20話 穴
あたりを見渡しそこにあったものはさっきと全く同じ看板だった。
また、看板か...次は何が書かれているのかな。
そう思い看板を覗く。
『この先西に100m直進。』
書いてあったのは西に100m進めという意味の文章だった。
...まぁとりあえず進むか。
100mだし普通に歩いていっか。計測器、起動しなくても何か見えたらわかるだろうしな。
そう思い色々なところを見ながら進む。
「うわっ!」
声を上げながら俺は落とし穴に落ちる。
よく考えてみると、落ちたところは看板からだいたい100mほど歩いたところだった。
落ちたのは突然だった。
左右の木々たちを見ていたら目の前の景色が上に上がり、内臓がふわっとするジェットコースターのような感覚になり落ちた。
どう脱出しよう...飛ぶ魔法とかあったかな。
脱出方法を考えながら空の見える穴を眺めていたが、
「締まりやがったっ!」
急に音がして天井が蓋のようにしまった。
...牢屋か。なんかの組織か───
その部屋は独房だった。閉じ込められたのだ。
...なんで俺を?誰でも良かったのか...?明らかに犯罪だよな。
どうやって脱出しよう。
...もしかしてコレも試験だったりするか?
以下にバレずに牢屋から脱出する試験───ありそうだ。
とりあえず自分透明化して分身ロボットとか置けないかな。
「透明化 金属変形 爆発 遠隔操作......」
俺は最初に自分自身を透明化した後に金属を変形させて自分そっくりの人形を作った。
そして、その人形に面白そうなスキルを付与しまくった。
自爆機能や話す機能、遠隔操作する機能、人形が見ているものを自分自身で見る機能、などだ。
...ロボットと完成したし、透明化の効果が切れる前に脱出するか。
牢屋の格子は金属だから、
「金属変形」
格子を曲げ、ゆうゆうと外に出る。
で、バレないように直しとかなきゃな...
「金属変形」
うん、ちょっと形がいびつかな...でも、まぁコレくらいならバレないでしょう。
中にそっくりさんもいるしな...
牢屋を後にし道を進む。
...ここかな、縄梯子か。強度、平気かな。
縄に手を置き体重をかける。
うん、平気だな。じゃあ脱出しよう。
俺は縄梯子を登り、マンホールのようなスライド式の扉を開けて外に出る。
そして、他に落とし穴がないかどうかあたりを見回してから『極・走力増加』を発動させ走り出した。
そしてリリアの街が見え始めると速度を徐々に落としていった。
...コレで合格かな。それともやっぱり戦闘の実戦試験があったりするのかな。
戦闘実戦あったらどうしよっかな...魔剣作成のスキルを使おうかな。
それとも木の剣とかに色々付与しようかな。
魔法の戦闘だったらどうしよう...ワイルドオークの時の魔法の威力半端なかったからな。
うまく威力調節できるかな...試験中に試し撃ちいいですか、なんて聞けないしな...
そんなことを考えているうちにギルドの前に着いた。




