プロローグ3
(はーい、それじゃ転移の魔法行くわね)
マネキンがこちらを振り向いて、先ほどと同じように腕を振り上げる。
しかし、こちらに気を取られたせいか、スピードを落としていたトラックの魔法が解け、また猛スピードでこちらに向かって走ってきた。
マネキンはトラックにあっけなく弾き飛ばされ、バラバラに霧散した。
そのままの勢いでこちらに突っ込んでくる。
「やっぱ・・・俺、死ぬの?」
そう思った瞬間、意識が途切れ、気付いた時には見覚えのない世界が広がっていた。
「あれ?助かってる?」
直前でマネキンはバラバラになったはずだったが、どうやら魔法とやらは成功したらしい。
(さあて、これからあなたには、この世界の女の子から救ってもらう事にするわ。質問ある?)
キョロキョロと辺りを見渡すと、どうやらここは森の中らしい。
樹木が生い茂っていて、他には何も見当たらない。
「ありすぎだけど。まず、どうしてマネキンがバラバラになったのに、俺は助かってるんだ?」
最も疑問に思った事を尋ねた。
(ああ、あれはあんたの世界の法則に則って、それらしいのを作っただけだから。本体があるってわけじゃないわ)
つまり、マネキンは関係なかったって事か。どうりで変てこな恰好をしていたわけだ。
「なるほど。では次に、ここはどこなんだ?」
(ここはエルフの世界のどこかね)
「・・・それだけ?」
(たぶんだけど、森の中にいるんじゃないかしら)
「んな事は見れば分かるわ。で、助けるべき女の子とやらは?」
(頑張ってね)
「いやいや、ちょっと待て。つまり、自分で探せって事か?」
(そうなるわね。どこにいるかなんて知らないもの)
「マジかよ・・・」
いきなり違う世界に飛ばされて、どこかで困ってる女の子を探し出して救えってか。
まあ、あのままトラックに轢かれて死ぬ事を思えば、それくらいは我慢しなきゃならないんだろうけど。
自分で選んだ道だしな・・・。
「オーケー、分かった。それじゃこれから俺は、こちらの世界で困ってる女の子を探して救うわけだが、消えた俺は、向こうの世界ではどうなってる?」
(そうねえ、いなくなってるはずね。こちらに飛ばしたんだから)
「ふむ。では元の世界に俺がいない間は、誰が妹たちの面倒を見るんだ?」
(元の世界の時間は止まってるから安心なさい。全てが終われば、元の世界の同じ時間に戻してあげるわ)
そうか。それなら何も問題はない。困っている子とやらを救って、救って、救いまくってやろうじゃないか。
と、そこでまた疑問が浮かんだ。
「救うのはいいんだが、具体的にはどうすればいい?」
(さあ?困り方によるんじゃないかしら)
「そんな適当な・・・」
これ以上は質問しても無駄に思えた。
(じゃあ私は魔力を温存しなきゃいけないから、後は頼んだわね)
「いなくなるのか?」
(あなたの側にはいるわ。ただ、今はこのテレパシーを使う力さえあまり残されていないの。そういうわけで、後はあなたがこの世界の女の子を救った時に戻ってくるわ)
「了解」
大変な事を引き受けてしまったかなあと、少し思ったが、一番大事な事を聞くのを忘れていた。
どうして地球が滅びるんだろう?
「あのー、まだいるー?」
シーン・・・
「ちょっと遅かったか」
プロローグはここで終了です。
読んで下さってありがとうございます<(_ _)>
次回からはいよいよ冒険の始まりです!