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序章──《Mahadontan》──

目の前に広がっていたのは


広大な大地────────────


ではなく、自分の部屋。さっきまでと何も変わりない。ロゴの部分に傷がついているテレビ、昨日のゴミ回収を逃して溢れかえっているゴミたち。その中でもひときわ目立っているあのカップラーメンのパッケージだって昨日から新しくでたニューデザインだ。やっぱり、起動じゃだめだったか...


(ピコーン)


「ん?あっ」


音がしてワイヤレスイヤホンを外そうと耳まで持ってきた手を止める。

ふと、前を見ると《あなたの部屋ですか》と文字が浮かび上がっていた。手を伸ばすと文字に触れる。

文字はなんとも言えない感触だ。固くもないし柔らかくもない。

ナタデココのような食感が一番近いのかもしれない。地球のものでこんなものは触ったことがない。

《あなたの部屋ですか》という文字がかかれている右下の方を見ると《YES》とある。左下にも《NO》がある。


一応、俺の部屋だが…《YES》でいいのかな...どうすれば良いんだ?押すのか?


浮いている《YES》の文字を触る。手が触れた瞬間に《YES》の文字はシャボン玉のように弾け消えた。

コレは押したということでいいんだろうか…自分の部屋のままだし、何も始まんな────


「わっ」突然目の前が真っ暗になった。電気が消えたのか、今までのは画面だったのか、もう終わりか?...と思った瞬間にマスが出てきた。縦9マス横9マスの正方形だ。81マスある。

上に《ロード中》と書かれている。一番左上のマスが青くなる。次に右隣のマスが青に変わる。一番上の段が青ですべて埋め尽くされると一番右の列が上から順に青く染まっていく。一番下の列、下から上へと一番左の列、青が一番最初のマスまで来たときに右に曲がる。どうやら右側に回転する螺旋がマスで書かれているようだ。ロード時間は約10秒。結構早い。縦横どちらも5マス目のところが最後のマスだ。


そのマスが青に染まった瞬間に、画面が白くなった。

(ぴこぉぉぉん)

鐘のような響く音を兼ね備えた高い電子音とともに《Mahadontan》の文字が出てきた。

何かのロゴだろうか。このワイヤレスイヤホンの名前か、ゲームの名前のどちらかだろう。


そのロゴは視界の真ん中あたりのところまで来ると床にあたった、スーパーボールのように2回跳ねた。

手を前に出して壁に触るようにすると(ピッ)音がして画面が切り替わる。






広大な草原にいた。風も吹いている。風からはかすかだが麦の匂いがする。太陽が眩しい。草原は限りなく続いている。思わずあたりを見回す。後ろには川が流れている。川の中には小魚たちが泳いでいる。川の上には橋がかかっていて、橋の向こうには牧場らしきものが広がっている。足元には緑の草花がコレでもかと言うほど生い茂っている。所々に木が生えていて、実もなっている。屈んで足元の草を触る。昔遊んだ公園の草の感触に似ていた。思わず足踏みをする。地を踏みしめている感覚がする──────────


あれ...?ふと疑問を抱く。自分の部屋にいたはずだ。自分の部屋は草は生えていない。広くもない。川もない。その場で手を伸ばして川の中の水に手を入れる。冷たい…しっかりと感じる。でもなぜ。自分の部屋じゃなくなったのか?あっちまで全速力で走りに行ったらわかるか。もし、自分の部屋だったら......壁にぶつかるだけだ。

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