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Lycoris radiata  作者: 緋泉ちるは
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村の始まり

 「連携も板についてきたわね」


 村を作り初めてから2年が経った頃、私たちの生活は激変していた。


 「ミナモさま、収納お願いします」


 モカが戦利品のオークを引きずってくる。


 「わかった」


 次元収納の扱いも慣れ、念じるだけでオークの姿が消える。


 「ミナモ様ー!こちらもお願いします!」


 他にも3人が仕留めたオークを引きずり姿を現した。


 「今日は大当たりね。ココア、ラテ、フラットも大分上達したみたいね」


 モカの名前から連想してつけた名前はシリーズ化している。


 他にもコナ、ブラック、ロブスタやカプチーノからとったチーノや脱線してお茶菓子からビスケなど名付けたりしている。


 ちなみに、私も名前だけ名前がないのはおかしいという意見があったので生前の名前から…ミナモと名乗ることにした。折角転生したのだから名前を変えても良かったが、呼ばれ慣れた名前が一番落ち着くので妥協した。


 名付けから2年たち、元フォレストウルフは皆進化した、モカとこの3人は妖樹狼に進化し、他は妖精狼へと進化した。


 ちなみに、力の序列だが。


 私<モカ<妖樹狼3人<精霊狼の順になっている。


 モカは私の側近、ココア、ラテ、フラットは幹部へと抜擢した。


 だが、力が全てではない。


 それぞれに役割を与え、狩りが苦手なものは衣服なのど生産や畑の管理を任せ、子供などは近くの川に水を汲んだりして村の中で差別が起きない様に心がけている。


 とはいえ、元々集団で生きてきたフォレストウルフに差別はなく、みな協力して上手く生活してくれているので安心だ。


 そして、見た目にも変化はあった。


 モカはこの2年で成長した。


 背は少し伸び、私より少し小さいくらい…155センチくらいか?しかし、胸の成長は著しくなく精々Bくらいだろう。そういう私も……まぁ、モカには負けないと言ってこう。


 髪は前世で言うボブヘアであごの横辺りまで横を伸ばしている。垂れ目気味のじと目がデフォルトのようで、無表情な事が多いが可愛らしく成長している。


 ただ、二人きりになると甘えたがるのが玉に瑕か。ちなみに、私と一緒の家で暮らしている。


 同じくココア、ラテ、フラット、妖樹狼に進化した3人の成長も著しかった。


 ココアとラテは私よりも背が高くなり、170を超えている。髪はココアは緑、ラテは黄緑に変化し腰近く髪を伸ばしている。こう変化をするならマッチャとか名付ければよかったかもしれない。


 狩りの時は邪魔になるのでココアはポニーテールにラテは団子に纏めている。


 胸は…ふふん。私の勝ちか、同等である。


 そして、フラットだが。


 身長は150くらいと小柄だ。


 髪はショートヘアーで黒色と地味。


 しかし、胸の成長が恐ろしかった。


 走ると揺れること揺れること。それでいて狩りの邪魔になることはなく、しっかりと制御されている。

 冷静で順応なココアと好戦的でお気楽なラテに比べ、控えめで大人しい性格なフラットは守ってあげたいオーラがにじみ出ている。


 ロリ巨乳…恐るべし…。


 他の精霊狼も無事に獣人へと変化することができ、同様に個性を出した姿へと代わっている。


 お陰で簡単に見分けがつくようになった。


 「ただいまー」


 村は安全重視で村を一周覆うように柵を設けた。植物操作のスキルにより鉄に近い硬度をもった3メートルほどの板を狭間を作りつつ数枚重ね合わせ、凹凸を並べたように作ってある。


 更に、壁の内側には壁よりも高い櫓を幾つも設置し足場を一周繋げることにより襲撃を迎撃できるようにしてある。


 そのお陰で、ゴブリンの群れは勿論、上位種のオーガなどの襲撃も簡単に撃退できるようになっていた。


 壊されても素材は木材なので修復が容易であるのでコストもかからなくて良い。


 生活にするにあたり武器も作った。


 鉄などを生産するのは無理なのでこちらも自然に調達するできるものから作った。


 一番最初に創ったのは弓だ。


 ある程度練習すれば使え、狩りにも迎撃にも使える。


 接近戦は槍を大量に用意した。


 先ほどの狭間を使った防衛を活かす為だ。


 では、狭間とは何か?


 狭間とは、おもに日本の城の天守や櫓の壁面、塀などに開けてある防御用の穴や窓のことで、銃眼、砲門とも。内側から外側に向かって円形・三角形・正角形・長方形などの穴が開けられており、戦闘の際はそこから弓矢や鉄砲などで攻撃した。


 とある。


 柵に張り付かれて櫓から攻撃できない相手に対し、弓矢槍でつくことで一方的に攻撃できる、凹凸にしたことにより、誘い込めば三方向から攻撃することも可能だ。


 家族を守るために現代の知識は使えるところは使わせてもらう。


 声をかけると門が開く。


 北と南にそれぞれ門を作った。万が一、敵に侵入されそうになったときに反対から脱出できるような処置だ。


 「おかえりミナモちゃん!」


 獲物を次元収納から取り出すと、体の大きなおばちゃんが私を抱き寄せた。


 「もう、いつも大袈裟だよステラ」


 「あっはっは! いいじゃないか、娘みたいなもんじゃないか」


 ステラと名付けたフォレストウルフは私を拾った昔のリーダーだ。


 一度死んだ私を食料にする為に持ち帰っている最中に息を吹き返し、そこからしがみつくように離れなかったため仕方なく育て始めたらしい。


 何故食べられなかったって?


 それは精霊の張った防御結界を破れなかっただけらしい。


 最近聞いた話だったので驚愕したが、お互い笑い話で終わった。よかった、食べられなくて。


 フォレストウルフは長命ではない、個体差にもよるが20年から30年で寿命を迎える。


 ステラは名付ける前はヨボヨボだった。まさにおばあちゃん犬。


 狩りには参加せず、子供などの世話をしていた。


 それが、名付けてびっくり。


 人間にして40手前の気のいいおばちゃんに変化した。今は主にみんなの食事作るために活躍している。


 ステラに食材を渡し、村の様子を確認する。これも私の仕事だ。


 といっても、みんなに挨拶して回ることが主な目的だ。


 子供達は無邪気に寄ってきてくれるし、大人たちも仕事の手を休め手を振ってくれる。


 若い女の子たちが時折、熱を込めた視線を送ってくるがそれは気づかないふりをしておこう。


 この数年で村の人数は大きく増えた。


 子供が生まれた事も大きいが、噂を聞きつけたのか流れ者のフォレストウルフや普通の狼の群れなどもやってきたりした。


 魔獣ではない狼も無事に進化し、獣人へと変化したの幸いだった。


 まぁ、精霊曰く本人の望む形か私の意志に沿った姿に進化するらしいので、どちらにしても妥当な進化だという。


 普通の狼は魔獣ではないので魔力を持っていなかった。その代わり、フォレストウルフよりも力が強く、狩りや防衛にすごく貢献してくれていた。


 ちなみに、狼の成長だが。


 リーダーだった狼にをアールと名付け、狼人族から変化はないものの、代わりに称号として狼戦士を獲得した。


 見た目は、金に近い茶髪でチャラく見えるが有言実行の真面目な性格をしている。


部下たちは紅茶シリーズの名前で統一し、狼兵士の称号を手に入れた。


 それぞれ、魔力はないものの気の力で肉体強化を持っている。気合で強くなるってことだろうか?


 そんなわけで、いつの間にか50人を超す村でそれなりに平和に暮らしている。

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