして『裏ウルロボス』のNo13も彼に助けてもらった一人でもあった。


情けは人のためにならず。


『裏ウルロボス』は、この可愛そうな青年に機会を与えるのである。

時は、熟した。一部の者は知っていた。彼がとんでもなく強いということを。

そして、今度。お客さんを空中要塞バハムに招き。レセプションを考えろと皇帝陛下から上級補佐官が言われて頭を抱えていた事を。


情報では、お客様は相当な武人であると。

では、この機会を利用させてもらおう。


あたかも偶然のように武道大会が開かれたが実は裏では『ボム騎士化計画』と呼ばれてはいた事を知るものは少ない。そして当然のように皇帝陛下の御前でその力を見せつけ帝国騎士となったのである。

ただ、計画の一部修正としては、相手が予想外の強さであり帝国最強の騎士もねじ伏せたボムでさえ歯がたたなかったことぐらいである。



△▽△▽△


アル様は、どのようなご用件でわたしを呼ばれたのでありましょうか。

やはり、懇意にしているエマお嬢様のトロアさんとのお付き合いに異議があるのではなかろうか。ボムの心中は、かつてないほどに動揺していた。


アル様に、部屋の扉を叩く。

「帝国騎士一等部隊所属 ボム・ダンブル。ご招待にあずかり参りました。」


中から声が聞こえる。


「うむ、入って宜しい」


額から汗が、流れる。あれだけの武人を妻にしているアル様だ。私など気分一つでこの世から抹殺されてしまう。


最近のアルの様子を知るものならば、すでに皇帝陛下ともエマ様とも親しく。雲の上の人であると認識しているのがここに働く者の常識となっていた。


「失礼します。」


アル様は、後ろ姿で、椅子を窓の方へ向け外を眺めていらっしゃるようだった。

こちらからは、そのお顔は確認できない。


「そう、力まず椅子にすわってくれたまえ」


こちらの様子を見ないでも察したのかテーブルを挟んで反対の席に座るように言われた。


ボムは、座りながら生唾を飲み込む。

ドクンと自分の心臓が高鳴る音がきこえる。


ここまでかもしれない。

こんな急に人生が好転したのも全ては一瞬の花が咲き誇るようなものだったのだと。

ボムはその神妙なアル様の、後ろ姿から心を決める。


自分は、幸せだったと。


△▽△▽



アルは考えていた。

うん、どうやって切りだそう。やばい顔に出る。

そうだ、背を向けて話そう。


「ボム、昼間は見事であった。あの食い意地がはった我が妻のニアを倒すとは、畏れ入った。」


「でだ、私からも一つ君にプレゼントと、思い。呼んだ次第である。


そこの箱を開けるがよい。」


ボムは、テーブルにおかれた箱を見つめる。

いわれた通り、丁寧に箱の包みをとり蓋を開ける。



‼️



「こ、これは」


ボムが開けた箱の中には、小さな木箱と一冊の本が入っていた。

その本の表題には『エマが明かす、トロアに関する秘密百科事典』第1巻


「私も見てはいない。エマ嬢に相談したところ快諾してくれてのう。ボムとやらなら信用にあたいする男だとこれを渡すように言われた。」


「その小箱の方は、私からのささやかな贈り物だ。温泉旅行で使うといい。但し、口外はしてはならない。これは、最近開発したもので市場にはけして出回ってはいけないモノなのだよ」



「ハ!。この私の命に、変えまして口外いたしません」


「では、下がってよろしい。早くそれを手に取り自室で熟読するとよい」


ボムは、予想と違う展開に驚きながらも

アル様の思いやりにふれ、自分より少し若いながらこの偉大なる方を尊敬の目で見つめるながら部屋を後にした。


△▽△▽

ふーー。終わった。エマもひどい。あの箱を包んでいた梱包紙は、生体コードによる認証システムが備わっており。指定したもの以外が開けることが出来なかった。


二人で相談の結果、あの木箱とエマが持ってきた本を箱に詰め込むと彼女は、それを包んでしまった。


「アルは、絶対にボムさんに渡す前に読もうとするから。

信用できないのでこうさせて頂きます」


ひどい言いぐさですが、はい。その通りです。

あの完璧に見えるトロアさんの秘密って何なのだろう。

これは、ボムさんと仲良くなって教えてもらわないと。


アルは、不敵な笑みをこぼす。


かならず、あの小箱の中身をあの男は、また欲しがるはずだ。

その時に全てを手にいれる事ができるはずだ!



だが、その計画は妻達により白日になり。

彼が、それを叶えることは不可能になった。





△▽△▽


空中要塞バハムの艦内放送がながれる。

「これより、起動フェイズに移行します」


「各、人員は指定された場所に移動し、待機してください。繰返します、、、、」


空中要塞バハムは、白黒反転を繰返し空中から消失した。









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