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第七話 提案




「…モンスターパレードですよ。報告、受けていないのですか?」

「それはわかっているよ。僕が気になるのは君の変化だ。僕は魔力視というスキルを持っていてね。魔力を視認できるんだ。これで生徒全ての魔力量は把握していたんだ、君も含めてね。けれど、ダンジョンから帰ってきた君を見て驚いたよ。平均的だった君の魔力は何倍にも膨れ上がっていた。それこそ、宮廷魔法使いが束になっても敵わないくらいに。僕はその理由が知りたいんだ」




なるほどそういうことかと納得する。俺のスキル「丈夫」では魔力の回復も促進される。

奈落での体感二年は「強化」で成長速度が強化された俺は、魔力切れを起こすたびに魔力が増えていった。



そのおかげで魔力量が増え、今ではあらゆる魔法すら個人で扱えるほどだ。



だが技術、魔力量の両方を取ってもホムラには敵わない。さすがは賢者というべきだろう。



しかしこれは…言ってもいいのか?

スキルのことはいずれ言うにしても、奈落のことも、俺の一存では答えられない。



今ホムラはこの場にいない。消えた賢者が奈落にいてエルダーリッチになっていたなんてことを俺個人の判断で言えない。

というかそもそも信じてもらえない可能性だってある。



なんだか、全て見られているみたいで緊張する。こういうタイプは敵に回るとかなり厄介なタイプだ。



今答えて良いこと、隠しておくことを考えて言葉を絞り出す。




「…初めて、命の危険に陥って自分のスキルが成長したようです。体感では、二年が経ったような気分です。すみません、これくらいしか…」

「いや、大丈夫だ。これはかなり私的なこと、情報の開示を強要する権利は私にはないさ。まあこの話は置いておくとして、アレク君。学園へはこのまま通うつもりかい?」

「それですが、俺はそれ以上、スキルを獲得できないようなのです。なので、これからも通うとなると卒業までは今あるスキルを高めるということになりますが、それは大丈夫ですか?」

「ふむ…スキルを得られないというのは気になるが、それなら私からいくつか提案がある」

「提案、ですか?」

「そう。実は来年から、ここは王立高等学園となり、冒険科、騎士科、魔法科、そして英雄科をそれぞれ設けることになっている。賢者の弟子である君に、魔法科の教師として、働かないか?というのが一つ目」




魔法科…の教師!?今まで、というかなんならまだ生徒の俺には流石にそれは…という気がする。

というか…




「ってなんで俺が賢者の弟子だって知ってるんですか!?」

「ははは。彼女とは少しあって知り合いでね。既に事情は聞いているよ。君のことはかなり優秀とだけ。それもあって少し話したくなったんだ。悪かったね、騙したみたいになってしまって」

「いえまあ、かまいませんが。というか、俺に教師なんて務まりませんよ。まだ学生ですし、俺はまだまだホムラには敵いませんよ?」

「いやいや、教師にあんなレベルは必要ないよ。まあ、それが無理なら、たまに特別講師として魔法を披露してくれたらありがたいかな」




学園長はおそらくホムラの実力を思い浮かべながら言った。



それくらいならと言って、それは了承した。教えることがないなら別にいいだろう。




「二つ目は、ここを卒業して冒険者になること。卒業は飛び級ということにしてあげてもいい。それだとG級からのスタートがF級からになるしね」

「それはいくらなんでも破格過ぎませんか?スキルを習得できないなら飛び級で合格って…」




さっきの教師の提案にしてもそうだ。俺にとって都合が良すぎる。こういう話は大抵、裏がある。



「まあそう警戒しなくてもいいよ。実を言うと、今までのは正直前置きって感じなんだ。…実は今、王国は革命を起こそうとしているんだよ。魔王軍の動きが活発になってるって話は知ってるかい?」




あー、確かそんな話があったなあ。何せ体感だけどかなり奈落で過ごしたせいですっかり忘れていた。




「はい。確か、各地で魔物の勢力も大きくなっているとか」

「その通り。…それでこれはまだ極秘なんだけど…魔王を倒すために異世界から勇者が召喚されたんだ」

「ちょ!?何いきなりぶっ込んでるんですかあんた!?何が警戒しなくていいよ、ですか!」




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