報告
このままでは殺されてしまうかもしれない!とりあえず何か言わなきゃマズい!
「いや、あの、ルシェルも助かった事だし、出来れば水に流してくれないかなぁとか、思ったりなんだりしちゃったり」
「そうそう、水源地の格子に水草が絡まっていて、それで水の流れが止まっていたようなんだけど、水草の一部がモンスターだったのよ。突然半魚人のような形になって襲ってきたの」
おお、ルシェナイス!そうだよ、そこを言わないと。
「日詩は襲ってきたモンスターから私を助けてくれて、私の魔法だけじゃ全然歯が立たなかったのを、ファイアーボールで倒したの!すっごく格好良かったんだから!」
「それは本当かね?」
ここは頷いておこう。コクコクと頷くとおじいさんの顔がみるみると笑顔になっていき
「そうかそうか。それは結構。よくやってくれたね。恐らくそのモンスターはヴォジャノーイじゃ。詳しく知りたければggrks」
「え?」
最後の方がよく聞き取れなかったんだけど。
「それじゃあ報告しに来ただけだから、私たちは帰るわね」
スルーかい!
「日詩はうちで面倒を見るわ。いいでしょう?」
アレ?そんな重要な事、簡単に決めちゃっていいの?
「いいんじゃないか。ミュールも文句は言わんじゃろ」
あら、案外すらっと話がまとまったぞ。それじゃ俺もルシェについて行こうと、思ったらじいさんが近づいてきて
「日詩くん、孫を末永く頼むよ」
肩に手を置かれてルシェの事頼まれちゃったよ。末永く?よく分からんけど。
「あ、はい。自分もお世話になりますし、これからよろしくお願いします」
っと、挨拶はこんな感じでいいだろう。
「正直、お前たちが噴水の水を戻せるとは思ってなかった。見ての通り孫は綺麗で美人でとても可愛いんじゃが」
「はあ」
それはとてもよく分かる。でもじじバカが過ぎる気がする。孫を持ったらみんなこうなるのかな。
「残念な事に不出来での。日詩くんが一緒だったから上手くいったんだろう。ルシェルも君の事はかなり気に入ってる様子だし、これからも側にいて助けてやってくれ」
「分かりました。俺の出来る範囲で、ルシェルを守ります」
「よくぞ言ってくれた!君はなかなかに素晴らしい若者じゃな。引き留めてすまんかった。また明日会おう!」
差し出された手は握手しようって事か?こっちの世界でも握手はあるんだな。とりあえずしとくか。
「はい、それじゃおやすみなさい」
ふう。何か疲れたけど、悪い人じゃなさそうだ。
長老の家を出るとルシェが空を眺めて、待っていてくれた。
外はすっかりと星空が出てるし、この辺も地球と変わらないなあ。
「お待たせ」
「うん。行こ!こっちよ」
そう言われて隣の家へ。長老の家もかなりでかいが、こちらも負けず劣らずでかい。家の入り口の周りに植わってる花、花、花!プランターだったり鉢植えだったり、すごい数だ。見たこともないようなのしか咲いてないけど。ルシェのお母さんが好きなのかな。
「花、綺麗だね」
「そうでしょう?お父さんの趣味でね。毎朝の手入れは欠かしてないわ」
「お父さんかよ!」
まあどうだっていいか。
「ただいまー!」「お邪魔します」
おー、見た目がでかいだけあって中も広い!たくさん置いてある家具はみんな木で出来てるんだな。部屋中に木の匂いがする。
「おかえり、こちらはいらっしゃいね。はじめまして、ルシェルの母でミュールです」
え?お母さん?若すぎない?
「ちょっと日詩。何ボーッとしてんのよ。挨拶、挨拶」
おおっと、ルシェルに注意されてしまった。
「あ、すみません。はじめまして、日詩です。ルシェルのお母さんですか」
ルシェのお姉さんと言われても信じただろう。見た目は自分よりは上に見えるだろうけど、二十歳そこそこって感じで・・・可愛らしい。何だよエルフってのは。男もそれなりには格好いいし、女の人は美人ばっかで、何だかずるい。