33話 アース
「とりあえずおすすめを頼む。」
「わかりました。」
ウエイターさんはそう言うと厨房の方に走っていった。
そして誰かと話している。
ウエイターは最後に礼をしてどっかに行ってしまった。
相手の方はニコニコしながら手をうごかしている。
「どうぞ。お待たせしました。」
俺のほうに歩いてきて笑顔で言った。
そのままの笑顔で俺の前に最後に皿を置く。
皿の中には大量のメコギムが入っている。
メコギムがおすすめなのか。
メコギムって味あったけ....?
そう思いながら俺はスプーンでメコギムをすくって口に入れる
.........不味い。
メコギムは味がないはずだ。
小屋で食べた時そうだった。
だがこのメコギムには味がついている。
何かよくわからない味だ。
調味料のようなものがかかってもいない。
おそらく素材本来の味が変わっているのだろう。
もしかして、この国の料理ってメコギムの味を変えるだけだったりするのか?
「料理ってメコギムに味をつけるだけですよね。」
「はい。その通りです。」
「味をつけることができるのが料理人ってわけだよな。」
「まぁ、そうですね。」
考えながら相手は言った。
「料理人と話がしたい。」
「え!?料理、まずかったですか?」
「いや、文句じゃない。」
確かにまずかった。だが文句を言おうとしているわけではない。
「わかりました。料理人は僕です。」
頷いてから相手は言った。
「ごめん、知らなかった。」
嫌な気分にさせただろうか
「いいんですよ。」
料理人は変わらない笑顔でいった。
「で、話ってなんですか?」
「えっとその件なんだが....」
俺は正直にいうか多少の嘘を交えて言うか迷っていた。
正直に不味いというのか。それとも、こうすればもっと美味しくなるんじゃないかなと
正直に言おう。
傷つくかもしれないけど。
「ごめん、はっきりと言わせてもらう。──────君の料理は、まずい。」
─────────────────────
一方、料理人のアースは
文句じゃないと言われたけどトシキさんだいぶ険しい顔してるんだよな....
ウエイターにVIPルームの客で、ワーナーさんの命の恩人だって言われたけど....
何言うんだろう。
「ごめん、」
ごめん!?これから謝るようなことでも言うのか!?
「はっきりと言わせてもらう。」
ヤバイ絶対文句だ。きょうの料理失敗したっけ.....
「君の料理は、」
来るぞ..............くるぞ...........
「まずい」
やっぱりだ。不味いって言われた。
そうだそうだったんだ、結局僕の料理はまずかったんだ。
料理人だからって美味しい美味しい、嘘言われ続けたんだ。
ホントは僕の料理なんて不味いのに.....
あ、この人は正直に言ってくれたんだ。
この人にどうすれば料理をうまくなるか教えてもらおう。
あの、僕の料理が美味しくなる方法を教えて下さい────だ。そういうんだ。
トシキさんに言うんだ。アース。ワーナーさんの命の恩人なんだ。きっと優しいんだ。
教えてくれるはず。
「あ、あ、あの──────────」
「俺は───いや、俺も料理人なんだ」




