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1ー17 流れ者

レジュダは、既にアームズはあの村にはないと判断をした。仮にあったとしてもあの男がいる限り、こちらの損害も相当覚悟しなけばならい。


最悪の場合、唯一の空中要塞バハムを永久に失う可能がゼロではない為、これ以上の深追いすることは出来ない。少数の暗殺部隊を向かわせた所で、今は倒せる相手でもはない。


それに彼らの行動から推察できた。一方的な攻撃に当初は甘んじその上で、空中要塞バハムからの動きがないと判ると攻勢に転じていた。


つまり最初は勝利する予定などなく、時間稼ぎをしていたと考えると辻褄があう。そして、戦いの後に姿を消したかの王の血縁者と思われる銀色の髪の少年が姿を眩ませた。


その事から、アームズを少年が持ち出した可能性は高い。仮に持っていなかったとしてもかの王の血縁者を始末することは、国益には繋がる。


かの王が世界に最悪の悲劇をもたらせたのは、揺るぎない事実であるがかの王を一部の痛みを忘れた者達によってすでに神格化されてきており。日増しに王国内で勢力を拡大している。


彼らは、何者かの手によってかの王が暗殺されアームズが他の者により利用される最悪の自体を救ったという英雄説を唱え。多くの犠牲は、かの王によるものではなかったと主張している。


確かにかの王は、アームズが消失する直前まですべての者に不自由のない平等で豊かな生活を実現したのも事実であり陰謀説が民の間に浸透するのもおかしくはない。


そして、信仰者達が考える陰謀の首謀者は、帝国であると。帝国からしてみればそれが事実では無いことは明白であるが、それを証明するものなど無い。結果、ありもしない敵を作り出すことで信者を増やし続けてた。



血縁者の存在は、その者達に都合のいいように先導され生き神として利用されるだけでなく。仮にその少年がアームズを使用する事ができた場合に帝国にとっても最悪の事態にもなりかねない。そう言う意味でも少年の存在は、非常に危険なのである。


王国内の各地に帝国の諜報部員はいた。レジュダは、銀髪の髪の少年を見つけ次第に至急、本国へ連絡と監視をするように通達をだした。


△▽△▽△


あれから、もう1ヶ月ほど経過した。

「「黒い」」髪の少年とトンファは、街道を歩いていた。


「なににしても、思うけど黒もカッコいい!」 トンファは、急にアルに抱き付くと二人の体は茂みに消えていった。二人は、自由だ。まだ昼間だというのにお盛んな年頃である。





茂みから出てくると。

服装を直しながら次の予定をそろそろ決めなければならなかった。


「それでは、これより家族会議を始めます! トンファ議長へ各署より、至急相談したい案件が有るとのことです。」


「ふむ、それは急ぎなのかしら。私も今は疲れておる。特に腰の疲労が。まぁよい発言を許可しよう」


「はい。それでは申し上げます。大変に恐縮ながら、、、、このままでは雪が降ったら死ぬそうです。そしておおよそ残された期限は、二週間ほどが最短になるとの情報を得ました。」


「な、なんと! それは誠であるか!  いや、それもそうか。寒さをしのげるような良い場所に心当たりは、、、、なぃ、、、、。 アルぅ~ーどうしよう私達、死んじゃうの?」



トンファは、アルと違い村の外以外で冬を越すのは、生まれて初めてとなる。ここら辺の冬は、雪深くなるという事がない反面。寒さの方が問題であった。


一番寒くなる朝方頃に暖をとってない部屋に毛布でくるまったとしても。まず無理だろう。そのぐらい寒い。


「さっき、街道筋の看板にこの先に何とかっていう何かが5km先の小道を入った場所にあるみい。」


アル曰く、看板が風化しすぎてギリギリ読める程度だったとのこと。自分たちのいた村がとんでもなく辺境だったようで進めど、進めど村どころか人の気配すらないまま1ヶ月以上経っていた。



△▽△


「これかな? ワインズ商店って書いてある。」


そこには、街道からまるで隠すように目立たない看板が地面に刺さっていた。

街道から看板に気付かなければ決してわからないような獣道のような小道が林の中に続いていた。よほどの事がなければ通り過ぎるであろうその小道をアルとトンファは進む。この二人は、森を駆け抜けることに違和感を感じない人種なのでまだ、この小道を進んでで行くことができるが普通の人ならば途中で引き返すようなレベルである。


2時間たっても道は続き、さすがに野宿の準備もしないといけない夕方になった頃。ようやく1軒のログハウスの様なものが見えてきた。


トンファは、久しぶりに人の気配を感じてほっとする。

「あれかしら、灯りもついてるし、人はいるみたいね」

「交渉して、今日は久しぶりに屋根のあるところで寝たいね」


近くにくると思ったよりも大きめの建物のようだった。

庭の前には、立て看板があり料金表のようなものが書いてあった。


「ワインズ商店にようこそ!

各種、旅の必需品を取りそろえております。恐れ山脈へ挑むもよし。当店で休憩、宿泊もできます。」



その下に料金表の様なものがる。

:毒気し薬、栄養剤など各種 小銅貨1枚。

:防寒着一式 銅貨 7枚。

そして、アルとトンファはずらずらと書かれた目録の一番下に発見する。


:宿泊料金1泊から何日お泊まり頂いても一律 金貨1枚/部屋。



アルとトンファは、村ではお金など使った事もなくお金の価値などまったくわからない。


「アル、お金ありそう?」

それは、村の代表者であるアーネムさんから旅には金がいると言われてもたされた小袋があった。アルは、袋の中を確認する。


「何か色違いで3種類沢山入ってるかな」


彼らは、知るよしもなかった。

この小袋は、数年前にアルが助けた帝国の伯爵サリード家の次期党首であるエマが村の手厚い支援にお礼として置いていったものであった。アーネムは、そのとんでもない額に結局のところ扱いにこまりずっと手を付けられずに保管していた。元々、アルが助けた者が置いていったものなのでアーネムは、この際そのまま渡してしまえば何もなかった事にできると、この二人に袋ごと厄介ごとの種を押し付けたのであった。


その小袋には、アダマン金貨が2枚。大金貨が10枚。金貨が20枚。小金貨が10枚。それに銀金貨が3種類もいくつも入っていた。


アームズの消失後、お金の価値だけは直ぐに旧時代の状態にまで最も早く戻った一つであった。人々は、国の基本になるお金と言う存在を何かの価値の代償として交換する。アームズ消失直後は、一時的に帝国が発行する貨幣よりも王国の発行する貨幣の価値が下がったことはあったが今は等価である。


そして、それぞれの種類に応じた価値は次のようになる。

アダマン金貨は、大金貨100枚。

大金貨1枚が金貨10枚で、小金貨100枚にあたる。

銀貨はそれに続き。小金貨1枚が大銀貨10枚。

大銀貨1枚は銀貨10枚で小銀貨100枚、、、、。あと同じように銅貨3種に続く。



平民が一生で稼げる額というのが小金貨1枚といわれる時代であった。

そのような時代に何気なくもっていたお金が、とんでもない大金であることはこの時の二人は知るよしもない。


普通の宿の相場が銅貨2枚ぐらいである。高級な宿でも大銅貨1枚なので、その10万倍の金額を要求しているのである。宿屋の主人も洒落のつもりだったはずだ。だがこの世間知らず達は、お金が足りたことに安堵するのであった。


二人は、建物の入口らしい扉を開くのである。


△▽△▽


今日も暇。昨日も暇。


多分、この先もずっと暇。


ここワインズ商店は、人間のお婆ちゃんから引き継いだ。私は、獣人族だと言う。物心ついたときから此処にいるのでそう聞いているだけだ。お婆ちゃんは、この山での暮らしかたを教えてくれた。そんなお婆ちゃんも5年前に老衰で旅立った。この店に来ていたのは毎年決まった常連ぐらいで、それもお婆ちゃんが死んでから来なくなった。


別にお婆ちゃんは、この店を継いでくれとは一言も言わなかった。ただ、いつもニコニコして「ニアの好きに生きるといいよ」といつも言っていた。

ニアは、行く宛てなどなかった。お婆ちゃんが亡くなる時、常連さんがいた。私は、まだ11歳だったからそのお爺さんがお婆ちゃんの墓をつくてくれた。


「お婆ちゃんから、君にこの手紙を預かった。落ち着いたら読むといい」


常連さんは、何度もこちらを振り返りながら何か苦悩するように帰っていった。今になれば判るが、こんな山奥にまだ11歳程度の子供が残されて普通は、生きていけるわけがないからだ。


それが彼女が最後に見た人だった。


それからニアは、お婆ちゃんに教えてもらった事を繰り返していた。春は畑に種をまき。夏は山の山菜や薬草などを集める。この森は豊かなため木の実は、真冬以外はいつでも取れた。


冬は、暖炉の火をたやさなければそんなに生きるのに不便はなかった。もうすぐ雪がふる季節だった。雪が降ってしまえば街道からここまでの小道は完全に隠されてしまう。誰も来ないことなど最初からわかっている。それでも、、、。


カウンターの脇に置いてある置物の人形に声をかける。

「ニアは、今日も元気よ。フィンはご機嫌いかが?」


フィンは、ドングリの目で少女を眺める。薄緑の長い髪の上に可愛らしい犬耳がのっている。スカートの裾からシッポが覗く。


......。


いつも何も答えてくれない。それでもフィンは、ニアの唯一の友達だった。



そんな時、正面の扉がゆっくり開く。


「おじゃま、しまーす。どなたかいらっしゃいませんか」


‼️


「え、えぇ、えーーーーーーーー」

「いません、いぇ、います。います。此処にいまーーーーす」



△▽△▽△▽


アルとトンファは、同じぐらいの年頃の耳が生えた可愛い少女に暖炉の近くのソファーに通された。すこしここで待っていてほしいと言う。少したつとポットとカップを持ってきた。暖炉の上の湯沸かしから暖かそうなお湯をポットに注ぎいれる。


とても心地よい香りが漂う。

「これは、この山でとれる茶葉になります。とても体が暖まりますのでお飲みください」


彼女は、ソファーの前の平台にコップを並べるとカップからお茶を注いだ。あきらかに動揺しているのか手が小刻みに震えていた。


彼女は、アルとトンファが座るソファーの横に置いてある席に座ると少し深呼吸をして


「この度は、当店にお越し頂き有り難うございます。ご紹介遅れました。わたくしは、ニアと申します。早速ですがどのようなご用件かお伺いいたしますわ」


アルとトンファは、村では知らない丁寧な言葉使いに何て答えたらいいのか判らなくなってしまった。

ちょっと沈黙が続いたあとアルが思いきる。


「彼女は、トンファで私の、、、大好きな人です。私はアルと言います」


「、、、、、、。」


またなが~い沈黙。


「あ、アルと私は冬がくるのに泊まる場所がなくて。ここに冬の間、泊めてほしいのです」

トンファが何とか伝える事ができた。


安心したアルとトンファが彼女に方を見ると、彼女は大粒の涙を流しながら泣いているのであった。


「は、はじぃめてにょ お、オキャクさん。冬の間ずっと、ずっといっしょ。うぇーーん」


△▽△▽





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