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2話 蟹様

「おい、目を覚ませぇい」声が聞こえる。

「おい、死にたいのかぁ?」同じ声だ。俺はもう死んだんだ。もう一度死にやしない。

「おい、...やるか」やるか...?何をやるというのか。


「ゴツッ!」鈍い音がする。頭に痛みを感じる。


「いってええ!」音から数秒後、俺が殴られたということに気づいた。俺はすぐさま立ち上がり、あたりを見る。黒い部屋にいる。木の棒...杖────棍棒を握った老人が目に入った。未だに引かない痛みを我慢しながらさっきとは大違いのかすれた声で聞く。


「誰だ──────ですか?」途中で睨まれ弱気になる。

「せっかく生き返らせたんじゃがなぁ...殺すのもなぁ...」殺されるのか…?いや、いい人だよ。きっと。顔が優しそうだもん。うん。頭に『人は見かけによらない』という文字が浮かぶ。


「あのー、たいへんご恐縮なのですがお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」下に出る。下に出る。

「わしゃぁ、蟹さんだ。ん?蟹さんじゃっけ...蟹様だ。うんうん。あれ…あっ間違えてたぞ、上さんだ」

うん…神様だろうね…蟹とか上さんって…


「もしかして...神様でございますでしょうか」


なんか日本語がおかしいな…

「そうじゃ、そうじゃわしゃぁ 蟹さんじゃ。この言語にまだ慣れてにゃいんじゃ」

まだ蟹さんのままだけど…コレは褒めれば調子に乗るタイプだな…

「いやー。そんなことないですよ。とてもお上手で、私もそのように扱いたいです。」

「そうかそうか。」とても嬉しそうにしている。

「で、なぜ私のようなものを生き返らせてもらえたのでしょうか。偉大なる蟹様…」

「蟹様…いい響きじゃ。まあ、わからんぞい」

わからないのか…

「では、蟹様ほどな偉大なお方が知らんないのでしょうか…」

「わしに知らんことない……う、運命なのじゃ…!」


知ったかぶりなのか…?

神様って。カマかけてみるか


「ああ、そのようなことなんですね。」


まだ日本のことはあまり知らないはず…


「そうじゃ」

「要するに、総理大臣と妖精がお花畑でカーニバルの電子レンジしてる状況ってことですか?」

「......そうじゃそうじゃ……かぁにばるーのよせい大臣がお花精してるってことであってるぞ」


わーお引っかかた...

それとなんか色々混ざってるよ。蟹さん。


「じゃあ私は生き返ってどうすればよいのでしょうか?また、地球に戻らせてもらえるのですか?」一番重要なところだな...


「えいっ!」蟹様の手から何かが飛ぶ。丸くて黒い───磁石だ。

「パシッ!」軽快な音がして磁石が壁にくっつく────「ピュッ!!!」

磁石が勢い良く俺のところに向かってくる。

「!!!!!!!!!!」

ぎりぎりのところで俺は後ろに下がる。

足元には死ぬ前につけたはずのマハドンタンU(仮)が落ちている。磁石が勢い良くマハドンタンU(仮)にぶつかる。マハドンタンU(仮)がぶつかった途端に光る。


「パシッ!」さっきも聞いた軽快な音がして真反対の壁に磁石がくっついていた。

マハドンタンU(仮)とぶつかった衝撃で跳ね飛ばされたらしい。


近くの壁に近づいてみると壁にはびっしりと地名らしきものが書かれている。今まで黒い部屋だっと思っていたが黒い文字だったのだ。


「......そうか。運命なんだな...」蟹様が何やら考え込んでいる。

「決まったもんはしょうがない。─────に飛ばすとするか...」

なんだって?聞き取れなかった。何処かに飛ばすということはわかったが肝心のどこに飛ぶのか


「よし、いくぞ」そういうと蟹様はブツブツ唱えだした。


意識が次第に薄れていく。


「あっちで地球人と同じ顔の人がいる。人格は変わってない。気をつけな…」

説明不足だ。しっかり説明しろよ...どういうことだよ。同じ顔の人…?知らないよ。

「!!!!!!!!!!!!」

体が勝手に動き出した。そして───────壁に激突した。頭を壁に強く打ち、意識が朦朧としていく。


そうして俺は気を失った。


最後に見たのはものすごい小さい字で部屋の隅にかかれている目立たない『地球』という文字だった。

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