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1ー30 舞う

△▽


これが偶然ならば、奇跡に近い再会だった。

エマは、自分でもビックリするぐらい気を使わずに話ができた。

「それでね。エマったら走って、巨大な蛇のうろこを撫でてニコニコしてたよねぇー。私は、お肉の方に夢中だったけど」


「トンファたら、あの頃も本当に楽しかったわ。私は今でも『うろこ』には夢中よ」

満面の笑顔でそれに答えるエマの姿がある。


席を囲んだ者達は、笑いながら昔の、思い出に話を募らしていた。

大柄なおっさんも博識高いのか、話を聞きながらもそれはジャイアントスネイク種の変異種だなとか言いながらガブガブ酒を口に運んでいた。


ニアも自分が知らないアルとトンファ達の昔話を聞く機会があまり無いことに気が付いたので愛する相手のことが知れてとても嬉しい夕食だった。


気が付くと周りにいた他のお客さんは、夕食を終えて部屋に戻ってしまったのか。いまこの展望ラウンジで食事を続けているのは、この5名だけだった。


お店の人もお客様がいる限り、閉めることはない。

お互いのコースメニューは、すでに終わっていたがまだお腹には余裕があった。話の盛り上がりに合わせて、ごく自然な感じでスタッフが美味しいつまみを運んで来ていたため、口寂しくなるような事はなかった。


その姿を遠くから、見つめて周囲の警戒を怠らない者達が居たことなどアル達3人は、知るよしもない。




酔いが回ってきたのか大柄なおっさんは、すこし突っ込んだ話をしてきた。


「で、アル殿はその若さにして色々特殊そうだが。話を聞く限り王国でもだいぶ辺境の村の出身のようだ。して、旅の目的など聞かせてはくれんかのぉ」


まぁ、このぐらいなら教えてもいいかな。

エマにも伝えるように、トンファとニアが家族になった事。そして今の旅の最終目的地がかの有名な「刻印の試練」の白い砂浜のある海を見に行くことであると。




そう言うと大柄のおっさんが

ガァハ、ハァ、ハハァー。と大きく笑ったのである。


「これは、失礼した。別に悪い意味で笑ったわけではない。むしろ好感じゃ。私も竜には、特別な思いがある。幼きころ母から教えてもらった真実のおとぎ話を夢中で聞いたものよ」


確かに、今まで忘れていたがエマさんは帝国でも有名な家の人だったと記憶している。当然、エマさんと一緒にいるこの大柄のおっさんも帝国の人であるはずだ。


最近、忘れていたがそう言えばこの帝国の軍人さん達に追われていたんだった。すっかり打ち解けてしまったがちょっと不味くないかとアルは内心思い直した。


「竜と言えば信仰しているのは帝国の方々ですよね」


「うむ、エマ嬢を知ってる時点でお主も薄々気付いているであろう。私もそう変わらん。だが、今日は旨い飯を食いにきただけの男だ。エマ嬢にはそれに付き合ってもらったにすぎない」


「まぁ息抜きは、人生に必要なものだよ。アル殿もそう思うじゃろ」


先ほどまで少し警戒したが、なんだかこの人は、人としての器が大きくとても話しやすかった。アルは帝国とかそういうのは、今日は抜きにしてこの人と語りあうことを選択した。


「そう言えば、お連れのニア嬢もトンファ嬢も見た目は、エマ嬢に違わぬ美女であるが武人か?。わしの目が節穴でなければ相当な使い手であろう」


このおっさんは、何処までも人を見抜く力が有るようだ。

多分、ごまかしの効かない相手とはまさにこの様な男の事だろう。


これが探りあいならば嘘でも本当の事は言わないが、もうバレバレのようだし。自分自身の力は、有意義にお爺ちゃんも使えと言っていたのを思い出す。


人は、機会を活かすも殺すも明確な選択の末に有るものなのだ。


アルは、妻の二人の方を見て頷く。

トンファもニアもアルが喋らなくても何が言いたいかぐらいはわかった。


彼女らは、それぞれ狼の銀の装飾が施された短剣を机の上に置いた。


‼️。


大柄なおっさんは、明らかに動揺していた。

「まさか、其ほどとは!

 これは、畏れ入った。私も名も語らずではさすがに無礼というものである」



それを、聞いたエマはさすがに不味いと思ったのか後ろを振り向いて合図を送った。

けしてこの者達以外には、聴かれてはならないと。


遠巻きに警護に当たっていた者達が一斉に動きだす。かなり極小の粉を空間の振り放つ。そして沈黙のマナを込める。


一種の防音壁のような物だ。

1m隣で大声をあげてもこの壁の向こう側の人は何も聞こえない代物である。




それを知ってか知らずか、大柄のおっさんは礼儀正しく席を立つと両手を広げて言う。


「我な名は、帝国皇帝 ラグーン・ギム・ベルケル である」


これで、ビックリしないやつがいたらすごい。


人間は、動揺を通りこすと無心になるらしい。


長い、沈黙が続く。


そして



‼️


‼️


「えーーーーーーーーーーーーーー‼️」

まずは、トンファがしっかりと反応してくれた。


この大柄なおっさんが、この大陸で最も権力を持つ男だと誰が気付こう。


いやいや言うならもっと早く言おうよ。

いや、言ってくれない方が良かったのに。


アルは、選択をした。

その結果がこれである。


はい、終了かしら。

いきなりラスボス登場です。


酔っぱらいだし今なら楽勝で、倒せそうだ。



、、、、。


「驚かせてしまったようだ。まぁ、皇帝と聞いて驚かない方が無理もないが意外にお主は冷静だな。今、お主は私を敵として見たか。それとも味方として見たか。」



アルは正直者だ。


「帝国は、故郷の村を焼いたから好きじゃない。けど、おっさんは好きな部類だ」


またしても皇帝と名乗った男は、

ガァハ、ハァ、ハハァー。と大きく笑ったのである


「さすが、エマ嬢が一目おくだけのことはある。その若さで皇帝を「おっさん」呼ばわりとは、実に面白い。もう此処までお互いをわかったのだ。空中要塞バハムにも乗ってみないか。


あれは、このエマ嬢がとんでもない化け物に改修したばかりだ飯がうまくないことを除けば最高だ」


「今はなき、犬族の奥義を極めた嫁を二人も持つのだお前もただ者では無かろう。別にとって食ったりなどはしない。お前の自慢を、見せてもらったのだ。私にもいいところを少しは自慢させて欲しいだけだ。」







△▽△▽


王都まで直ぐといった場所に空中要塞バハムは、空中で待機していた。

皇帝が艦を降りて2日ほど。ある意味、敵陣の真っ只中に少しの警護兵のみでお食事にいかれるなど普通では考えられない。


騎士隊長のレジュダは、帝国の軍本部にどう説明をしたらよいか頭を抱えていた。もしも皇帝万が一の事でもあれば私一人の問題ではすまなくなる。


皇帝は、一切の内外への連絡は不要と念をおされていかれた。

その言葉も無視する事も出来ない。


本部との直接交信とは、違い。皇帝がいかれた王国では、連絡手段がないのである。3日後の夕刻までには、戻ると仰られていたが気が気ではない。その上、エマお嬢様まで連れていかれれは、お父上であるバイア様にも相談することも出来ない。


それを全て計算した上で、このタイミングで動かれた皇帝が恐ろしい限りであった。

そんな中、補佐官が部屋に駆け込んできた。


明日の昼頃、戻られるとのご連絡をうけました。


レジュダは、胸を撫で下ろす。

だが、次の内容が彼女の動揺を広げる。


「なお、客人を連れて参るので宜しく頼むとの事です。」

「また、その他は最重要人物である可能性が非常に高いが決して手出をしてはならんという事でした。」



「最重要人物?。まさか、、、ね」





△○△▽


「アールぅーーーーー。どーーするのぉーーーーー。」


トンファがどうしようもない事を聞いてくる。


もう鬼が出るか蛇が出るか。

この宿は、完全に見張られてる状態だった。


「オッサン」ことギム皇帝の誘いをハイお断りします。などと言う選択肢があればそうしたいところだが、自然と選択肢が無いように誘導された自分の馬鹿さかげんを呪った。


ザ、夜逃げ作戦も考えたがこんな高級宿で食い逃げのような事をすればもう、二度とあのアルアル鳥の塩焼きが食べられないと思うとアル達は、それは出来ない信仰が邪魔をする。


あぁーーー。アルアル鳥様の試練だ。


アルが村を焼かれたと言った時点であのちゃっかり賢いオッサンが見過ごすわけない。大岩の村から逃げてる奴だと顔も身元も名前も、、、こちらの戦力もほぼ丸裸。


これを、絶対絶命いや、すでに瀕死の状態ではないですか!


唯一の救いと言えば、エマさんと一緒にいられる事である。






そこで!


「これより、緊急家族会議を始めます‼️ 本事案は、今後の将来を決める非常に重要な案件となりますので、徹底討論でお願いします。」


この会議は、深夜まで続きある結論が可決される。

いつの間にか、不安は棚上げ論と化して


空中要塞バハムツアーの民間人初であろうこの一代イベントをどう楽しむかに論争はシフトしていく。結果、、、この馬鹿家族は「全力で楽しもう」と言う人間の尊厳を取り戻す事にした。



だって、オッサンも自慢したいだけって言ってたし。

考えてもしょうがない。


3人は、夢の揺りかごを想像しながら明日の遠足を楽しみにして深い眠りについた。


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