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特殊な規律

紗良は自分が最後に助けた子供が無事だと知り安堵した。


「喜んどるとこ悪いんじゃがまだ話があっての。」


「話ですか?死んだ理由も思い出せたしこのまま天国か地獄にいくんじゃないですか?」


「普通はそうじゃの。しかしおぬしはどちらにもいけん。」


「え?何でですか?私が腹の中真っ黒だから拒否するんですか?天国は無理でも地獄ならオッケーなんじゃないですか?」


「腹の中真っ黒は関係がない。」


「真っ黒は否定して!」


確かに真っ黒ですけど初対面の(神様)に認められるのも嫌なんですが。


「話を続けるぞ!」


「なかった事にされた!」


「死んだ人間の魂は輪廻の道に導かれ人の言うところの死後の世界へ逝きそこから天国か地獄に逝く。」


何事もなかったように説明に入る神様。

もういいよ。話聞けばいいんでしょ?


しかし成る程。

魂がベルトコンベアーみたいなのに運ばれて役所みたいな所に集められて、いい魂・悪い魂に仕分けされるって事かな?

私はどっちかな?コレ地獄っぽいな?


「輪廻の道ですか?もしかして私はそれに導かれてここにきたんですか?」


そんな記憶一切ないが死んでたから覚えてないんだろうか?


「問題はそこじゃ。おぬしは自分が死んだことも気付かずに輪廻の道に乗り遅れたのじゃ。」


「え?乗り遅れたの!?」


私マヌケすぎない!?


「そうじゃ。輪廻の道に乗れないと魂は巡れず天国にも地獄にもいけないのじゃ。」


死後ルール厳しい!

駆け込み乗車はお断りですか?


「えー?天国にも地獄に入場拒否って私はどうなるんですか?」


「現世でさ迷い怨霊となるか、このままワシが消滅させるかじゃな。」


やっぱ死後ルール超厳しい!

しかし、現世で有名な幽霊達は私と一緒でマヌケだったんだね。

何か今なら親近感沸いて親友になれるかもしない。


怨霊化か消滅か〜。

まあその二択だったら消滅かな。


「いやいや!そんなすんなり消滅を選ぶのか!?」


だって怨霊化なんて面倒臭いし、さっくり消えた方がマシかなって。


「軽いな!」


あれ?そう言えば私さっきから声に出してないけど。

まさか、心の声が聞こえてるとかじゃ…。


「ああ、最初から聞こえておるぞ。」


「ぎゃー!!最低!!変態!!」


いやー!!ここに女性の心を勝手に読む上級者な変態がいますよ!!!

おまわりさんこいつです!!


「ワシが変態!?」


「勝手に人の心覗くなんて変態じゃなかったら何よ!プライバシーの侵害よ!」


信じられない!しかも最初からなんて!


「落ち着いてくれ!わざと聞いていた訳じゃないんじゃ!それに今はもう聞こえないようにしたからな?だからワシは変態じゃない!」


「だったら最初から聞こえないようにしときなさいよ!」


もう敬って話すつもりはない!


「人と話すのは初めてなんじゃ。聞かれたくないとも思っとらんかった。すまぬ、ワシが悪かった。」


そう言って神様が頭を下げる。


まさか神様が頭さげるなんて思わず驚いてしてしまったが、こんなに真剣に謝罪されてしまっては怒りもすぐに消える。


紗良がいつも相手にしてるのは、話の通じないクレーマーや仕事をしない上司達。

だからこんなすぐに自分の非を認める人と出会うのは初めてだった。


紗良はさっきまでの怒りも忘れこの人めっちゃくちゃいい人!とか思っていた。


「頭を上げてください。わざとでないならもういいです。それに、私も怒鳴ってしまって申し訳ありませんでした。」


深々と私も頭を下げる。

私は決してクレーマーにだけはならないと決めているのだ。

自分も悪いと思ったらすぐに謝罪する。


「感謝する!それにおぬしは謝る必要はないのだ、どうか頭をあげてくれ。」


「ありがとうございます。」


頭を上げ神様を見る。

今まで心の声を聞かれてたと思うとめちゃくちゃ気まずいからもう忘れよう。

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