5話 手紙
注意をしながら縄梯子を降りる。
縄梯子は長めでざっと10mといったところだろう。
...どんだけ掘ったんだよ。
縄梯子はすぐ揺れるので危険だ。
「おっと!」
一段、下げた足が乗ったのは縄ではなく、糸だった。
俺の半分くらいの重さが一気に細い糸に乗ったのだから切れて当然だろう。
手をしっかり握ってなければ、落ちるところだったぜ...
それにしても罠か?随分と怖い罠だ...
注意しないと。
より、慎重に降りていく。
「床には───────なにもないな...」
縄梯子の最後の段に乗ったまま床を観察する。
「OK」
安全だ───そう判断した俺はゆっくりと縄梯子から降りる。
降りたところは2畳ほどの狭い部屋。細長く、はしごの真反対の位置に扉がある。
...扉までの距離が長いな。何か仕掛けられてそうだ...
注意しないとな。
俺はゆっくりと歩き出す。俺が部屋の真ん中ほどまで来たとき、
「───────カチャ」
ものすごい小さい音が聞こえた。
───罠だ。
そう判断した俺は後ろに飛ぶ。
足が地面から離れた瞬間、弓矢が鼻先すれすれを通っていった。
っ────あぶね、やっぱ罠か、
矢は1本しか発射されないようだ。
だが、あそこへ行けば自動で出てくるだろう...
...飛び越えるか?──いや、避けて前にとぼう。
俺は、腰を低くして走り出す。
さっきの真ん中のところまで来たところで
勢い良く前に踏み出す───そして、飛ぶ。
(タンッ)
心地よい着地音がする。
成功したようだ。目の前に扉が見える。罠の矢も壁に突き刺さっている。
入るか───いや、この扉も罠の可能性が...隠し扉が合ったりするんじゃないか?
そう思い俺は周囲の壁を見回すが、それらしきものはない。
壁を触ったり、叩いたりしてみるが反応はない。
扉を信じるか───。
勢い良く扉を開ける。
警戒しながら、扉の中に入る。
............なんだこれ───────。
そこには思わず声を失うほどの何かがあった。
材質も不明。金属のような種類に見える。
大きさは不明。
少なくとも2m以上はあるだろう。天井を突き破るように設置されているため分からない。
形はよくわからない。
この部屋にある部分は四角いが部屋の奥でどうなっているかはわからない。
多くの魔石が埋められているところを見ると魔道具なのだろう。
この部屋には何かの他に手紙と本があった。
手紙は一通、本は30〜60冊程だろうか。
手紙───なんて書いてあるんだろう。
開けてみるか...
俺は封筒を開ける。
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私たちは国に追われている。
なぜ追われるようになったかは不明である。
おそらく捕まったら殺されるであろう。
追手はあのアイヒエーラストなんだから。
アイヒエーラストは私たちを重犯罪の容疑者としているが、
私たちはなにも関わっていない。
私たちは被害者なのだから。
もし、私たちが捕まったり、死んでしまったときのためにこの手紙を残す。
第一に私たちは無罪だ。
第二に、もし私たちが捕まったら魔物によって
この世界は近いうちに世界は滅亡するであろう。
第三にそうならないように、私たちが持っている魔物の知識、討伐方法、魔法、技
すべてを記した。
この手紙を読んだということは
魔石の謎をとき、罠を潜り抜けてきたということだ。
もし、この手紙を読んでいるのが、我々の追手または敵ならば誠に憤慨である。
だが、仲間ならば、非常に頼もしい。その場合は本を読んでくれ。
追伸
本には魔法をかけた。
我々に敵意がある者が本に触れた場合、この小屋から半径20kmは吹き飛ぶ。
ホゲヌラ・トロヘコ
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