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1ー10 鼓動

△▽△▽△▽


帝国と王国の境に位置するアークと呼ばれる私設集団が存在した。彼らは、日々マナを研究し世界に応用技術を発信していた。中でもトップにいたのが大賢者と呼ばれる存在であり。かの王にマナ操作を教えた大賢者アジェルーダも歴代の一人だった。彼はすでにこの世に、存在しないが弟子と認めるほどの実力があった者達が3人いた。


一人は、言うまでもなくかの王であり、生涯をアームズに捧げ。世界に見せかけの平和と混沌をもたらした。


もう一人は、一緒にいたのは短い時間であったが類を見ないほどマナ操作に長けマナの真理に最も近付ける可能性のあった少年だった。今ではもう年老いたローレンである。彼がもし大賢者の元で研鑽をしつづける事ができていたならば、次の時代を作っていたかもしれない。


最後の一人は、人間ではなく東方の大陸からきたエルフの少女であった。彼女は、故郷で蔓延する病を何とかするため大賢者のもとで研究を重ね。癒しのマナを開発し、純度の高い水に癒しのマナを高濃度に付加することでその効力を得る方法を開発した。アームズ消失後に多くの民を救う事になるが、開発直後は生産量が少量であったことや。ほぼ時を同じくしてかの王によりもたらされたアームズの方が簡単にその治療が出来たことから直ぐに功績が評価されることは無かった。


彼女は、手段などはどうでもよく故郷を救いたかっただけなので感謝しか感じていなかった。その恩から、かの王とアームズの発展に協力。高度にカテゴライズされたルールなどは彼女の存在が大きい。


アームズのコアにあたる製造は、かの王の秘匿とするところであり。彼女ですら不明なことが多く作り出すことはできなかった。かの王は、彼女にアームズへの人工知能的なオペレーションシステムの開発導入することを依頼した。



彼女は、エルフの中でも特殊な体質も持ち合わせていた。頭の思考による時間軸が他の者と異なっていた。時間の流れが極端に遅く感じるのである。それは、他人には想像も出来ない苦痛であった。かりに人が1時間たったと感じる間に彼女は1日以上の時を感じている。最初は、彼女自身それに気がつかなかった。比べることも出来ないからだ。


そしてある時、周囲から希代の天才がエルフ族に誕生したともてはやされるようになる。他人からみれば同じように生きてるはずだが彼女の思考速度が異常だったのである。1時間で考えるとと約30倍。つまり1日で普通の人が24時間思考し続けた場合、彼女は1日で24時間×30で一月に相当するわけだ。 結果的に常人が3年考えて続けることは、同じ時間軸で90年に相当する。


常人ならば、精神崩壊するほどのストレスである。周りからは、理解が早く短時間で正解を導き出すため天才と言われるが彼女からしてみればそれだけの時を生きてる感覚である。


そして、かの王がもたらしたアームズは、彼女の能力を最大化した。アームズが発現する以前は、彼女の時間軸で思考の上で確立した仮説は最後に物理的な実験で検証しなければならず実験室で膨大な時間を待たねばならなかった。だがアームズにより、作り出した仮想現実での実験シミュレーションを可能にした事でその待ち時間が不要になったのだ。


彼女は、それまでに感じていた肉体的不自由、現実とのギャップから解放され益々、アームズのシステム開発に没頭し続けた。


アームズは、空間への干渉はできても時間への干渉は出来ない。そのため彼女がいなければ汎用型のアームズが世に出る前にかの王の寿命がつきていた。かの王は、それがわかっていたからこそ彼女に依頼し、自らの夢を叶える算段をつけた。


アームズの発現から消失までの約50年、、彼女は実質1500年以上の時を生きた。そして消失の瞬間、唯一彼女の思考、精神もアームズと共に消失している。

何故ならば、彼女はこの時すでに精神と肉体の分離をおこない精神はアームズの中にあったからだ。肉体など途中から捨てていた。彼女は、アームズと一体になることで王が秘匿していたアームズのコアについて又、その製造方法についても理解した。


アームズの高度なオペレーションシステムそのものが途中から彼女自身であった。彼女の空になった肉体は、永久凍結により彼女しか知らない場所で保管されている。そして彼女が開発した多くのオーバーテクノロジーが世に出ることはない。そのほぼ全てがアームズ内で現実可能なシミュレーション結果と共に消失しているからである。


かの王は、早い段階からアームズの次の管理者を誰も選定するつもりなど毛頭なかった。すでに完成され進化し続けるシステムがあるからである。そして未来予測に近いシステムからの回答により最終的にアームズの消失を選択したのであった。自らの過ちに気付き、もっとはやく王が質問していれば別の未来もあったかもしれないが。


彼女の答えはこうだった。

「アームズが発現し続けた場合、どのルートを選択したとしてもたった一つの終点になります」


「その終点までの最短ルートにかかる時間を教えて欲しい」


・・・・・・・・・・。


「990613288秒後、約10年と予測されます」


「セリア・・・・・・・ありがとう」


彼女、少女だったころ名前はセリアと呼ばれていた。



かの王は、外の景色を眺める。

そしてふと思い出す。私の世話をする者が先日、私の孫が生まれたと報告していた。



久しぶりに部屋からでると、かの王は人知れず孫の顔を見に行った。

生まれたばかりの赤子を抱くと王は、久しぶりに人の温もりを感じた。

王は、決心したようだった。


人払いをするとアームズを起動


「セリア、私の残された唯一の最適案の選択によりこの子が大人まで生きることができる可能性はどのぐらいだ?」


「・・・・・・・・・・。お答えした方がよろしいでしょうか」


「そうか、必要ない。この子が大人になる事のできるルートを検索してくれ」


「・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・0.0000003%以下の成功率で1ルートございます」



「では、そのルートを選択する」



「了解しました。ただしこのルートの場合、実行時期の問題により当初の最適案より一時的に多くの者が命をおとしますがよろしいでしょうか」


「かまわない。

システムコール、ルート1/1を実行。

コマンド承認後の全ての権限をセリアに移譲する」



王は、最後に実の息子に会いに部屋を出た。





△▽△▽△▽

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