31話 1023号室
「おい、皆このトシキさんの荷物を1023号室にお運びしろ。」
「わかりました。」
「トシキさん荷物はどこに有りますか。」
「えーっと、全部今持ってます。」
「え、えっと。手ぶらで生活ですか?」
「基本的に手ぶらです。食料だけしか持ってないです。」
いつもワイルドオークの余った部分をスキルで焼いて食べてるだけだ。
いつも、ワイルドオークのお肉を切って形を整えてから木の棒に刺して焼くのだ。
剣を買うまでは切るものがなかったので、そのへんにあった木の棒を弱めな氷系のスキルで凍らせるのだ。
そうすると尖った氷ができるので、いつもそれを刃物の代わりにしていた。
木の棒に刺したお肉は最初、強い火力のスキルで周りを焼く。
そして、火力の弱いスキルに変えて、じっくり焼く。
そうすることで、周りが焼けて塞がっているため肉汁が閉じ込められるのだ。
そうしてできた肉はとても美味しい。
ワイルドオークは普段動き回っているせいか身が引き締まっている。
脂肪が少なめであっさりしているが、ジューシーで美味しいのだ。
今持っているのは買い取りされなかった部分、と言うか出さなかった部分だけ持っている。
美味しいももの部分だ。
ちゃんと収納の中に入っている。
時間経過をOFFにしているため腐ることはない。
「そうですか。じゃあ、トシキさんを案内してくれ。」
ワーナーさんが言うと大勢の従業員さんが案内してくれる。
社員寮の建物に入って、案内されるままに進んでいく。
「ここが1023号室です。一階には999ほど部屋がありますので迷わないようにしてください。」
金色の縁で「1023」と書かれた部屋を開ける。
中を見るが、絵に描いたような豪邸だ。
部屋が豪邸と言うのはおかしいのかもしれないが、それだけの広さがある。
社員寮と言われているから、風呂やトイレ、キッチンは合同だと思ってたんだけど...
全てあるのだ。それも一流の。
「なんでこんなに広いんですか。」
俺が聞くと案内してくれた人は笑顔で答えた。
「こちらはVIPルームでございます。VIPルームは1階に30部屋、1001号室から1030号室になります。キッチンは料理が好きな人が充実して料理できるようにしてあります。なにしろこの世界には料理人が少ないですからね。少しでも料理好きの人が多くなって欲しいからなんですよ。もちろん、ルームサービスで注文することもできるので、料理をしない場合はルームサービスをお使いください。」
「ルームサービスって...」
「この社員寮はホテルにもなっているんです。ホテルのレストランも利用できますよ。世界でたった3人のうちの一人を雇っていますので味は保証します。」
「わかりました。ありがとうございます。」
そう言うと案内人?は退室していった。
やっぱり料理人って少ないんだな。
あとでレストラン行ってみよう。
夕飯の時間までは時間あるしな...
試験までも一日あるからな...
剣の練習でもするか。




