衝撃の空間
何もないただの空間に誰かの声が響いている。
「おい、起きろ!!」
「いつまで寝ておる!!」
「早く目を覚ますんじゃ!!」
うーん、うるさいなー。
「おい!聞こえておるのか!」
「わかりましたおきます~後10分…30分…1時間…zzz…。」
「言ってるそばから寝るな!」
しかしこの目覚ましうるさいな。
私目覚ましにこんな音?言葉?
設定してたかな?何か嫌な予感がする。
目を開けたくない。
このままいっそ永眠したい。
「このままじゃとホントに永眠する事になるぞ」
「マジですか!?」
怖!殺すされるのか?
ビックリして目が覚めたわ!
「殺すわけないだろう!しかしやっと目が覚めたのか。もう起きないと思っておったぞ。」
あれ?今声に出してたかな?
いやそんな事より、
「えっと、どちら様ですか?」
そう目の前に見たことがない人がいる。
見た目は仙人っぽくデカイ杖をもった髭の長い老人だ。もうまんま仙人っぽい。
なんだ?変人か?宗教の勧誘とか?
すいません、私もうロマ○スの神様信仰してるので別の宗教はちょっと~。
いや、ふざけてる場合ではない。
それより警察に連絡するべきか?
こんないかにも変人です!という人に会った事ないから対処の仕方がわからないんだが。
「まてまて!ワシは怪しい者ではない!それによく見てみろ!分からんか!?」
分からんか?と言われても…。
しかも自分で怪しい者じゃないというところがますます怪しいが、不審がって危害を加えられたら大変だ。
取り敢えず、あまり刺激しないよう話を聞いてみよう。
「すいません。分からないです。どちら様でしょうか?」
「怪しい者ではないと言っておるのに。あーワシはじゃな神じゃ。」
かみ?髪?紙?神?
「えっと、かみとは神様のことでしょうか?」
「おー!ようやく分かってくれたか!そうじゃワシが神じゃ!」
なるほどお客様だったのか。
しかしこんなインパクトのある人忘れるはずないんだけどな?
いつ接客したんだろ?
全然思い出せない。
まずはリサーチしよう。
「神様でしか。お久しぶりですね!いつ以来でしょうか?」
そう、何故紗良がこんな勘違いしたのかには理由がある。
それは新人時代_。
厄介と有名なお客様に「何だその態度は!お客様は神様だろうが!神に仕えるつもりで対応しろ!」と、私に巫女にでもなれってか?と絡まれて以来こんな事がないよう接客する際にはなるべくお客様を神様だと思うようにしていたのだ。
だから、横暴な態度でもそれが神のお姿だと納得し、数々の暴言も神の有り難い御言葉だと頂戴し、我慢に我慢を重ねそれはそれは涙ぐましい努力をしてきたのだ。
そんな時自分は神だという人がいたらどう思うだろうか。
紗良はこう思った。
【成る程!厄介なお客様ですね!】
「久しぶり?おぬしとは初対面じゃがいったい何を言っておる!」
「え?お客様じゃないんですか?」
「お客様!?神じゃと言ったではないか!それに周りをよく見てみろ!」
周り見渡しても何もない。
ただ真っ白な空間に老人が浮かんでいた。
「マジもんの神様!?」
驚きで外面が剥がれてしまい言葉も乱れてしまったが仕方ないだろう。
厄介な客だと思ってたのに、まさか本物の神様だなんて。
「先程からそう言っておるじゃろう。なんじゃお客様とは。」
「いや申し訳ありません。お客様は神様とは我々の業界では常識なもので。」
とても理不尽な常識です。
「変な常識じゃな。」
本当にその通りでございます。
「そういえば、ここ何処ですか?」
この真っ白な空間はなんだろうか?
「ここは、簡単にいうと死後の世界じゃ。」
私語?死後?死後って死んだ後って事だから。
もしかして………。
「私死んじゃったのー!?」
人生ナンバーワンの衝撃的ニュースだ。
余談だが今まで暫定一位の衝撃的ニュースは、ご近所様のおばあちゃん(70)から40歳年下のイケメン彼氏を紹介された時だ。