確固の決意
もう今の事は忘れよう。
私は心の中を読まれてない。
ないったら、ない。
なんか神様が大事な話してた最中だったはず。
そうだ、その続きを聞こう。
「あの神様、お話の続きをお聞かせ頂けますか?」
「あ、ああ!そうじゃったな!どこまで話たかの?」
「えっと確か消滅するところを決めたところまでですね。」
「そんなあっさり言わんでも。消滅じゃぞ?消えてなくなるんじゃぞ?」
「そんな事言われても幽霊になるのは嫌ですし、だったら消滅でいいです。」
「いやいや考え直さんか?」
何で神様こんな必死なの?
自殺を必死で止める人みたいなんですけど。
消滅したい人みんな説得してるわけ?
それとも地球怨霊化計画でも立ててるとか?
「あの、聞いていいですか?私みたいに乗り遅れた人全員にそんな事言ってるんですか?」
私みたいなおっちょこちょい多そうだから、話聞くだけでも毎日めちゃくちゃ忙しそうだな。
しかもカウンセリング付きとか、ちゃんと休日あるんですか?
天界ってブラックじゃないですよね?
「いや、人と話すのは初めてだと言ったじゃろ?いつもは放置するか、数が増えすぎたらワシが勝手に消滅させておる。」
自殺絶対止めるマンじゃなかったのか。
いやいや、それより今何て言った?
放置か勝手に消してる?
「だったら何で私ここにいるんですか!?」
何か凄く嫌な予感がするんですが…。
「そう!おぬしをここに喚んだのには訳があるのじゃ!」
「わー神様、私今すぐにでも、もう一秒でも早く消えたいなーなんて思ってますがどうですか?」
「ならん!ちゃんと聞いてくれ!」
チクショーやっぱりか!
物凄く聞きたくない!
嫌な予感がびんびんしてるよ?
すいませーん。早急に私の耳をお嫁に貰ってくださる方はいませんか?
「…。」
「おぬしは死ぬ前に命を救うという善行をしたのだ。さ迷うか消滅等ではなく、特別にワシが管理しとるもう一つの世界で生きてみるといい!」
は?もう一つの世界って。
あのラノベやマンガやアニメに散々擦りに擦られもうオブラートぐらい薄くなってるめちゃくちゃ有名な…。
「もしかして異世界!?」
「その通り!おぬしには新しい世界に転生して欲しい!もちろん行ってくれるじゃろ!?」
そんなのフィクションの世界だけだと思ったんですけど!
しかも異世界に転生なんて…。
「お断りします!!」
絶対嫌だ!!
もう死んでるけど死んでも嫌だ!
「ええ!何故断るのじゃ!?」
まさか断られるとは思ってなかったのだろう、神様はとても驚いた顔をしていた。
しかし、嫌なものは嫌だ!
私は今日から【NO】と言える日本人になると決めたのだ。
「異世界なんて行きません!」
神様の顔を見て力強く言い放つ。
しかし神様も諦めきれないのか異世界の良いところをプレゼンし始める。
やはり異世界は魔法があり、あの有名な冒険者ギルドもあるみたいだ。
だから仲間を集めて大冒険したり、魔法を極めて賢者になったり色々選択肢があると。
しかも転生特典で最強の力を付けるから異世界最強になるのもすぐだと。
「どうじゃ!行きたくなったじゃろ!?」
そんな期待した眼差しで見られても困る。
それを聞いた私の感想なんて"テンプレ"過ぎて驚きゼロ。
想像通りで面白みもない。
あーはいはい。
よく見ますよねそういう設定?
もうここまでくると、もしかして地球で知識を取り入れて新しい世界作ったんじゃ?なんて思ってしまう。
プレゼンが上手くいったと思ってるのかニコニコ顔の神様には悪いが、そんな説明されたらより一層行きたくなくなったわ!
「もう一度はっきり言います。行きません!」
何度言われても答えは【NO】だ。