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1わ
わたくしはきょん。
先ごろ生まれた、あやかしにございまする。
育ての母はあやはさま。
わが相方になるはずの神使にてございまする。
わたくしめはきつね、白狐にてございまする。
この稲荷の社より生まれ出でたあやかし、生まれながらの神使にてありまする。
相方のねえさまは、もとは獣の生と聞いておりまする。
金茶のきれいなお姿をしておられまする。
相方の友たる猫又、たまさま。
あの方も、けものの生まれと語っておられたのでございまするが、
あやかしとはなんともはや、いろいろな生のものがおるようにございまする。
わが友、白竜。彼と妹子のはるどのは、猫又さまと人との間のお子だとか。
父母のいるあやかし、いないあやかし。
あやかしとは、ほんにふしぎなものにございまする。
さしずめわたくしめは、この稲荷の社の子ということになりましょう。
稲荷の神のおちからを受け、社とともに歩む。
まずはそのような宿命をもつものでございまする。