23話 脱出
「できる。じゃあ、今からこのロボ助を透明化させて奥に進むぞ」
「おお。」
「どうぞ。お願いします。」
エレさんどんどん冷たくなっていってない...?
「金属変形 転送 再度、金属変形 転送────出られたぞ」
「...早すぎないか加工の時間。」
「わざわざ戻してあげるんですね。」
「うん。さっきもそうしたし、こっちの方がなんか良いじゃん。」
「どういう風に良いのか全くわかりませんが」
「とてもいいな。最高だ。そうすることによって脱出した際も相手にとってのミスリードにもなる...」
二人が同時に言う。二人の感性は明らかに違うようだ。
「じゃあ、進むぞ。よく見てろよ。相手がいるかもしれないしな。」
「ロボットから音とかでないんですか、機械音とか歩行音とか」
「あ、たしかにだな。相手の声とかよく聞こえるようにしたらドウだ。と言うかできるのか?そんなこと」
「ああ、できる。ちょっと待ってな。 極・消音 強・聴力増加 転送 できたぞ。」
「じゃあ進ませてください。ロボットを」
「おい、エレ。ロボ助だろ?」
「ロボットを」を強調したエレとそれをロボ助に修正したジョーシ。
仲いいな...
俺が今聴力増加のスキルで極を使わなかったのは理由がある。
聴力増加で極なんかにしたらどんな強さか想定できない。
下手したら世界中の音とか聞こえてきそうだしな。
「じゃあ、発進させるぞ」
ロボ助を進ませる。
ロボ助は何一つ音をたてず曲がりくねった道を進んでいく。
三回目の曲がり角に差し掛かったところで声がした。
「おい、今日の獲物はどうなんだ?」
「ああ、アレは弱ぇーぞ。たぶん。なにせ今日ギルド試験するようなやつだからな。合ってもFランクだろ。」
「おいおい。そんな弱っちいやつ連れて来ちまったら可愛そうだろうよ。ママが悲しむぞぉ。がはははは」
「まぁな。はははだがよあの方の命令は逆らえないよなぁ。」
「ああ、そうだよ。まったく。いろんな強さなやつ連れてこいなんて。」
「全くだよな。ひゃひゃひゃ。」
男の声がした。
その声を聞いて2人は言った。
「こいつらが犯人確定だな。」
「黒幕は誰なんでしょう。あの方がわからないといけないですよね。」
「じゃあ、こいつらのところまで行くぞ。」
「ああ。何かわかるかもしれん。」
そのままロボ助を進める。
ちょうどいいことに扉は開いていた。
扉の中にはヤクザのチンピラのような奴らがいた。
「こいつらか...どんな犯罪者だ────あ!?」
突然ジョーシが素っ頓狂な声を上げた。
「ついに頭がおかしくなりましたか?ジョーシさん。よかったですね。」
「い、いや。違うんだ。こ、こいつら...最悪だ。」
「なにが最悪なんだ。」
「こいつら、右手に入れ墨してるだろ。」
「そのようですね。それが何です?」
「この入れ墨は...混沌の悪魔のものだ。」
「混沌の悪魔ですか...」
エレはどうやら納得した様子だ。
混沌の悪魔は有名人なのか?




