1ー9 発現
二人は、泉まで降りてみることにした。
トンファは、平気な顔をしていたがアルは異常なマナの濃さに戸惑っていた。近付いて判ったことだが、泉は水ではなかった。高濃度のマナが結晶化することなく細粒のように渦を巻いている感じだった。
アルは、この場所でマナ操作をすると何か凄い事が出来そうな気がした。本来、マナを発現するためにはマナを入れる器としての触媒が必ず必要になる。
どんな属性であっても直接具現化する事は出来ないとされる。たとえば、水を操るにも元となる水に水のマナを与え操る。土を触媒にして水のマナを与えると泥ができ赤色大とかげを撃退したときのように使える。大蛇を倒したときは、石を触媒に雷のマナを込めて電撃の投擲を行った。
何も無いところに炎や水、雷などの属性を持ったマナ自体を発現することが出来ないのが基本ルールである。だから、環境と条件次第では強力ではあるが戦争のような大規模な戦いの場所では効果範囲が狭く、いまひとつといった感じになる。触媒に込められるマナの総量も限界があり大規模な事は出来ない。
だが、目の前に広がる泉を見てアルは確信に近いものを感じた。
この泉の細粒こそマナ自体が発現したものでないか言うことだ。
つまり、これを直接操作出来れば触媒無しでマナを操作する事と変わりがない。
トンファに少し離れるようにお願いすると、アルは目を閉じてマナの流れを感じた。
目を開けて、深呼吸するといつもと同じように触媒のかわりに目の前の泉にマナを与えるイメージで操作を行った。
、、、、、まったく何も起こらない。
何が違うのだろう。
普通は、目に見えないマナを触媒経由して発現させる。既に発現しているならば。
直接、属性のイメージだけを伝える。
そうだな、とりあえず水かな。
‼️
その瞬間、目の前のマナが大量の水にかわる。
もう少しで危なかったが、びしょ濡れになる程度ですんだ。
これ、もし他の属性をイメージしていたら二人仲良く死んでいた。
だが、練習するうちになんとなくイメージが沸いてきた。
そもそもマナ操作において触媒が必要だった理由が今回の事で理解できた。それは、マナの定着である。何も無いところに直接マナを発現出来ないというのがそもそもの間違えで、何も無いと思うから一定量のマナを凝集する事が出来ないのだ。
思い込みという奴だ。
これは凄い大発見なのかも知れないが村しか知らないアルにとっては、お爺ちゃんをすこし越えたと思ったぐらいであった。
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だいぶ、マナ操作というよりマナの凝集と発現に慣れてきたところでふと気づくと
トンファがじぃーーーっと僕を見つめていた。
ヤバい忘れてた。すっかり夢中になるあまりトンファが居たことを。
「ごめんなさい、トンファ」
「わかれば、宜しい。お詫びに帰りは私を背負って下山してね」
「・・・・・・・・さすがにそれは」
「冗談ってわけでもないけど、反省しているみたいだから許してあげる」
「じゃあ、替わりにキスして」
「それは、喜んでさせて頂きます‼️」
そんなこんなでアルとトンファは、そろそろ下山する事にした。泉に背を向けて元いた山頂付近まで上がると、あとは下って行くばかりなのだが。
「アル、あれ何かしら?」
トンファは、山脈の遥か向こう。上空に何かぼんやりしている物が浮かんでいるように見える。
「何だろうね。この距離であれだから相当でかそうだけど初めて見る。ここほどしゃないけどマナがグルグルしてるように見えるかな」
気にはなったものの既に気持ち的にお腹一杯だったので、素直に帰る事にした。
「今日は、何だか初めて尽くしだね。僕らの未来は明るいかも」
二人は、笑みを浮かべながら、足早に下山を開始した。
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狩りの時に試しに使ってみたが、今まで何をしていたんだろうと思うぐらいの成果だった。これなら、いずれ赤色大とかげも倒せるかもしれないと思うアルであった。




