桜の季節にしか会えない君
私は、小さい時から桜が好きでした。桜は、哀愁を感じるのと同時に次に向かう、スタートって感じがするから好きです。後は、あなたに会えたから、桜がもっと好きになれた………
幼い頃から、姉が出来る人だったので、母がいつも私と姉を比べていて、私がテストで良い点数を取ったり、他の事でいい成績を取れても『悠のほうがもっと良く出来ていた。那緒は、本当に悠と比べて何でも出来が悪いわね。本当に貴女って何もできないわね。こんなじゃ、貴女の将来が心配になるわね。』いつもこんな小言をずっと言われ続けていた。私が幼い頃に父と母の離婚が原因で余計と私に対する、母の小言が増えていったのも鮮明に覚えてる。それでも、私なりには、努力していたけど、母にとっては、結果が全てだった
母から小言を言われた続けた事も一つの原因だと思うけれど、私は、人と関わる事が苦手になってしまっていて、友達もずっと居なくて、一人で居る時間が多かったから、ある時に何処か気持ちを落ち着けられる場所を探していると近所の公園にある、桜の木の下が人通りも少ないので、小学生の時から私のお気に入り場所になっていた。 そして唯一、自分が感情を吐き出せる場所は、桜の木の下だけだった。
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いつもは、出来るだけ家族に会わないようにするために早起きをして学校に登校しているけれど、ある朝、いつも起きる時間より二十分ほど、寝坊してしまって、急いで学校に行く支度をしていると、後ろから母に声をかけられた。
「那緒、まだ学校に行ってないの?早く学校に行きなさい」
母、少し怒っている様子で私にそう言っていた。私は、何故か母に嫌われている…
私がもっとちゃんとしていて、寝坊さえしなければ、嫌いな母とも会うことが無く無事に学校に登校出来るのに母と鉢合わせてしまったのは、本当に最悪だった・・・
「ちょっと寝坊したけど、十分学校には、間に合うから・・・」
私は、話したくないと思いながらも母にそう言ったけど、母には、聞こえていなかった。
「那緒の声が小さくて何言ってるか全然聞こえないんだけど、もっとハッキリ大きな声で言ってもらえるかしら!」
「昔からずっと思っていたけど、那緒みたいに出来の悪い子を見てるとストレスが溜まってイライラするし、目障りだし、那緒、何て生まれてこなきゃ良かった。・・・死ねばいいのに・・・私には、お姉ちゃんの悠だけいてくれたら、良いわ」母は、相変わらず冷たい目で私を睨んでいた。
「あぁ・・・もう良いや・・・・・・・」
消えかかりそうな声でそう言って、私は、家を飛び出した。私が家を飛び出す前に母が最後に小声で言った。死ねば良いのには、私には、しっかりと聞こえていて、頭の中でずっとリピートされていた・・・少しずつ私の心を蝕んで行くのが、分かった…私は、産まれてくるべきでは、無かったのかもしれない…そんな事ばかり考えてしまい…本当に居なくなろうかと思う事も結構あった…
そして、私が家から飛び出して向かう先は、学校では、無く、私のお気に入りの公園に咲いてる桜の木の下だった。
桜の木の下で私は、一人で泣いていると、桜の木の後ろから、二十代くらいの男性に声をかけられた。私は、他の人は、居なくて自分一人だと思っていたので、声を掛けられてびっくりした。
「君は、どうして泣いているの?」
声を掛けてくれた男性の表情と声は、凄く優しくて久々に優しい事を言われた気がした。
私は、泣いていると思われたくなかったので、咄嗟に見え見えの嘘をついてごまかそうとしていた。
「泣いてないです。ちょっと目にゴミが入ったのを取っていただけなので・・・」
「目にゴミが入っただけなのか、それなら良かった。・・・ところで少し時間があれば僕とお話をしてくれないかな…?」
多分私の嘘は、分かっていたと思うけど、桜の木の下にいた彼は、泣いていたことに関して深く触れないでいてくれたことに少し安心をした。
「良いですよ…しばらく家に帰る気も学校に行く気にもならないで…」
私は、家にしばらくは、家に帰る気も学校に行く気分にもならないし、そして、しばらく行く当ても無いので彼と少し話しても良いと思ったので、少し話をすることにした。
「君は、本とか読んだりする?」
「そうですねーいつもこの桜の下で読んでます。恋愛小説とかですね。」
私は、部活動は、してなかったので…時間だけは、あったので本を読んでいると物語に入り込んでいる間は、嫌な事を忘れられるので本だけは、私の心の拠り所でもあった。
「そうなんだ、良かったらタイトルとか教えてもらっても良いのかな?僕も読んでみたいから」
「その本のタイトルは「私と君の30CMの距離」今、手元にあるので良かったらお貸しするので読んでください」
まさか自分の読んでる本にそこまで興味を持ってもらえるとは、思っていなくて嬉しくて、つい貸してしまうと口走ってしまったけど…大丈夫かな…
「本当に貸して貰っても良いの!?」
彼は、すぐに本を貸すと言った私を少し心配そうに見つめていた。
「良いですよ。学校の放課後とか休みの日とかも大体、天気良ければ私は、いるので……それで読み終わったら何ですけど、一緒に感想を言い合いませんか?」
本を読んだらお互いの感想を言い合うのが、良いと思っているけど、今まで本の感想を言い合える人が居なかったので、どうなるのか楽しみでもあった……
「じゃあ、お言葉に甘えて「私と君との30CMの距離」をお借りします。」
彼は、私の貸した本をニコニコしながら抱きしめたり、本を読むのが凄く楽しみそうな顔で本を見つめていた。
彼と私は、それから、二時間ほど、他愛も無い世間話をしていた。
「二時間ほど、色々を君と話していたけれど、ずっと話をしていて名前知らないのも何か変だから、君が良かったら名前を教えてくれないかな?」
私は、間を置かず言った。
「私の名前は、今井那緒って言います。貴方の名前も教えて貰えませんか?」
私は、彼の名前を聞きたく仕方が無かった。自分自身でこんなに他人に興味が出るのは、生まれて初めての感覚だった。いつも一人で居るのが当たり前で他人と関わるのが、ずっと億劫だったので、珍しい事もあるのだと自分自身にびっくりしていた。
「那緒ちゃんか・・・可愛い名前だね。凄く那緒ちゃんに合ってる。」
彼は、透き通った茶色の綺麗な瞳で私の目を見てそういっていた。
「あ、僕の名前は、桜木 春です。気軽に春って呼んで貰って良いからね。改めて那緒ちゃんよろしくね。」
桜さんは、握手をするために私に向かって手を出してくれていたので、私も握手をした。
「春さん、改めてよろしくお願いします。」
「また「私と君の30cmの距離」を読んだら、明日、また感想言いに来るね。那緒ちゃん」
「明日が、楽しみです。また明日、桜の木の下で会いましょう……春さん」
何年ぶりだろう……人の優しさに触れたのは。
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それから二日経ってから、私がまたいつものように放課後に桜の木の下で本を読んでいるの姿を見つけた春さんが、私の貸した本を持ってこちらに駆け足で向かって来ている。そんなに急がなくても私は、急いで帰ったりしないのに…
「那緒ちゃん読んだよー「私と君の30cmの距離」」
そんなに早く春さんが読んで来てくれるとは、思っていなかったので、私は、つい嬉しくなってしまった。
「本当ですか!?春さん、じゃあ早速感想言い合いませんか?」
「僕もそのつもりで感想を言い合うのが楽しみで急いで来たんだ」
私と一緒に感想を言い合う為に急いで来てくれてたんだ…少し春さんを可愛いと思ってしまった。早速私と春さんは、「私と君との30cmの距離」について話していた。
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私が拓真と知り合ったのは、高校生の時からだけど、拓真と初めて会った時も距離を感じなくて、すんなり仲良くなれて、歯車がストレートに噛み合った感じがした。距離が近いけど親友というよりは、わたし的には、仲が良くていつも一緒に遊んでいる良い意味で気心の知れた悪友って言う方が正しいのかもしれない…けど、何処かで私の感情に恋へと変わる変化があったけど……何時だったかは、覚えていない
私は、私と拓真との関係性の事をカフェの中ずっと頭で考えている時に拓真に肩を優しく叩かれながら声を掛けられた。
「よ…澪奈、お待たせ…考え事か?」
「拓真か…ちょっとびっくりしちゃった…」
考え事に深く入り込んでしまい、私は、思わず驚いてしまった。
「ごめん、澪奈を全くびっくりさせるつもりなんか無かったんだけどな…」
拓真は、悪くない私が考え事に深く入りすぎていたのが悪いだけなので、すぐに謝った
「私もごめん…拓真が悪いんじゃ無いから気にしないで、少し考え事をしてただけだけだから…」
心配そうな顔で拓真が私の顔を見つめてながらオロオロしているけど、こういう気遣いとかが優しいし可愛いから私は、拓真の事が好きになっちゃったんだ…って改めて自覚をさせられた。
「もし澪奈が体調悪いなら今日は、遊びに行かずに、このまま解散しても良いし、何なら家まで送るけど…」
(最近、澪奈の態度が少し変な気がするのは、気のせいなのか?それとも、俺の事が嫌いになったとか…嫌々それは、無いと思いたい…高校卒業してからも仲良くしてくれて一緒に遊びに行く澪奈だからそれは、無いよな…多分)
今日の予定は、私の観たかった恋愛映画を観るのと拓真が映画の後に行きたいと言っていた。ゲームセンターと他は、ブラブラ買い物という予定にしている。
「拓真、心配ありがとう。本当に大丈夫だから、取り敢えず映画を見に行こうよ」
考え事って言っても拓真には、まだ言えそうに無いことなので相談のしようも無いので今は、心の内に留めることにした。
「澪奈がそう言うなら信じるけど、体調悪いなら遠慮せずに言うんだぞ」
澪奈は、何かと無理しがちなので、見てないとオーバーペースになって体調を崩したりする事がおおいので少し心配だけど、澪奈の言葉を信じることにした。
映画館に着いて私と拓真は、映画を観ていた。映画の内容は、遠距離恋愛してた二人が最初は、お互いの時間会った時に会いに行ってデートをしたりしていたけど、彼氏の方が仕事が忙しくなって、しばらくの間、連絡を取る事が少なくなり、お互いに会う機会が無くなり、自然消滅してしまって四年経ってから…ふと奇跡の再開をして二人がまた恋に落ちて行くっていう感じのストーリーだった。
私は、映画を観た後に色んな感情が入り混じって少し泣いていた……二人が幸せになれて良かったのと、少しのすれ違いで連絡を取らない間が続くと気持ちが離れて行ってしまうのが切ないと思っていた…
「澪奈、少し泣いているけど大丈夫?映画良かったもんねー俺も思わず泣きそうだったよ…」
今回は、澪奈の付き添いで来る形になって映画を観たけど、やっぱり良いものだなって思った。一人で映画を見るならアクション系とかホラー系を借りてみたりするけど、恋愛系も捨てがたいと感心してしまい。ハマるかもと密かに思っている俺がいた。
「映画で感動しちゃって…最後でちゃんと二人が一緒になれて本当に良かったよね…」
私と拓真もあんな風になれないのかな…この気持ちを伝えてしまうと、この心地良い関係が壊れてしまいそうな…それで壊れてしまうほど、私たち二人の関係が脆くは、無いと思いたいけど…何でもそうだけど絶対壊れない物は、無いけど……それよりもっと深い関係性にもなりたいと願ってしまっている私もいる。
少しの間二人には、無言の間が続いたけど…それは、心地良い無言の間であり、その無言の間の心地良さに澪奈は、心の決心が決まった…
そのあとは、予定通りゲームセンターに行って、拓真の好きな車のゲームをやって何回も勝負したり、プリクラを撮ったり、ひとしきり遊んだ後、買い物に行き、気付くと夕方になっていた。
私と拓真は、たくさんゲームセンターで遊び、私の買い物に拓真を突き合わせてしまったけど…拓真は、何も言わず付いて来てくれて一緒に服を選んだり、買った荷物の重い方をさりげなく持ってくれたりした。散々動き回ったので凄く疲れて二人でベンチで休憩をしていた。
「はぁ…結構遊んだし買い物も結構したね…」
「凄く楽しかったけど…まじで今日は、疲れたわ…十時間くらいは、寝れそう」
久々に澪奈と会えたけど、やっぱり気を遣わなくて良いから他の奴と居るより気が楽だし…何だろうな上手く言い表せれないけど、やっぱり落ち着くな…
「拓真ごめんね私の物なのに買ったものいっぱい持って貰って…」
少し拓真に悪い事をしちゃったかなと思ってしまった。
「澪奈に俺がそうしたいと思ってるからそうしてるだけ、普通に澪奈に似合いそうな服とか選ぶのは、好きだなって思った」
拓真のその言い方は、捉え方を変えると、告白にも聞こえなくも無いけど…変に突っ込むと気まずい空気になりそうだったので、私は、平然なフリをしてその場を乗りきろうとしていると。
「べ…別に変な意味じゃなくて…澪奈といると気を遣わなくて楽しくて落ち着くって言う意味だからな」
拓真は、顔をトマトのように真っ赤にして訂正していたけど、訂正した後もそれって告白しているのでは…?って思ったけれど…後で聞くことにして取り敢えず帰ることにした。
「はいはい…変な意味じゃないって分かってるから…取り敢えず、荷物も沢山あるから家によって今日のお礼としてご飯は、拓真の好物のグラタンを作るつもりだから食べてよ」
「やったーー食べて帰る、グラタン、グラタン楽しみ楽しみ、グラタン」
久々にグラタンが食べる気がするなー楽しみだな…普段俺は、料理しないからな、手作り料理って久々な気がするし、澪奈の手作り料理って初めて食べるのから、やばい楽しみすぎる。
喜び方が子供みたいで可愛いと思いながら帰る道中も拓真は、グラタンが楽しみで終始嬉しそうだった。
私の家に着くと私は、早速グラタンを作りながら、拓真に話し相手になってもらっていた。
「澪奈の部屋って結構思ってたより、女の子っぽいね…昔は、結構やんちゃっぽいから、もう少し男のみたいな部屋だと思ってたけど、可愛らしいね。」
「確かに少し前は、そんな感じだったかも…まあ、高校卒業したらやっぱり変わるもんだよ…卒業してから落ち着いたって言うのかな…そんな感じかな」
少し前までは、可愛いものよりかっこいい物の方が好きだった気がしたけど、今、可愛い物の方が好きになっているので心境の変化なのかな…
「それでさ…拓真に少し聞きたい事があったんだけど…良いかな?」
拓真に彼女が居るって言う話を聞いたことが無いので、それを確かめたかったのと、もし彼女がいなかったら…
「どうしたの?何でも聞いて良いよ」
「拓真って今、付き合ってる彼女とかって居るの?」
「居ないね…良い縁があれば、付き合いたいかなってくらい」
俺の好きな人は、目の前に居て俺に一歩を踏み出す勇気が無くて高校の時からずっと、この状態って情けないよな…俺の情けないこの状態が続いているのに…俺から見ても澪奈は、可愛いし、性格も良いのにずっと彼氏が居ないのが不思議なくらいだと思っていた。
「っていうか…そんな澪奈は、どうなんだよ?」
「まあ、私も居ないよ…もし彼氏が居たら拓真と二人きりでは、普通は、会えないでしょ」
何度か告白される事もあったけど…全部断っていた…私の気持ちには、嘘をつきたくなかったから…
その後、何故かしばらく沈黙が続いたけれど…グラタンが直ぐに出来上がったのでそこまで、長い沈黙には、ならなかったのが幸いだった。
「それじゃあ、拓真食べよっか、頂きます」
「澪奈ご馳走になります。頂きます」
今日は、結構上手くできた気がしていて、拓真の食べている様子を私も食べながら伺っていた。
「今日は、結構上手く出来たと思うんだけど、どうかな?美味しい?」
「めっちゃ美味しいよ。お店で食べてるみたい」
澪奈がこんなに料理が上手いと思っていなかったので、まだまだ俺も澪奈の知らない一面があるんだと、少し悲しいような嬉しいような感じだった。
「そう言って貰えて良かった…頑張って作ったかいがあるよー」
不味いと言われたら多分、ショックでしばらく立ち直れなくて…落ち込んでいたと思うので、美味しいと言って貰えて一安心出来た。
「ご飯食べたら、少し聞いて欲しいことがあるの…」
私たち二人は、ご飯を食べた後、ベランダに出て二人で珈琲を淹れて飲んでいた。
「澪奈、聞いて欲しい事って?」
これ以上は、私の気持ちに嘘をつけないと思ったので、変に回りくどい言い方をせずにストレートに言う事にした。
「やっと最近、自分の気持ちに気づけたから言います。ずっと前から拓真の事が好きです。私と付き合って下さい」
「俺も高校の時から、ずっと澪奈の事が好きだったのに今まで気持ちを伝えられなくて本当にごめん…俺から先に言えたらカッコ良かったのにな…」
俺の決心がもっと早く着いていて、変な意地を張らなければ、こんなに延長戦にならなくても…澪奈と恋人関係になれたのでは、無いのか…… 俺ってつくづくバカだよな…澪奈が他の人を選ばなかったから良かっただけで、それで澪奈が仮に他の人付き合ってたら俺は、裏でヤキモチ焼いていたのだろうなって予想が出来る。
「高校生の時から、私の事好きだったんだね…私も自分に鈍感で、拓真も気持ちが伝えるのが下手で私たち似た者同士だね……」
「そうだな……気持ちを伝えるのに五年近くかかっちゃったよ……少しの勇気があれば良いだけだったんだな……」
私たちは、気を取り直して言った。
「これからは、恋人として宜しくね拓真。」
「こちらこそ、宜しく澪奈。」
その後は、色々な思いで話に花を咲かせていた……
私と君との心の距離は、初めから少しの勇気で縮められる物だったのにお互いが変な意地を張ってしまって危うく、お互いが幸せを取りこぼしてしまう所だった。時には、気持ちを素直に伝えることで、近いようで遠い『私と君との30CMの距離』を縮められるのかもしれない。
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「澪奈と拓真は、出会ったのは、高校生からだけど、、不思議とすんなり打ち解けて、親友としてお互いの家に行き来するくらい仲が良くて…拓真だけが高校生の時から澪奈が好きだったけど、ずっと気持ちを伝えられずに……気付くと高校を卒業していて…澪奈は、それほど、拓真を意識をしてなかったけど、高校を卒業してから、何時からか澪奈がふと拓真を意識し始めるんだよね」
「そうなんですよ……澪奈が拓真を意識し始めて反応が変わっていって。いつしか澪奈が自分の気持ちに素直になっていくんですよね。」
「それで、読んでると二人の反応が可愛いくて堪らないんですよね。読んでる間は、幸せを分けて貰えるというか」
本とかドラマとか映画とかでしか、幸せな物語は全く無いと私は、思っている…今の私の現状を考えると少しでも縋るものが欲しくて…縋るものが無かったら簡単に心が砕けてしまいそうなので、たとえ現実では、ありえないとしても物語の幸せにだけは、縋りつきたい…
「確かに本を読んでいる間は、物語に入る込むから、悲しい気持ちも楽しい気持ちも登場人物と一緒になっちゃうよね・・・本は、読み手によって捉え方が変わるから、読み手が物語にどんな感想を持って、どんな所に注目しているのかが、変わる所も僕は、好きだな…」
私も春さんと同じ事を思っていた。本好きの人は、考える事が似ているのかな……少し嬉しくなった
それから、しばらく春さんと本の感想を楽しく言い合った後に、私は、春さんに自分の事情について知って欲しいのと相談に乗って貰いたいと思えたので、春さんに話を聞いて貰えるか駄目元で聞いてみることした。
「春さん、突然何ですけど…私の話を聞いて貰えませんか……?」
「僕で良ければどんな話でも聞くし、相談にも乗るよ。」
春さんから、間を開けずにその言葉が返って来てだけ、私は、涙が零れそうになった…今まで相談できる人もいなかったので、一人でずっと抱え込んで来たものが話す事で少しは、楽になれるのかな…
私は、すぅーーーと深い深呼吸をして、呼吸を整えて、心を落ち着かせてから、春さんの方を向いた。
「幼い時は、家族みんな仲が良かって、近所でも仲が良すぎる家族だって言われるくらいだったのに…変わり始めたのは、両親が離婚してから」
「私と姉は、母に引き取られる事になって、しばらくの間は、母も優しかったんですけど…育児のストレスと仕事のストレスで何時からか…私に母は、強い言葉で当たるようになりました…」
「慌てなくて良いから…ゆっくりで少しずつ那緒ちゃんのタイミングで話してくれたら良いから」
「私は、姉より得意って言える物が何も無くて…そこを姉と比べられてバカにされて…最近は、あんた何て生まれて来なければ良かったのに死ねって言われて…」
「貴女何て生まれて来なければ良かった…死ねって言葉が今も頭に残っていて…今までどんな言葉を言われても我慢出来ていた。私の心が痛くて辛くて…でも、その辛いを言える人が周りに居なくて…その気持ちを抱え込んで出てきた。私の答えは、死だったんです…」
酷い言葉を言った本人には、大した言葉言ったつもりは、きっと無いのかもしれない…言われた本人は、必要以上に気にしてしまって抱え込んで、また酷い言葉を言われて続けて吐き出す場所も無くて、それも抱え込んでしまって溢れてしまった時には、もう手遅れになって…取り返しがつかなくなることだってあると僕は、那緒ちゃんの話を聴いていて思った。
気付くと春さんは、私を自分の胸元に引き寄せて、私は、春さんの胸で泣いていた。
「那緒ちゃん…大変だったね…那緒ちゃんの気持ちは、全部分かってあげる事は、出来ないけど…胸は、いくらでも貸してあげられるから…気にせず泣いて良いんだよ」
きっと僕は、胸を貸す事しか出来ないのかもしれない…気持ちが全部分かるって言ったらその言葉は、きっと嘘になってしまう…一番辛いのを分かっているのは、那緒ちゃんで、その不安を少しでも軽くしてあげるために僕は、那緒ちゃんに出会えたのかなと勝手に思っていた。
私は、その後もしばらく春さんの胸の中で泣いて、少し時間が経って泣き止んでいた。
「春さん、ありがとうございます…情けないところを見せてしまって」
私は、久々に涙を流したような気がした…多分両親が離婚してからは、一度も泣いてないような気がする…私は、『どんな事があっても絶対に泣いちゃダメ強くならないといけない』っていう信念というか呪いをずっと自分自身にかけて過ごしていたのを春さんが少し呪いを解いてくれたのかな
「那緒ちゃんは、情けなく何か無いよ…泣きたい時は、泣いて良いんだよ…もし一人で泣けないって言うなら僕は、いつでも胸を貸すし、話も聞く…だから那緒ちゃん自分の事を情けないって言わないで」
多分抱え込まないでって那緒ちゃんに言っても絶対に抱え込んでしまうんだろうと思ったけど、僕が傍に居れる間ぐらいは、少しでも気持ちが楽になれるように全力を尽くそうと思った。
「春さんの前では、私自身の気持ちには、素直になろうと思います。なので宜しくお願いします。」
「那緒ちゃんにお願いされちゃいました。」
それから、春さんと私の距離は、凄く縮まり毎日、色々な話や本の話をしたりしていて、桜も散りかけて春が終わろうとしていた。
「那緒ちゃんに言っておかないといけないことがあるんだけど、良いかな?」
何だろう…明日は、忙しいから春さんは、桜の木の下に来れないとか…勝手にそんな事を思っていた。
「はい、何でしょうか?」
「もうすぐ、僕は、忙しくなるから…ここの桜の木の下には、来れなくなって…また来年の桜の咲く春じゃないと那緒ちゃんに会えなくなるのだけど…」
「忙しいのは、仕方無いです…また私は、一人になっちゃう…来年は、また春さんに会えるんですよね……」
那緒ちゃんを悲しませてしまったけれど、こればかりは、どうしようも無くて…せめて、来年の春まで僕が来られない間少しでも那緒ちゃんを寂しくならないようにしないと。
「必ず来年またこの桜の木の下で会えるって約束する。それと、僕の使ってた栞もあげるから」
「約束ですよ。来年またこの場所で会うの忘れないでくださいね。」
私は、春さんから貰った桜柄の栞をニコニコしながら見ていた。こんな可愛い栞があったなんて…
「那緒ちゃんずっと栞を見てるから気にいってくれたみたいで良かった。」
その日で桜は、散ってしまい…それに合わせたかのように春さんは、桜の木の下には、来なくなっていた……
春さんが桜の木の下に来なくなっても私は、天気の悪くない日以外は、毎日のように本を抱えて桜の木の下で呼んでいた。もしかしたら春じゃなくても、春さんが来てくれるかもしれないと勝手に期待して待っているだけだったけど…結局春さんは、来ないことは、頭のどこかでは、分かっていた。
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市の方で私のお気に入りの場所の桜の木を撤去するという話が出て来ていた。桜の木が大きくなりすぎて、春になると桜の花びらが家の敷地に入り込んで困るという苦情がたくさん来ていて、来年の春が終われば桜の木を撤去するという話になっているみたいで、子供の私には、それを止めることは、出来なくて…
気付くと春を迎えていた。ある意味春さんに会える最後の春と最後の桜なんだと実感した。
春さんが桜の木の下に居ると思い。学校が終わるとすぐに桜の木の下に向かっていた。すると春さんは、桜の木の下にいた。
「那緒ちゃん久しぶりだね。ちゃんと約束守ったでしょ・・・」
僕も那緒ちゃんに会いたくてしかった無かった…僕にとっても最後の春だから…
「ちゃんと、約束覚えてくれてたんですね…」
春さんに会えたのは、ちょうど一年ぶりなので、嬉しくて私は、気付くと泣いていた。
「那緒ちゃん、また、泣いてる。泣いてる顔も綺麗だけど」
「今日は、春さんも居るし嬉しいから泣いても良い日なんです」
再開を喜んだ後、僕は、那緒ちゃんの現状を聞いてみた。
「それから、那緒ちゃんお母さんとは、どう?上手くやれてる…」
少し聞くべきことか悩んだけれど、今しか聞けないと思ったので……
「あれから、あんまりは、変わって無いですね…私も話すのが苦手なんでやっぱり避けちゃって…春さんと桜の栞が私の心の支えになってくれてるから一年頑張れたんです」
春さんとの出会いが無ければ私は、もうこの世には、居なかったかもしれないと少し思っていた。
「急には、無理でもほんの少しずつでも良いから、那緒ちゃんのスピードで良いから踏み出して見て欲しい。」
「そうですよね…私も現状のままが良いとは、思っていないので…どこかで踏み出さないとですね。」
私も頭の中では、母との関係性をどうにかしなければならないと思っているけれど、いざ踏み出そうとすると怖くて、踏み出した瞬間に踏み外してしまった時の事を考えてしまうので中々前に進めない…
「春さん、お話が変わるんですけど、今年の桜が散ったら、この桜の木を撤去するみたいなんですけど、知ってますか?」
私と春さんの心を繋げてくれた場所のなので正直無くなって欲しくは、無い…
「知ってるよ…今年で那緒ちゃんと会えるのも最後になるね…」
私は、一瞬何を言っているのか分からなかった…
「春さん最後ってどういう事ですか…」
春さんは、無言のまま何も答えては、くれなかった。
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気付くと春が終わろうとしていた。私は、いつものように桜の木の下に行ったけれど春さんの姿は、無かったけれど、しばらく辺りを見渡していたけど、どこにも春さんの姿は、無く諦めて散りかけの桜の木に向かって座っていた。
「桜も今日で散りそうだな…この桜の木も無くなっちゃうのか…来年は、もう春さんと会えないということだよね」
桜の木が無くなるということは、私と春さんを繋げていた細い糸が切れてしまって関係が終わってしまうことを意味していた。
「今日は、もう帰ろうかな…」
これ以上は、春さんを待っていても来ないことは、分かり切っていたので、私は、立ち上がって桜の木にに一言お礼を言う事にした。
「私と春さんを会わせてくれてありがとう。春さんに会えてなかったら私は、本当に危なかったと思います。まだまだ、私自身の事で問題は、山積みだけど…少しずつ踏み出すから、天国に行っても見守ってください」
そう言ってから私が桜の木の下から立ち去ろうとすると、桜の木から声が聞こえた。
「那緒ちゃんごめんね。来年は、もう会うことが出来ないから…ずっと天国で応援してるから頑張って…」
春さんのその一言だけ聞こえた。
私は、ようやく気付けた、春さんの正体が桜の木だった事に…ずっと昔から私の事を見守ってくれていたからあんなに優しかったんだね。私を守ってくれる存在が近くに居たのに気づかなくてごめんなさい…これからは、下ばかり向かずに前を向いて頑張るから。でも、今だけは、このまま泣かせてください…
子供と親の問題を良く見る気がするのでテーマにしてみました。子供が居心地の良いと思える場所を作るのが親だと自分は、勝手に思っています。親の意見も大事なのかもしれないけど、子供は、人形じゃなくてちゃんと自分の意思があるので、何でも子供がやりたいと思った事を真っ先に否定せずに挑戦させて欲しいな個人的に思いました。
自分も無理やり勉強させられたりしました。結局その時に本人のがやる気が無かったので何にも身に着かなかって…ただ時間が過ぎ去って行くだけでした。もっと縛らずに色々な事が出来ていたら変わっていたのかなって思いました。振り返っても仕方ないけれど




